夏休みの学習 基礎固め[中学受験]

夏休みは基礎をしっかり学習するのに良い機会だと思う。一般的にどの科目でも基礎ができていない場合はやさしい受験問題を解くことはできても少し難しくなると解けなくなり、最終的には成績が伸び悩む。基礎を完璧にすることは難しいにしても、受験問題を解くようになる5年生までに基礎学力をしっかり身に付けておくといわゆる後伸びができる。

算数では、計算だけではなく、文章題の基本的な考え方や図形問題の公式を理解することも基礎のうちである。国語では、漢字やことわざなどの暗記すべき事項のほかに読書もある。問題文に段落を付けることや問題文の主旨を捉えることも基礎と言ってよい。理科・社会については、重要事項の暗記が基礎となる。塾でも学習する内容だが、多くは家庭学習で定着をはかる内容が多い。

基礎を身に付けるには、暗記などの地道な努力が必要で、それを嫌う性格の子どもには敬遠されがちで、結果としていつまでも身に付かないことになる。理科・社会は暗記する事項が多く、その部分が基礎となる科目で、暗記を嫌う生徒は往々にして算数・国語は得意だが理科・社会は不得意ということが多い。その生徒は、単に理科・社会の基礎である暗記ができていないのだ。
また、受験問題では、基礎が問われることは少ない。模擬試験でも基礎がわかっているだけでは得点できないので、生徒が基礎を軽視する原因となる。暗記を嫌う生徒にとっては、基礎を学習しない言い訳ともなる。

基礎を学習させるには、子どもが基礎の重要性を理解することが第一歩となる。基礎を学習しても、直接、志望校の入試問題で得点できるわけではないので、その意味では基礎を学習させるうえで子どものやる気を引き出すことは難しい。基礎ができていなければ、最終的には、受験問題が解けないわけだが、そのことを「早期」に実感させるのは困難が伴う。
6年生になって基礎の重要性に気が付いても、取り返す時間が残されていない。せめて、4~5年生までに知らず知らずのうちに基礎がおもしろく理解できるようにしてあげたい。4~5年生であれば、夏休みなどの長期休暇に算数・国語のように時間の掛かる基礎固めを行うことができる。早い時期に基礎学力を身に付けていれば応用力が付きやすく、上位の中学校が狙いやすい実情がある。

子どもには、基礎の重要性は、受験問題を解くようにならなければ実感できないと思う。保護者としては、受験勉強を始める時から、基礎の重要性を理解し、繰り返し基礎に戻って根気よく教えるようにしたい。お子さんが5年生以下であれば、この夏休みを利用して基礎固めをすると良いだろう。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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