夏休みは、基礎力アップに集中! [中学受験 4年生]

保護者の役割は、成長に応じてベストのタイミングで働きかけ、環境を整えていくこと。
4年生を対象に、夏休みの重点課題について取り上げます。



■4年生の理科・社会は「満点」をめざそう

算数、国語に比べ、理科・社会の学習は後回しになりがち。でも、4年生で習う単元は、もちろん入試問題でもよく出ますし、習得に少し時間がかかるものが多いので、夏休み中に取りこぼさず身に付けてしまいましょう。
理科は、月・星の動きや実験器具の使い方。社会の等高線や地図記号は、白地図などを使って手を動かしながら、しっかり知識を定着させることが大切です。
4年生の分だけなら、範囲も決して広くはないので、「理・社は、9割は取る!」ことを目標にするとよいですね。



■計算・言葉の「筋トレ」を

算数の重点課題は「計算」です。塾では、思考力を試す応用問題に時間を取られがちなので、計算に弱い子が多いのです。
国語は、漢字や慣用句・ことわざなどの語彙力。あとは指示語の示す内容をつかむ、接続語を選ぶなど、読解の基礎に集中してください。要約や記述などは、まだ完璧でなくてかまいません。
計算力や語彙力のトレーニングは、筋トレとよく似ています。毎日少しずつやると確実にアップしますが、ずっとほったらかしておくと、ちょうど筋力が落ちるように力が低下していきます。
ただし、計算や語彙力トレーニングは、一人でやっていると飽きてしまいがちです。たとえば1日15分、ラジオ体操のあとやプール帰りなどに、塾や学校のお友達と集まって、計算競争や漢字・ことわざクイズなどを遊び感覚でやるのもいいですね。



■好奇心も大切な「基礎」

また、好奇心--「おもしろい」「なぜだろう」と感じたことをさらに追求していく力も、大切な基礎力です。何かに熱中した経験が、今後の学習の底力になるのです。5年生以降は「机での勉強」が忙しくなってきますので、この夏休みこそ、好奇心を自由に遊ばせることができるさまざまな場を用意してあげてください。
せっかく家族で過ごせる夏休みですから、親御さんの資産もぜひ活用したいものです。たとえば、お父さまが昔昆虫少年だったなら、カブトムシやクワガタ獲りなど、昆虫採集を絡めた旅を企画するのもよいですし、お母さまが芸術通ならば、おすすめの舞台にちょっぴりドレスアップしてご家族で出かけるのもいい。そして、ご自身の熱き思いを、ほんの少し語ってあげるといいのです。もちろん、お子さまが保護者のかたと同じものに興味を示すとは限りませんが、気持ちの一端は伝わることと思います。「鉄道」や「スポーツ観戦」といった一見勉強に関わりのない趣味も、好奇心を刺激するきっかけになります。

一方、社会科で習った地形が観察できる場所や工業地帯、文化遺産などを訪れる、星空観察や野外観察を行うなど、お出かけを学習と関連付けるのもよいでしょう。特に自然の驚異に触れる旅は、強烈な印象を残すのでおすすめです。たとえば山や高原に出かけると、高山植物や昆虫、野鳥、珍しい鉱物、霧や雲海との出合いなど、さまざまな体験ができます。地元の自然や歴史・伝説に詳しい観光ボランティアのかたに、ガイドをお願いするのもよいでしょう。



■自由研究は、ブレーンの力を借りて完成度の高い作品に!

自由研究は、夏休みの成果を示す「作品」。ぜひ、完成度の高いものに仕上げていただきたいですね。保護者のかたが手伝ったり、アドバイスしたりするのもよいですが、理系の大学生や元先生など、観察や実験が得意な人を「ブレーン」に付けるのも手です。そういう人に、よい実験の手順や観察のポイント、科学的なものの見方を教えてもらうと、さらに研究がおもしろくなることでしょう。
自由研究は、プロの研究者が行うポスター・セッションと同じ。研究の要点を大きな紙(ポスター)に目をひくようにまとめ、それを使って説明する形式は、「ショウ&テル」の学習法そのものです。内容をよく理解していなければうまく説明できませんし、わかりやすく、おもしろく伝える工夫も必要です。人に伝える、つまり発信しようとすると、脳はたくさんのことを受信するんですね。学校に提出する前に、おうちで「発表会」を行ってもいいですね。
完成した自由研究は、「何年度作品」などとタイトルを付け、額に入れて飾りましょう。自由研究のために訪れた旅行やサイエンスツアーのアルバムを作るのもいいですね。研究そのものが楽しく、発表してほめられた……。そんな体験ができれば、探究心はさらに伸びていくと思います。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

子育て・教育Q&A