【回答:早川尚子】家庭学習・家庭内コミュニケーション<その2>
「中学受験は親子の受験」とも言われ、保護者のかたの役割はとても大きいもの。受験準備が進むにつれて、心配事や気がかりもいろいろ出てくるでしょう。よくある相談事例について、専門家の先生がたや、合格家庭の先輩保護者のアドバイスを集めました。
「読み聞かせ」が手遅れ気味…今から家庭で何ができる?
ことわざや慣用句に適した勉強法は?
国語に苦手意識のあるわが子。どんな勉強法をとればいい?
「読み聞かせ」が手遅れ気味…今から家庭で何ができる?
Q | 「小さい頃からの読み聞かせ」に手遅れの学年の場合、家庭でどのようなことをやっていくといいでしょうか? |
A | 読み聞かせに「手遅れ」はありません。大人でも読み聞かせは心地良いと感じるものです。好きな分野のものを選んでなさってみてください。 本は、最初の部分には背景や説明が書かれているのでそれほどおもしろさがないのですが、中盤からは、話の筋が盛り上がり、ひきつけられるように書かれているものです。ですから、初めの部分は読み聞かせをしていても、その先のおもしろい筋の部分からは、「そこから自分で読むよ」と言うこともあるでしょう。 読解問題の文章を丁寧に読み、内容理解の確認を親子ですることでも、疑似体験や心が動かされるといった読書と同じ効果を得ることができます。読むことが好きではないのであれば、短い文章、あるいは長文を区切って、「音読をしながら印つけとメモ書き」の読解法を始めてみてください。しばらくすると、読解問題の文章の原典を読みたいというようになる可能性も十分にあります。また、丁寧な読解法を身につけると、中学、高校に進んだときに国語が得意科目になることが多いという事実もあります。 今、読書をしないことを大ごとにせず、「国語嫌い」にならないようにと方向転換をなさってみてください。 |
ことわざや慣用句に適した勉強法は?
Q | 言葉(ことわざや慣用句など)の勉強はどのようなことをやっていくといいでしょうか? |
A | 低学年は、カルタやカードで言葉を覚えるのに良い時期です。この年齢ではまだ意味を含めて覚えさせる必要はありません。意味より、音として言葉を入れることが可能な時期ですから、家族で遊びながら、楽しく覚えさせます。 10歳過ぎは、そろそろことわざなどの意味も覚える必要があります。日めくりのことわざカレンダーも役に立ちますし、学習用のまんがも手軽に使えて便利です。 5〜6年生は塾のカリキュラムに従って100パーセント覚えるのではなく、まずは基本的なものを正確に覚えます。赤い暗記シートつきの薄い冊子が手元に一冊あると隙間勉強ができるのでたいへん便利です。 大切なことは、覚えたものを日常会話で使うということです。覚えた言葉は、使えて初めて子どもの語彙(ごい)になります。日常会話の中に慣用句やことわざを入れることは、なかなか難しいことですが、「わが子の語彙」のために大人も少し意識を変えてみましょう。 |
国語に苦手意識のあるわが子。どんな勉強法をとればいい?
Q | 国語にとても苦手意識をもっていて、あきらめてしまっています。 このような子に対して、どのような勉強方法をとるといいでしょうか? |
A | 小学生時代に、テストで良い点数がとれないからといって「この子は国語の力がない」と決めつけないようにします。子どもの力の限界は、案外、そばにいる大人がつくり上げてしまっているのかもしれません。結果として、良いエネルギーが流れず、さらに文章が読めなくなってしまいます。国語が苦手でも、国語嫌いにさえならなければ中学、高校で国語が得意になる可能性は十分にあります。 まずは、「苦手な国語」を請け負う気持ちで、「お母さんの国語教室」を始めてください。そこでは「怒らない、ため息をつかない、上から目線でものを言わない」の3つの点を守ります。親子で楽しく、明るく、テンポよく読み合わせをします。 教科書や塾のプリントから、短めの問題文を選んで、「音読をしながら、印つけとメモ書き」をします。やり方は、拙著『中学受験 お母さんが教える国語 印つけとメモ書きワークブック』および、『中学受験 お母さんが教える国語』(共にダイヤモンド社)を参考になさってください。 ポイント制にして親子学習をすることも、子どもを乗せる一つの手です。ポイント制は、子どもの努力を目に見える形にするという点で、子どもの励みになります。 |