国語の読解問題 登場人物の気持ちは実体験をヒントに読み取る

中学受験の国語において絶対に避けて通れないのが、物語文の読解問題。しかし、なかなか登場人物の気持ちを読み取ることができずに、悩んでいる子どもも少なくないだろう。そんな読解力不足に悩む子どもを持つ保護者の質問に、中学受験のスペシャリスト、平山入試研究所の小泉浩明氏がアドバイスする。

 

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【質問】
読解の問題ができません。文章中に、たとえばAがBに意地悪をして、後ろめたい気持ちのままCと遊ぶ様子が書かれていて、Aの気持ちはどれか、という三択問題で、(1)Cと遊べて楽しい(2)自分ばかり大変な思いをしていて嫌だ(3)後ろめたい気持ち、と並んでいても(1)を選んでいて、文章を読んで人の気持ちをおもんぱかるということができないようです。理由を聞くと、「だって結局遊んでいるんだから楽しい気分でしょ」とのこと。思えば、好きな本は図鑑や百科事典で、物語は敬遠していました。(小4男子を持つ母親)

 

【小泉氏のアドバイス】
行動だけでは、その人の気持ちはわからないことを実感させると良いでしょう。どうやるか? それはお子さま自身に、そんな体験がなかったかを思い出してもらうのです。

 

たとえばお父さんやお母さん、あるいはほかの誰かから何かをプレゼントされた時に、「ありがとう」とは言ったものの、本当は「あれが良かったなあ」という気持ちになったことはなかったか? たとえば、先生にほめられてうれしそうに笑っていたが、本当は恥ずかしかったとか、皆の前でほめられて嫌だったなんていう経験がなかったか?ということです。学校の中であるいは家で、一つひとつ思い出していけば、一つや二つはきっとそんな経験があるはずです。そして、もしそんな経験を見つけたらしめたもの。「ね! 人は言葉や行動だけでは気持ちがわからないこともあるのよ」と付け加えてあげましょう。

 

それでは、その人の本当の気持ちがわかるためにはどうしたら良いのでしょうか? 現実の生活でも、「表情」や「言葉の言い方」などがヒントになることはあります。そして、物語文の場合では、筆者が読む人のためにヒントを残してくれていることが多いのです。しかも、問いとして出題されるのはまさにそんな箇所なのです。ということで、例として出してある問題なら、「後ろめたい気持ちのままCと遊ぶ様子」があらわれている箇所を示して(多分どこかに表現してあると思います)、「ほらここにヒントが書いてあるでしょ!」とその場所を示してあげてください。

 

なお、どう考えても推測できない問題や推測しづらい問題が出題されている場合はあります。あまり練られていない問題と言えるでしょう。そんな時は、「この問題の場合は、君の答えでも正しいね」と言わざるを得ないでしょう。つまり、論理的に気持ちを確定できる根拠が本文にないのですから、答えがいくつも考えられるということです。入試における国語力を強化するためには、ちゃんと根拠のある問題を演習することが大切ですから、問題集を選ぶ時にはその点も注意する必要があるということです。

 

出典:文章を読んで人の気持ちをおもんぱかるということができない[中学受験] -ベネッセ教育情報サイト

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