「我が子に合った学校」に入学できる可能性[中学受験合格言コラム]

「我が子に合った学校」に入学できる可能性

入学前は「我が子に合った学校」と思えたが、入学後はそう思えない保護者はどれだけいるのか? 逆に、入学前は「我が子に合った学校」かどうかわからなかったが、入学後はそう思えた保護者はどれだけいるのか? さらに、第一志望校と併願校に進学した場合で「我が子に合った学校」と思える割合に違いがあるのだろうか? 近年、中学入試の難易度は下がっているが、誰もが第一志望校に合格できるわけではない。併願校に進学すると不本意入学になる可能性が高くなるのではないか? と、保護者としては気になるところだろう。

 これまで、「在籍校は『我が子に合った学校』だと思いましたか?」という質問を行ったアンケートは少ないため、サンプルとして「(1)第一志望者が少ない学校」と「(2)第一志望者が多い学校」の2タイプを選び、分析した。<資料1>で第一志望(第一志望として受験し、入学した在校生)と併願(併願校として受験し、入学した在校生)の割合を見ると、(1)が第一志望19%、併願81%、(2)が第一志望60%、併願40%で対照的な学校であることがわかる。また、その差も示した。

 <資料2>では、無記名とはいえ、学校のアンケートということもあり、「いいえ」と回答する保護者は少ない(実際にいいえと回答した割合は1~3%)。そこで「どちらともいえない」には「いいえ」も含まれていると考え、ここでは肯定的な「はい」以外は否定的な回答とし、「はい」の回答割合で評価する。入学前に、在籍校は「我が子に合った学校」だと思いましたか?という質問に対し、「(1)第一志望者が少ない学校」と「(2) 第一志望者が多い学校」を比べると全体では(1)は55%、(2)は83%が「我が子に合った学校」と思っていた。また、併願では(1)は52%、(2)は81%が「我が子に合った学校」と思っていた。このことから、志望校選定時に学校をよく調べていて、少なくとも50%以上の保護者が「我が子に合った学校」を併願校として選び、入学前から「我が子に合った学校」と思っていた保護者が多いことがわかる。

 <資料3>では、入学後に、在籍校は「我が子に合った学校」だと思いましたか?という質問に対し、全体では(1)は86%、(2)は89%が「我が子に合った学校」と思う保護者でどちらも増加していた。また、併願では同様に(1)は87%、(2)は79%で(1)は増加していたが(2)は横ばいであった。このことから、入学後は、ほとんどの保護者が「我が子に合った学校」と考えていることが分かる。さらに、併願校として入学した場合でも、少なくとも80%程度は「我が子に合った学校」と考えており、不本意入学になる可能性は少ないと思える。

 ここまでの分析から、第一志望校に進学したほうが「我が子に合った学校」になる可能性は高いが、併願校でもそうできる可能性は高いと思える。しかし、よりその可能性を高めるために併願校の選定時に「我が子に合った学校」かどうか、よく検討すべきであろう。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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