【回答:早川尚子】家庭学習・家庭内コミュニケーション<その3>
「中学受験は親子の受験」とも言われ、保護者のかたの役割はとても大きいもの。受験準備が進むにつれて、心配事や気がかりもいろいろ出てくるでしょう。よくある相談事例について、専門家の先生がたや、合格家庭の先輩保護者のアドバイスを集めました。
文章を速く、正確に読むための練習法を教えてください
国語の問題で、問われている内容が理解できません
読む力を養うために、低学年のうちは何をやればいい?
文章を速く、正確に読むための練習法を教えてください
Q | 読むスピードが遅いようです。家で解き直すとできるので、もったいないと感じています。 文章を速く正確に読み取るにはどのような練習をしたらいいでしょうか? |
A | 読むスピードと正確さは相反するものです。多くの受験生が悩むところです。 丁寧に読むために「印つけとメモ書き」を私はおすすめしていますが、「そんなことをしたら時間がかかる」と子どもたちは言います。お母さまがたは丁寧に読む必要性を感じながらも「解答欄を全部埋めてきなさい」と声をかけてしまいます。そして、6年生の模擬試験が始まる頃になると、「文章が読めていない。どうしよう」という事態になります。 「読む力」がつく前にスピードを要求すれば、文章は読めなくなり、答えも適当に探して書くというようになります。当然、点数は下がります。 ある時期、時間の枠を外して「印つけとメモ書き」をしながら読み、内容を確認して文章理解を深め、設問の条件をはっきりさせて解答するという「読み解く」基本に戻ることが必要です。危機感をもっている6年生の場合は、2〜3か月で「素早く、丁寧に読み、解答し終える」ようになります。 拙著『中学受験 お母さんが教える国語 印つけとメモ書きワークブック』(ダイヤモンド社)は「読む力」と「解く力」をテーマに書きました。参考にしていただければ幸いです。 |
国語の問題で、問われている内容が理解できません
Q | 国語の試験問題で問われている内容を、理解できていないことがあります。できるようになるにはどうすればいいでしょうか? |
A | 低学年ではそのようなことがよくあります。この年齢では、まだ設問解答という意識がないのが普通です。この時期には国語の問題をやることよりも、高学年での国語の学習の土台となる読書、読み聞かせ、教科書の二行書写を毎日の習慣にすることのほうが大切です。 しかし、読解問題をどうしてもやらなければならない環境にあるのならば、設問をゆっくり音読させることと、「なぜですか」というような設問の条件に、「印つけ」をしてはっきりさせておくことを習慣づけてください。 設問の意味がわからないようならば、わかるまでかみ砕いて教えることが必要です。「どうしてわからないの」という態度ではなく、「いくらでも説明するわよ」というくらいの気持ちで接してあげてください。 低学年では、子どもがわからないことを「自分で考えなさい!」と突き放すのではなく、教え、導くという姿勢が必要です。慣れない試験問題を解くうえに、お母さんから怒られながらやるのでは、「国語は嫌い」になってしまうことまちがいなしです。これは避けましょう。 |
読む力を養うために、低学年のうちは何をやればいい?
Q | 読む力をつけるために、低学年のうちにやっておきたいことを具体的に教えてください。 |
A | 低学年での読む力をつける基本は、読書、読み聞かせ、書写、音読です。前の質問「国語の試験問題で問われている内容を、理解できていないことがあります。できるようになるにはどうすればいいでしょうか?」の回答をさらに具体的に実践していきます。 読書が好きならば自由に読ませます。親が読ませたい本を提示する必要はありますが、強制はしないようにします。「本と自分の時間」は基本的には自由に過ごさせてください。 読書が好きではないようなら、読み聞かせをします。絵本を一緒に楽しんだり、寝る前のひととき、想像の世界に浸ったりと、多くの良い体験ができます。 教科書の書写は、二行だけに限ります。句読点や書き出しを一字下げることもきちんと守らせ、一字一句、正確に書き写させます。一つでもまちがえたら消しゴムで消すのではなく、二行すべて書き直しをさせます。そのための二行限定です。書写は高学年での「丁寧に読む」ことの基本につながりますので、ぜひ、毎日の学習に組み込んでください。 音読は学校の宿題にもなるようですが、読むときに感情を込めすぎると、内容の読み取りがおろそかになることがあります。音読後に簡単に内容のチェックをする習慣をつけて、音読と文章理解が一致するようにしておきましょう。 |