選択肢問題が多い女子校を受験予定だが、記述問題のほうが得意[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小6女子(志望校:豊島岡)のお母さま


質問

選択肢問題が多い女子校を受験予定です。記述のある一般的な問題のほうが得意で、第1志望の国語は塾での順位も落ち、この12月に(編集部注:相談時)あせりまくっています。先生からは、相性が悪いと言われています。でも、本人は何としてでも入りたい学校なのです。なんとかアドバイスをお願いします。


小泉先生のアドバイス

まずは、選択肢の「消去法」をしっかりマスターできているかを確認

「選択肢問題が多い女子校を受験予定」とのことですが、まずは志望校の豊島岡の出題傾向を調べてみましょう。2011(平成23)年の第1回国語の問題は、漢字の書き取り1、説明的文章1、物語文1と大問3の問題構成で、読解問題の小問数の合計は24問でした〔表1参照〕。設問形式は、選択肢問題が17、抜き出し問題が3、他に記述問題、穴埋め問題、脱落問題、その他が1ずつです。ご指摘の通り選択肢問題が圧倒的に多い学校ですから、選択肢が苦手な生徒さんには相性が悪い学校と言えるかもしれません。

そして、問題はそれだけではありません。選択肢問題の多い試験問題は高得点争いになる場合が多いのですが、2011(平成23)年の豊島岡の国語もそのとおりの結果になっています〔表2参照〕。国語の受験者平均は68.82点で、合格者平均が75.88点ですから、かなり点数が取りやすい試験と言えます。また、算数や理社に比べて、国語の問題は差がつきにくいテストでもあります(算数の受験者平均と合格者平均の差は12.84点、国語は7.06点〔表2参照〕)。国語は問題が易しいために、差がつきにくいのです。すなわち、多くの生徒が安定して高い点を取る「取り組みやすいテスト」であると言えるでしょう。そして、このような高得点勝負のテストで選択肢問題が不得意なために他の生徒よりも点数が取れないと、かなり苦しいと言えると思います。

さらに、問題の特徴をつかむために実際に問題を解いてみましたが、やはり選択肢問題はそれほど難しいものではありませんでした。中にはやや難しいものもありますが、穴埋め問題や抜き出し問題のほうがよほど難しいものがありました。
もちろんすぐにわかってしまうような選択肢問題では困りますから、当校の選択肢にもさまざまな工夫はされています。たとえば通常は4択のところ、豊島岡の選択肢数は5択です。また、選択肢の字数が比較的長いのも特徴かと思います。選択肢数は多いし、一つひとつの選択肢の字数が長いのですから、選択肢問題が苦手な生徒さんはたしかにうんざりするかもしれません。しかし、正解を選ぶための「根拠」が、本文の中の比較的傍線部の近い所にあることが多いのも特徴と言えます。すなわち、これが当校の選択肢が易しい理由です。

以上のように、豊島岡の国語は選択肢が多く、そのために一般的には点数の取りやすいテストになっています。選択肢問題が苦手な生徒さんには不利な学校と言えるかもしれませんから、できれば避けたいところです。しかし、志望校として外せない場合は、対策をたてて少しでも苦手を克服することが大切です。次は、選択肢問題の対策を考えてみましょう。

選択肢問題が不得意な生徒さんは「消去法」ができていない場合が多いと思います。まずは、選択肢の「消去法」をしっかりマスターできているかを確認してください。特に、最後の2択に絞った時点で、その中に正解が残っているかを確認することが大切です。もし残っていない場合は、消去法がしっかりできていないと考えて良いでしょう。また、最後の2択まで絞れるのに、正解のほうを選べない生徒さんは、選択肢の精密な読みが足りないということです。なお、「消去法」のやり方については、7月中旬に発売予定の拙著『まとめ これだけ!国語』(森上教育研究所親のスキル研究会)にまとめてあります。

選択肢の「消去法」を一通りマスターしたら、次は過去問演習でそれらを定着させることです。選択肢の作り方にも各学校のクセみたいなものがありますから、志望校である豊島岡の過去問演習を行い、どこでどのように間違えるかをチェックしてみると良いと思います。そして間違えた場合でも、正解の場合でも、解答解説をよく読んで、「豊島岡ではどのような書き方をして間違った選択肢を作るのか?」とか「傍線部からどのくらいの距離の内容を正しい選択肢の根拠にしているのか?」などを実感してみると良いでしょう。志望校の出題のクセに慣れてくると、思ったよりも問題が難しくないことに気が付き、苦手意識も徐々に薄れていくと思います。





プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

子育て・教育Q&A