説明文を読んでいると文の最初の内容を忘れて、わからなくなる[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小3女子(性格:大ざっぱ・論理的タイプ)のお母さま


質問

説明文が苦手で、作者の言いたいことを理解できなくて悩んでいます。読んでいると文の最初の内容を忘れてわからなくなり、作者が伝えたいことが何なのか、の理解も難しいようです。


小泉先生のアドバイス

まず、文章全体におけるそれぞれの文や段落の役割を説明しましょう。

子どもたちとって、物語文のほうが説明文よりも内容をとらえやすいようです。読み慣れているとか、聞き慣れているということもあるでしょうし、図1に示したように、話が「起承転結」で1本の線でつながっていると感じるので、すっきりしていてわかりやすいのだと思います。

もちろん、大人の読み物になると、話の展開が現在から過去や未来になったり、場面も同時並行で書かれたりとかなり複雑なものもありますが、今の段階では単純なものが多いと思いますのでわかりやすいのでしょう。

さて、説明文はどうでしょうか? 子どもたちにとって、やはり読み慣れていないということが大きいと思います。説明文の展開のしかたは、たとえば図2に示すようなものです。

まず、最初のほうにその文章の「話題」があり、それを読者にわかりやすく説明するために「具体例」「理由」「引用」「エピソード」などの文章の要素が続きます。そして最後のほうに「まとめ・結論」があるというのが一般的です。もちろん、文章によって構成はいろいろでしょうし、それぞれの要素がない場合もあります。

さて、このように説明文は物語文とは異なる構成になっているのですが、慣れていない子どもたちにとっては何かバラバラに見えるようです。イメージとしては図3のように感じているのかもしれません。

ここでは各要素に名前ではなく、1、2、3……と番号を振っていますが、それは、それぞれの文章における役割(たとえば「具体例」など)を理解していないため、子どもたちには単なる文のかたまりに見えていることを表しています。
このような役割のわからない文や段落がそれぞれバラバラに配列されている(ように読める)ので、たとえば文1を読んで文4くらいまでくると、「さて、文1の内容は何だっけ?」ということになるのです。

それでは、説明文を理解するためには、どのように読めばよいのでしょうか? そのために、まず文章全体におけるそれぞれの文や段落の役割を説明しましょう。「話題」とは何か? 何のために「具体例」や「理由(補足説明など)」があるのか? そして、「話題+まとめ・結論」が筆者のイイタイコトであることを伝えます。その際、本文の中でどのようなものが「話題」なのか、あるいは「具体例」なのかを一つひとつ具体的に指し示してあげましょう。初めてだと、「話題」と言われてもなかなかわからないこともあります。

また、どのようにすれば「話題」が見つかるか、たとえば「よく出てくる言葉が話題に関係していることが多い」とか、「『たとえば』と書いてあると具体例だ」ということも教えてあげましょう。そして、それぞれの文章の役割がわかったら、「話題」を常に頭に置いて、それを詳しく理解するために「具体例」や「理由」などがあることを意識して読むように指導します。

読み方のイメージとしてはやや極端ですが、図4で示したような感じです。このように読めれば、文章の要素が「話題」を中心にまとまるので、内容も理解できるでしょうし、最初の内容を忘れてしまうということもなくなると思います。

なお、最初のうちは、それぞれの文章で大切なだと思われるところに線をひいたり、「ここは『○○という話題』」とか「この部分は具体例」などとメモをとったりしながら読むとよいでしょう。スピードは遅くなりますが、慣れてくればそれほどメモすることもなくなり、少しずつ速く読めるようになると思います。



プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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