微妙にずれて書き写すので、○付けで×にすべきか悩みます[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小4男子(性格:感情的・強気タイプ)のお母さま


質問

国語では文章から抜き出すような解答でも、微妙にずれて書き写すので、(過去形が現在形に、漢字がひらがなになっている、など)○付けで×にすべきか悩みます。算数では図形を描く問題などが雑だったり、平行な線をひくのに三角定規を使うのを面倒くさがったりします。


小泉先生のアドバイス

わたしが採点者なら×にします。部分点もあげません。

抜き出し問題というのは、「~にあてはまる五字の語句を本文中から抜き出して答えなさい」とか「これと同じ内容を表す部分を、文中から十五字以内で抜き出して答えなさい」などの問題です。正確に抜き出すことが求められますから、一字でも違えば0点でも文句は言えません。本文の文字をそのまま写せば良いのですから、そんなに間違えるはずはないと思うのですが、案外、写し間違いは多いのです。
よくあるのが、「ひらがなを漢字に直してしまう」というケース。本文ではひらがなで書いてある言葉を、わざわざ漢字に正しく直してしまうのですから気の毒ではあります。しかし、わたしが採点者なら×にします。部分点もあげません。実際の採点の現場では、場合によっては部分点をあげているかもしれませんが、「抜き出し」という条件を考えれば一字でも違えば正しく抜き出していないということになります。
試験でより高い点数をとるためには、普段から条件は厳しくしておいたほうが良いと思います。そうしないとなかなかこの手のミスは直りませんから、お子さまに対しても「ここが違う!」と大きく×をつけてあげましょう。お子さまがもし「塾では△がつく(部分点をもらえる)」と文句を言ってきたら、「そういう先生もいるかもしれないけど、試験ではどんな先生が採点するかわからないから、厳しめに採点する」ということで納得させてください。

抜き出し問題では「本文の内容をそのまま書き写す」のが条件ですが、問いの条件をきちんと満たした答案作成を心がけたいものです。たとえば記述問題で字数制限がある場合は、その80~100%の字数で答案を仕上げるのが受験の常識です。「五十字以内で説明しなさい」というのであれば、「四十字から五十字で答案を仕上げなさい」ということです。「五十字程度で説明しなさい」という条件がある場合は、四十字から五十字前後で答案を仕上げることになります。いずれにしても、指定の半分程度しか書いていないような場合は、0点でも仕方ないと覚悟すべきでしょう。
その他には、「具体的に書きなさい」とか「本文の言葉を使って」などの条件が添えられる場合もあります。慣れていないとそれらの条件が何を意味するのかさえわからないかもしれません。特に志望校に特有の表現がある場合は、それに慣れて、その条件に沿った答案を作成できるようにしておくことが大切です。たとえば日本女子大学附属中学校では「自分のことばで書きなさい」という条件がよく出てきます。これは、「文章中の表現をあなたの言葉で言い換えなさい」とか「文章の内容をあなたなりにまとめなさい」ということを意味しています。この条件に沿って答案を仕上げなければ、良い評価は得られそうもありません。条件通りに答案を仕上げることが、いかに大切かわかります。

最後に、算数で「平行な線をひくのに三角定規を使うのを面倒くさがります」という点について。もちろん、三角定規やコンパスなどを適切に使えるようにしておくことは大切です。そのためには、三角定規を使って平行線を描く練習もきちんとすべきでしょう。ただし、試験場には三角定規などを持参できない場合も多いので、フリーハンド(定規などを使わない)でも図に平行線や補助線を引けるように普段から慣れておく必要があります。低学年のうちはなかなか難しいのですが、だんだんと上手に図を描けるようになります。図がきちんと描けないと、解くための手がかりを見過ごすこともありますから、フリーハンドでもきれいな図を描けるように練習していきましょう。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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