「塾に行かせたらなんとかなる」は大間違い?!その前に実践したい、年齢×分で十分な家庭学習のコツ
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「子どもが勉強をしないから塾に行かせよう」、そんなふうに思っている保護者の方は少なくありません。しかし、学ぶ姿勢が育っていなかったり学びの楽しさ実感したりしていなかったりする状態では、いくら塾に行っても思ったような効果を得ることができません。「かおりメソッド」の提唱者で保護者に向けた家庭教育講座を開講している岩田かおりさんは、塾に行くことを選択する前に、家庭ですべきことがあると言います。今回は、その具体的な方法を伺いました。
「塾に行かせたら何とかなる」は大間違い
「ほうっておくとゲームばかりしてしまうから」「自分から勉強しないので」「周囲の子が通い始めたし、そろそろうちも行かせた方がよいかしら」……そうした理由から、塾に通わせようと考える保護者のかたのお悩みをよく伺います。子どもが塾という「学習する場」に身を置くことで、勉強するようになるはずだと思っていらっしゃるんですよね。
しかし、塾に通わせるだけで、急に勉強するような変化が起こるわけではありませんよね。体は塾の教室にあったとしても、違うことを考えていたり「つまらないな」と思っていたりしたら、「学習しているふう」な日々を過ごしているだけになってしまいます。
塾に通わせる前に、必要なことはまず自分の頭で考える体験を何度も繰り返すことです。この経験がなければ、塾など学習する場に行ったとしても自ら学びに向かうことはできません。「塾に行けばなんとかなる」ではなく、塾に通わせる前に学ぶための「地ならし」が必要なのです。
「なんでだろう?」を考えさせるきっかけを生活に散りばめる
自分の頭で考える経験をさせるためには、どんなものでもいいのでお子さまの「考えるきっかけ」になるものを生活の中に散りばめていくことが大切です。
「なんでペットボトルはリサイクルするのだろう?」
「なんで四季の中で、秋だけが『読書の秋』『食欲の秋』などというのだろう?」
そうした疑問をお子さまが発したら、それを大切にして一緒に考えたり調べる手助けをしたりします。また、保護者のかたから、小さな疑問をお子さまに投げかけていくことも一つの方法です。
ご家庭の中で、こうした対話の種を見つけて意見や考えを出していくことが大切です。必ずしも、答えを突き止めなければいけないというわけではありません。なかには、答えが一つではない問題や大人でも答えを導き出せない問いもあるでしょう。疑問を拾い上げて、考えてみる習慣こそが大切なのです。
また、考えるためのツールを使うことも有効です。季節ごとの特徴が描かれたカレンダーを使ったり、タブレットを使って親子でクイズ形式のバトルをしたりする方法もあります。子どもはゲーム感覚で競い合うことに夢中になりますから、保護者のかたはぜひ本気を出してバトルをしているように振る舞いましょう。子どもは好きなことを反復し、繰り返し遊ぼうとするものです。何度も付き合って遊んでいると、大人は飽きてしまいます。しかし、時には役者のように成り切って大げさに盛り上がる時間を演出してみることも必要です。
自宅学習は「年齢×1分/1日」でOK
なかには、「子どもの勉強を見る時間が取れないから塾に行かせよう」と考える保護者のかたもいるでしょう。しかし、それは余計に時間がかかる方法です。塾に通わせれば、送迎に時間を費やしたり、保護者間の噂話に心を揺さぶられたりもします。さらには、学習の進捗状況確認が不可欠になるので、むしろ時間がかかるとも考えられるのです。
一方で、施設に行き専門家に教えてもらわなければ習えない水泳や楽器の演奏などに関しては、他者の力を借りるのが効率的かつ効果的だと感じています。
「家で勉強を見なければいけない」と思うと、大きな負担を感じるかもしれません。たしかに、毎日1時間も2時間もかけて学習をさせると考えると保護者の負担は大きなものとなってしまうでしょう。
そこで私は、「年齢×1分/1日」と設定してみましょうと伝えています。7歳であれば7分、10歳であれば10分です。どうでしょう? このくらいならできそうだと思いませんか。実際に、この目安を伝えると多くの保護者のかたが「それくらいならばできそう」と気持ちを楽にして、実践に移していらっしゃいます。このような時間の中で、自分で考える体験を積めば「自分の頭で考える力」が育まれます。その前提があれば、家庭外の学習においても吸収率が高まります。
とはいえ、「毎日のこととなると、難しそう」とお感じになるご家庭もあるでしょう。お子さまがたくさんいらっしゃったり介護を抱えていらっしゃったりと、ご家庭の状況はそれぞれまったく異なるものです。
必ずしも、毎日取り組めなくても大丈夫です。1週間に1〜2回程度でも、家庭内で「自分の頭で考える」体験をすることで、子どもは親と一緒にいる時間以外にも「自分の頭で考える」ように成長していきます。
そのうちに、子どもに保護者が付き添わなくても、漢字の書き取りや計算などの教材を自分で進めていけるようになります。そこまでお子さまが成長すれば、保護者のかたが、時間もパワーもかける必要がなくなりますよね。
また、塾の費用に悩んでいるご家庭も少なくないと思います。「せっかくお金をかけているのに、子どもがきちんと取り組まずイライラする……」、そんな心情もあるようです。お金を払い、ストレスまで貯めてしまうことは、決してよい状態とはいえません。
子どもの興味に合わせて教材などを活用すれば、塾にいくよりも結果的に時間もパワーもそして、何よりコストも削減できます。このようなご家庭での学習の環境整備に、力を注いでいくことがおすすめです。
まとめ & 実践 TIPS
勉強しない子どもに対し「塾に行けばなんとかなる」と考えるのではなく、まずはご家庭で「自分の頭で考える力」を育てることが大切です。日々の生活の中で、「なんだろう」と考える機会を組み込み、親子で話す場面を増やしていくことで、学習に向かう素地を養うことができます。
また、自宅学習は、「年齢×1分/1日」を目安にすればOK。無理のない範囲で家庭での学びを取り入れていくことができれば、塾にかける時間・パワー・コストを削減することにもなります。
お子さまがご家庭での自宅学習をうまく進められるようになれば、保護者のかたのゆとりにもつなげていくことができるでしょう。
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