以前解けなかった問題が解けるようになったが、早とちりによるミスが増えた[中学受験]
質問者
小5女子のお母さま
質問
以前は算数が大の苦手だったのですが、本人の努力もあり、解ける問題が多くなり一時は成績も上がりました。以前解けなかった問題が解けるようになったのですが、そのかわり最近では早とちりによるミスが増え、逆に成績が下がってきています。毎回注意するのですがなかなか直りません。このような場合、基本問題に戻って勉強し直したほうが良いのでしょうか?
小泉先生のアドバイス
適切な問題を演習すれば、すぐにコツを思い出すことができます
基本問題といってもとらえ方がさまざまですから、まずは問題の難易度に関して定義したいと思います。たとえば、簡単な問題から難しい問題順に、「基礎問題」「基本問題」「標準問題」、そして「入試問題」とします。ここで基本問題とは、問題集における例題レベルと考えます。該当の単元を理解させるために詳しい説明がされており、塾で扱う場合は先生が解説に使う問題です。そのあとに生徒たちは、自分でやさしめの「基礎問題」を演習します。そして慣れてきたら例題レベルの基本問題を自力で演習することになります。さらに、その単元のまとめとして標準問題にあたりますが、これらはやさしめの入試問題と考えてよいでしょう。この「基礎問題」「基本問題」「標準問題」の流れが、生徒が通常使用しているテキストの一般的な構成です。
さて、今回のご質問では「以前解けなかった問題が解けるようなった」とありますが、これは苦手単元の「基本問題」や「標準問題」が解けるようになったのでしょう。おそらく、苦手単元の問題をコツコツと解くことにより、少しずつ解き方がわかってきたのだと思います。受験の算数や数学は、演習量に比例して成績が伸びていきます。今できなくても、問題量を適切にこなしていけば必ず解けるようになります。それを信じて、日々の演習に励むことが大切です。
では、なぜ「そのかわり最近では早とちりによるミスが増え、逆に成績が下がって」しまったのでしょうか。それは、前にはできていた単元の問題をやらなくなったため、やり方を忘れてしまったのです。
受験の算数や数学を解く時は、常に時間との闘いです。以前は得意であった単元の問題でも、しばらく触れていないと解法のリズムを忘れてしまいます。つまり、試験の時間内に解けなくなるのです。たとえば、算数の得意なお子さまが2週間まったく算数の問題演習を行わないと、以前のように軽快に問題を解けなくなりがちです。もちろんしばらく練習すれば、解き方のコツを思い出すでしょうが、それほど日々問題に触れているということが大切であるということです。
今回のお子さまの状態も同じで、難しい問題や苦手な単元を勉強しているうちに、以前はできていた単元の問題をスムーズに解けなくなってしまったのでしょう。でも、嘆くことはありません。適切な問題を演習すれば、すぐにコツを思い出すことができます。
演習方法としては、以前勉強した問題集を復習するのが一番だと思います。できなくなった単元の基本問題を何題か解いてみましょう。なかなか解けないようなら、基礎問題までレベルを下げるべきでしょうが、なんとか自力で解けるようならどんどん基本問題を解いていきます。この時、すべての基本問題を解くのも良いでしょうが、「奇数番号の問題だけ」とか「偶数番号の問題だけ」を解くのも効率的な方法の一つです。そして、ある程度自信がついたら、標準問題にチャレンジします。このころになると、以前の解法のコツを思い出していると思います。
このように、すでに得意になった単元も時々は復習することが必要です。新しい単元を学び、苦手な単元を征服しながら、しかも得意な単元を復習するのは確かに大変な作業ではあります。しかし、しばらく放置しておくと忘れてしまうのも仕方のないことです。なるべく効率的な復習を心がけつつ、少しやり方を忘れたと思ったらすぐに何題か演習することが大切だと思います。