学校説明会で「我が子に合った学校」を見極める[中学受験]

学校イベントの見極め方のデータを整理していて、おもしろい傾向があることがわかった。学校イベントは、最も参加率が高い学校説明会のほかにも、文化祭・オープンスクール・合同説明会・個別学校訪問などがある。それらの学校イベントについて、中学校に在籍している保護者に、どのような学校イベントの見極め方が有効だったかをアンケートで調査した。

学校イベントで見極めるポイントは、外面的な確認事項と内面的な確認事項の二つに大きく分けることができた。入学後の満足度が高い保護者が、入学前に学校イベントでチェックしていた項目を分析すると、各学校イベントで共通しているのは「在校生と教職員の礼儀・服装・言葉づかい・態度など、学校全体の外面的な清潔・整頓などの外面的な確認事項」の良し悪しはチェックしやすいが、それだけでは「我が子に合った学校」かどうかを判断することは難しいことがわかった。それに引き換え、「在校生・教職員・学校全体の内面的な確認事項」は見極めにくいが、これら内面的な事項を確認すると「我が子に合った学校」かどうかを判断することは比較的たやすいことがわかった。

しかし、ひとつだけ例外として、学校説明会における「教職員の礼儀・服装・言葉づかい・態度など」だけは、外面的な確認事項にもかかわらず、これをチェックした保護者は入学後の満足度が高かった。つまり、学校説明会では、わかりやすい「教職員の外面的な礼儀・服装・言葉づかい・態度など」で学校を見極めることができて、「我が子に合った学校」かどうかがわかるのだ。なぜ、学校説明会での教職員の外面的な確認事項で、「我が子に合った学校」かどうかがわかるのだろうか?

アンケートの保護者のコメントから、その理由がわかる。コメントを見ると「校長先生の話から学校の教育方針や校風等がわかるので参考になった」「リーダーによって組織は決まるので、校長の話や態度をしっかり見ることで学校がわかる」「学校説明会時、諸先生方の話が簡潔・明瞭であった学校は、入学してからもきちんとした指導を行っている場合が多い」「校長先生の人となりを見ると、全体の教師像が見えてくる」のように、教職員の外面的な確認事項と言っても、校長先生・幹部の先生方の内面や人物像に直結する話の内容に注目していることがわかる。

保護者にとって、外面的な確認事項はわかりやすい。一般的には外面的な確認事項では「我が子に合った学校」かどうかを見極めることは難しいが、唯一、学校説明会では、外面的な確認事項である「校長先生や教師の言動」に注目することによって、「我が子に合った学校」かどうかを見極めることができる。ということは、校長先生の話の内容で志望校を選定しようとするのはとても合理的なことなのだ。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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