「進学者数」で本当の実力がわかる[大学合格実績の見方 第2回]
「大学合格者数」が何を表すかは学校によって異なる
最近の保護者は、学校のホームページによくアクセスすると思います。各校のホームページを見ると、「進学実績」「進路状況」と表記していながら、実際は「延べ合格者数」の数字であることがほとんどです。単純に他校と比較された時に見劣りするのを避けるため「延べ合格者数」で表記しているのです。
「延べ合格者数」というのは、1人の生徒が10の大学(学部)に合格すれば10とカウントされます(「センター試験利用入試」の広がりで、合格者数がものすごく膨らんでいる学校があります)。
このほか、一般受験で多数の学校を併願している生徒が多い場合は数の膨らみが大きく、AO入試や指定校推薦などで決めてしまう生徒が多い場合は膨らまないということもあります。
これに対して、「実合格者数」という数字が取り上げられることがあります。これは1大学の5学部に合格したとしても1とカウントされる数字です。1人の生徒が5つの大学に合格すれば5とカウントされます。
「進学者数」を公表する学校は自信がある学校
さらにここへきて、「進学者数」を公表する学校が徐々に増えてきました。生徒が実際に進んだ大学だけをカウントしようというもので、文字どおり「進学実績」になるわけです。
公立の場合には都道府県によって高校側の意識に差が大きいようです。公立・私立を問わず、お子さまの志望校のホームページをのぞいて、「進路状況」として掲載されている数字がどのような数値なのかチェックしてみるといいでしょう。大学名だけで数字が出ていない学校、数字が出ていても過去3か年のみの学校、浪人を含んだ数字の学校……と実にマチマチです。
「進学者数」を公表している学校はまだ少数ですが、これを出している学校は自信があるということがいえますし、その学校でどのくらいの位置にいればどの大学に行けそうか、大まかな目安をつかむことができます。
「進学者数」を公表している学校の中から1例を挙げて、「延べ合格者数」と「進学者数」がどのくらい違うものかをご紹介しましょう。東京の共学の中堅校のケースです。
大学名 | 延べ合格者数 | 進学者数 | 差 |
---|---|---|---|
筑波大学 | 4 | 2 | 2 |
一橋大学 | 2 | 2 | 0 |
首都大学東京 | 4 | 3 | 1 |
千葉大学 | 4 | 3 | 1 |
早稲田大学 | 30 | 10 | 20 |
慶応義塾大学 | 9 | 3 | 6 |
上智大学 | 10 | 2 | 8 |
東京理科大学 | 29 | 7 | 22 |
明治大学 | 36 | 4 | 32 |
青山学院大学 | 19 | 5 | 14 |
立教大学 | 33 | 6 | 27 |
中央大学 | 26 | 5 | 21 |
法政大学 | 43 | 8 | 35 |
国公立大学は入試日程が同一なので(ごく一部、日程をずらして入試を行っている大学があります)、併願ができません。そのため合格者数と進学者数がどこも近似値になります。一方私立大学は、他大学との併願はもちろん、同一大学内でも他学部と併願できるようになっていますから、1人がいくつもの大学・学部に合格する場合があります。そのため、表のように延べ合格者数と進学者数は大きく異なるのです。この学校の場合、早稲田大学や慶応義塾大学のような難関大学でも、進学者数は延べ合格者数の3分の1程度です