時間内に問題が最後まで解けません[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小6男子(性格:論理的)のお母さま


質問

入試問題の読解は長い文章が多く、時間内にまず問題が最後まで解けません。最後のほうの記述はほとんど空欄となります。時間内に問題を解く何か良い方法はありますか。本人は時間さえあれば、答えられる問題はあると言います。


小泉先生のアドバイス

テストにおける時間配分を意識する

本来であればできた問題なのに、そこで点数を落としてしまうのは何といっても悔しいものです。お子さまの悩みである、「時間内に問題が最後まで解けない」という原因はいくつか考えられます。

まずは、問題文を読むスピードが遅い場合です。一般的な大人が文字を読む速さは、1分間に600字と言われています。中学受験生も、6年生になればそのくらいのスピードは欲しいものです。もちろん、スピードを得るために、問題文を雑に読んでしまっては困ります。正しい答えを得るためには、問題文をしっかり読む必要はあります。
「しっかり」、しかも「速く」読むということを同時にやるにはどうしたら良いでしょうか? それは、読むことに対する「集中力」を上げるしかありません。難しい論説文など、5~6行読んだだけでうんざりしてしまい、あとは文字を目で追っているだけで意味が頭に入らない状態になっている可能性があります。
集中して読むためには、とにかく読み慣れることが必要です。最初はやさしめの「説明文」から、テーマは「自然環境」や「動植物」などを読みましょう。慣れてきたら「論説文」を、テーマは「日本と欧米の文化の比較」や「言語・コミュニケーション」を読むと良いと思います。徐々に文章の難度を上げていくことで文章に慣れていきましょう。問題文の難しさに負けない気力と読解力を付けていくことが大切です。

案外多いと思われるのが、設問を解く順番やテンポに問題がある場合です。以前指導していた例ですが、問題文が長く、しかも問いの数も多いため、どうしても志望校の問題の点数が50点くらいしかとれない生徒がいました。お子さまの場合と同じで、あとで復習するとできる問題はいくつもあるのです。おそらくどこかで時間をロスしていると考え、その生徒に問題をやる順番と、どの問題でてこずったか確認してみました。すると、「記述問題」や「抜き出し問題」でかなり時間を無駄にしていることがわかりました。
そこでひとつの戦略を与えて、問題をやらせることにしました。戦略とは、1)記述問題は素晴らしい答案を仕上げようと考えず部分点狙いとする。2)抜き出し問題で迷ったら深追いしない。3)問題文が比較的短い論説文から手を付ける(その学校の物語文はかなりの長文でした)。
これらの方針のもとに過去問演習を実施したところ、次からは70点以上とれるようになりました。その生徒の場合は、読解力はある程度付いていたのですが、問いを解くテンポ、つまり時間配分に問題があったのです。

この他にも、記述問題や選択肢問題の解き方がまだわからないなど、基礎力に原因がある場合もありますが、「読解力はどうか?」や「問題を解くテンポや順序はどうか?」など、一つひとつをチェックすることで問題解決の糸口は見つかると思います。特に、読解力にしても解答力にしてもある程度は力があるはずなのに、なぜか試験の点数が悪い生徒さんは、テストにおける時間配分を意識することで得点が急上昇する場合があると思います。見落としやすいポイントだと思いますので、チェックしてみてください。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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