学校説明会で、学校の将来性を見極める[中学受験]

偏差値が高い学校は、受験生・保護者に人気が高い。人気の理由は大学合格実績が最も大きな要素となっているが、学校によってさまざまだ。人気のある学校は、大学合格実績だけでなく総合的にも優れているので、入学後の満足度も高い。一般的には偏差値の高い学校に入学できれば、良い学校に入学できたと言えるだろう。我が子に合うかどうかを別にすれば、偏差値の高い学校を選定することは間違いではない。

現実に、受験生・保護者とも人気のある学校、つまり偏差値が高い学校を志望する人は多く、入学するための競争は厳しい。我が子の学力に比べ偏差値が高すぎる学校を無理やり受験させなくとも、我が子の偏差値で狙える学校の中で5年後に人気が出そうな将来性のある学校を探し、志望校として選定することはできる。

大学受験合格実績を例に説明すると、学校の偏差値はその学校の大学受験合格実績とほぼ比例している。偏差値が上がっているということはその学校の大学受験合格実績が上がっていることになる。中学校に入学して5年後はちょうど大学受験に突入したころとなるが、そのころに偏差値が5も上がっているということは入学後に大学受験合格実績が伸び続けたということになり、お子さんの大学受験は5年前よりも相当良い結果を約束されたことになる。

2005(平成17)年から2010(同22)年の間に首都圏私立中高一貫校の入試単位で偏差値(四谷大塚)がどれだけ増減したかを調査した。男子が受験できる入試では、大幅に偏差値が伸びた入試(偏差値5以上増加)はエントリー校236入試中32入試(14%)で、学校数は24校となっている。同様に女子が受験できる入試ではエントリー校287入試中43入試(15%)で、学校数は32校となっている。大幅に偏差値を伸ばしている学校は特定の難易度クラスの学校ではなく、どのクラスにも存在している。

偏差値は順位なので5年後に同じ数の学校が偏差値を下げる可能性もある。実際には、偏差値が減少する入試数・学校数は増加する入試数・学校数よりもやや少ない。これから学校説明会が本格的に行われるので、将来性のある学校かどうかを学校説明会に参加して見極めてほしい。今の偏差値が5年後に5以上増える学校が15%程度はあると考えられるので、7校の学校説明会に参加すれば1校は将来性のある学校が見つかる計算になる。

学校説明会で学校の将来を示すビジョンを提示してくれる学校が近頃は増えてきているが、目標だけを提示し、どのようにその目標を達成するかの説明がない学校も少なくない。ビジョンの説明があっても理解・納得しにくいものでは、教職員や在籍生にも同様で、実現する可能性が低いビジョンとなり、将来性がある学校とは言いがたい。保護者がちゃんと理解・納得できるビジョンを提示してくれる学校を志望校として選定すべきだ。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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