時間が足りなくなり、未解答の問題がいくつかあります[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小5女子(性格:やや神経質・弱気タイプ)のお母さま


質問

模試などの時に時間が足りなくなり、未解答の問題がいくつかあります。計算自体は遅くはないようです。


小泉先生のアドバイス

それぞれの問題をどのくらいで解くべきかを考え対処していく

模試などで時間が足りなくなり、手が付けられなかった問題が残ってしまうことがあります。しかも、自宅で見直してみると、案外簡単な問題だったりします。そんな場合は、おそらく一つの問題に引っ掛かってしまい、時間をかけ過ぎたために、ほかの問題をやる時間がなくなってしまったのでしょう。
引っ掛かってしまった問題が非常に難しい場合は、いわゆる「ステ問」にこだわり過ぎたということになります。その問題が「ステ問」なのかどうかは、模試データの「問題ごとの正答率」をご覧になればおわかりになると思います。たとえば、正答率が50%であれば、半分の生徒ができているわけですから、「ステ問」ではありません。お子さまが単に苦手にしているだけということになります。しかし、正答率が10%の問題であれば、これは「ステ問」と考えても良いでしょう。
試験中でのステ問の見分け方はなかなか難しいのですが、ある程度考えても方針が立たなければ、思いきって次の問題に取り掛かる気持ちの切り替えが必要です。これができる生徒と、できない生徒では、たとえ同じ実力であっても、試験の得点が違ってきます。当然、本番でも得点差が出てきますから、今からできる問題をすべて拾い、得点を最大にする答案の作り方を練習しておくべきだと思います。

それからもうひとつ。「ステ問」ではないのですが、計算間違いや勘違いで問題がどうしても解けなくなる場合があります。特に、最初のほうに出てきた問題が解けないと、さすがに焦るかもしれません。そして、どうしても解いてやるという気持ちになって、どんどん時間をかけてしまいます。結果として解ければまだしも、やはり解けなかったとなると、傷口は大きく広がります。
このように、「最初のほうに出てきた問題は意地でも解きたい」という生徒さんは少なくないでしょう。しかし、これも得点を最大限にできない模試の受け方です。最初のほうにある簡単そうな問題でも、ある種のヒラメキがないと解けない問題は少なくありません。受験生の目的は、得点を最大にすることだということを忘れてはならないのです。

このように、一つの問題にこだわってしまうタイプの生徒さんには、「神経質なタイプ」のお子さまが多いようです。何事もきっちりやらないと気が済まないため、「こんな問題ができないはずがない」とついがんばってしまいます。そして気が付いてみたら、時間が足りなくなってしまうのです。
全体の時間から、それぞれの問題をどのくらいで解くべきかを考え対処していく冷静さが求められます。試験中に自分をコントロールするということですが、こういった能力も受験では必要になってきます。6年生になる前に、身に付けておきたい力だと思います。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

子育て・教育Q&A