小さい時はどうしておけばよかったのでしょうか[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小4男子のお母さま


質問

国語の文章問題で、驚くほど見当違いの答えを出す時があります。小さい時から読書は大好きで安心していたので驚いています。読書が好きなだけではだめなのがわかったのですが、小さい時はどうしておけばよかったのでしょうか。算数は展開図が苦手らしいのですが、数をこなせば慣れてくるものなのでしょうか。


小泉先生のアドバイス

小さい時から「考える読書」の習慣を付ける

「学びて思わざれば則ち罔(くら)し。思いて学ばざれば則ち殆(あや)うし。」という孔子の言葉どおり、ただ本を読むだけで自分で考えることをしないと、本当の知識は身に付きません。読書の場合も同じで、物語のストーリー展開だけを楽しむだけではなく、小さい時から「考える読書」の習慣を付けると国語力がグングン伸びていきます。

「考える読書」を実践する一つの方法は、折りに触れて「なぜだろう?」「どんなだろう?」「どうなるのだろう?」を考えさせることです。たとえば、「なぜそのような態度をとったのか?」を考えることで、間接的な心情表現を見つけることや登場人物の気持ちを推測することが上手にできるようになります。あるいは、途中で本を伏せてこれからの物語の展開を考えさせることで、想像力を養うことができます。
ただし、このようなことばかりやらせていると、読書に集中できず最終的には読書自体をいやがるようになる可能性もあります。タイミングを見計らって、遊び感覚で時々やらせるのが良いでしょう。

「考える読書」は、「手を動かす」ことで実践することも可能です。たとえば、物語の一つのシーンを絵に描かせてみるのも楽しいでしょう。絵を描かせるなどして手を動かすことは、「考える」ことに直接つながります。国語で問題文を読む時は、大切な箇所に線を引きながら読みなさいと言われます。これは、集中力を高め、考えるために手を動かしているのです。また、絵を描くことで、文章の細かい箇所まで読み込む習慣を付けることもできると思います。

本を読んでいる子どもの姿を見ると、親はそれだけで安心してしまいがちです。実際、何も言われなくても、「なぜ」を考えながら本を読んでいるお子さまも少なくないでしょう。しかし、ストーリーを追いかけているだけの場合もあります。あまり学年が高くならないうちに、お子さまと物語を読みながら、「なぜだろうね?」と問いかけてあげてください。   

なお、「手を動かす」ことは算数でも効果的です。今回のご質問で「展開図が苦手」とありましたが、たとえば、問題の展開図を切り取り、実際に「立体の組み立て・展開」の作業をすることは効果的です。組み立てや展開の動きが具体的にわかるようになり、紙面上で問題に取り組む時も、その動きを想像することができるようになります。問題集を直接切り取れない場合は、展開図の部分をコピーして使えば良いでしょう。少々面倒ではありますが、時間をかけるだけの価値はあると思います。

算数の問題を解く時、「手を動かせ」とよく言われます。この場合は、紙に数字を書き出したり、問題の内容を絵や図にしたりすることを指しますが、原理は同じです。すなわち、「手を動かす」ことは「考えること」に直結しているということです。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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