国語の偏差値はどうしたら安定するのか悩んでいます[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。



質問者

小5女子(性格:大ざっぱ・感情的・強気なタイプ)のお母さま


質問

国語の偏差値が安定しません。地元の大手塾のテストやゼミテスト(週テスト)で、偏差値70以上を取ることもあれば、60以下を取ることもあります。特に苦手な分野(説明文が苦手など)があると言うよりは、問題の内容そのものが本人の好き・嫌いに大きく影響されている感じです。
好きな問題の時だけを選んで受験できるわけではないですし、どうしたら安定するのか悩んでいます。現在は通塾の他、家庭で偏差値60以上を目指すための問題集をさせていますが、初めは50点くらいだったのが、最近は70点から80点を取れるようになってきたのですが、問題集の特徴に慣れてきたからかと思っています。本当の国語の実力を付けさせるにはどうしたらよいのか、お知恵をお貸しください。


小泉先生のアドバイス

「客観的に考える」ようにすれば、試験の偏差値も高めに安定していく。

物語文にしても説明的文章にしても、筆者のイイタイコトを的確につかむためには、文章をビジュアル化できる「想像力」とともに、それを「客観的に判断する力」が必要です。
「想像力」がなければ、物語文における登場人物の気持ちや論説文における比喩表現などをうまく理解することはできないでしょう。また、「想像力」とは先を読む力でもありますから、文章を的確に速く読むこともなかなか難しいと思います。
また、「客観的に判断する力」がなければ、想像したことは主観的な思い込みになってしまう危険性があり、最悪の場合は筆者のイイタイコトとは全く方向の違う「妄想」になってしまう可能性さえあります。「想像力」というのは自分の経験や知識をもとにした主観的なものですから、それに「客観性」を持たせるのは相反する作業のように思えます。
しかし、これらの作業を同時に行うことが、入試の国語に答えるということなのです。

さて、お子さまの場合は、「感情的」な性格であり、豊かな想像力をお持ちのようにお見受けします。しかし、「大ざっぱ」であり文章の細かいところまで気にすることがないため、自分が想像したものと文章の内容が矛盾してもそれほど気にならないのかもしれません。しかも、「強気な性格」のため、「こうに違いない!」と思い込み納得してしまえるのでしょう。そのため、筆者のイイタイコトとお子さまの想像したものが一致している場合は、それこそすばらしい模範解答に近い答案が書けるのだと思います。
しかし、方向性が違っている場合は「妄想」となり、とんちんかんな答案になってしまうことになります。偏差値70以上の場合もあれば、60以下の場合もあるという状況はこのようにして生じているのだと考えます。お子さまの場合はまだよいほうで、それこそ偏差値70と40を行ったり来たりするケースもあるほどです。

このような状況を直すには、お子さまに「客観性」を持たせることです。世の中には「絶対」ということが案外少ないこと、また、出来事には因果関係が付きものであり、その理由や原因を考えることが、それを理解する時に役立つと示すことです。それはある意味では大人になることであり、物事を深く考える方法論でもあります。
具体的には、国語の問題を解いて出してきた答えに対して、「なぜそのように考えたのか?」「根拠は何か?」「他の視点はないか?」などを問いかけることでしょう。そして、そのような思索をすることで、より深い思考ができるような習慣を身に付けることだと思います。

なお、「初めは50点くらいだったのが最近は70点から80点を取れるようになってきた」とありますが、それは「問題集の特徴に慣れてきたから」だけではなく、その問題集を通して「客観的に考える」ことを知らないうちに実践しだしているからだと思います。他の問題を解く時や模擬試験を受ける時にも、同じように「客観的に考える」ようにすれば、試験の偏差値も高めに安定していくと思います。



プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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