【回答:中曽根陽子】家庭学習・家庭内コミュニケーション<その4>

「中学受験は親子の受験」とも言われ、保護者のかたの役割はとても大きいもの。受験準備が進むにつれて、心配事や気がかりもいろいろ出てくるでしょう。よくある相談事例について、専門家の先生がたや、合格家庭の先輩保護者のアドバイスを集めました。


【【回答:中曽根陽子】家庭学習・家庭内コミュニケーション<その4>

お父さんが熱心すぎて・・・

習い事を続けるかどうか迷っています

下の子どもへの接し方で困っています

お父さんが熱心すぎて・・・

夫が息子の勉強を熱心にみてくれるのですが、子どもの生活・学習をコントロールしようとして、本人が反発してしまうことがしばしばです。間に入る私が板ばさみになって困っています。どのように親が接すれば、子どもは前向きに受験期を乗り切れるのでしょうか?
最近は、熱心なお父さんが増えているようです。お子さんの教育に関心をもってくれるのはありがたいことですが、それもいきすぎると困ったものです。
どちらかが熱心なら、どちらかは客観的になるというように、夫婦で役割分担をすることは大事です。
しかし、「ご主人が、お子さんの生活や学習をコントロールしようとなさっている」という点が気になります。ご主人にお子さんが困っているということを話すことはできますか?
「そもそも、何のために受験をすることにしたのか。どういう結果を出したいと思っているか。それは、お子さんの目標なのか、あるいは親の目標なのか」。この機会にご夫婦でよく話し合ってみてはいかがでしょう。
受験に限らず、親が子どもにしていいのは、コントロールではなくサポートです。
お子さん自身が目的意識をもてるようにサポートしてあげてください。

習い事を続けるかどうか迷っています

週1回のスイミングをいつまで続けるといいのか迷っています。6年生になって、塾が本格化し、体が疲れている様子で、本人はやめたい気持ちと続けたい気持ちで揺れているようです。週1回程度なら、気分転換にもなっていいのかなとも思っていますが、親としてどのように働きかければいいのか、私自身も悩んでいます。
受験勉強と習い事の両立に悩むご家庭は多いようです。塾の取材をしていてもこの件に関しては、「やりたいことは、続けさせたほうがかえってメリハリがついていい結果が出る」と言う先生と、「第一志望校に受かりたいのなら、勉強に専念したほうがいい」との先生に分かれるようです。結論から言うと、「お子さんが自分で結論を出せるようにもっていくこと」ではないかと思います。
そのために、「最終的にどうなりたいのか」という目標に対して、「今の状況を客観的に考えさせ」、「その目標を達成するために、どうしたらいいか」というプランの中で、習い事の位置づけをはっきりさせることが大切です。ご質問のケースであれば、本人がやめたい気持ちと続けたい気持ちで揺れているということですから、「なぜ気持ちが揺れているのか」「一番理想的な状況は、どうなることなのか」ということを聞いてあげて、「ではどうしたら、その状況に近づけるのか」ということを一緒に考えてあげてはどうでしょう。親の考えは伝えてもいいと思いますが、一方的に親が結論を出すと、困難にぶつかった時に「お母さんにやめさせられたから」と人のせいにするようになりかねません。自分で出した結論ならその結果にも自分で責任をとるということを学ぶことができます。

下の子どもへの接し方で困っています

小5と小3の兄弟がいます。今まで一緒に遊んでいた長男が受験勉強を始めたので、次男がかまってもらえず、友達を家に呼べなかったりテレビもあまり見られなくなったりして、「ずるい」と言って機嫌が悪くなっています。下の子どもへのフォローのしかた、納得のさせ方など、どのようにしたらいいのか困っています。このような場合、受験を経験されたママさんはどのように対処されていたのか、知りたいです。
兄弟がいると、下の子どもは少なからず影響を受けてしまいますね。弟さんには、お兄さんが勉強でがんばっていることを話してきかせて、家族で応援できるような雰囲気づくりをしたいものです。その際、なんでも我慢させるのではなく、お兄さんが塾に行っている間に弟さんが遊ぶ時間をつくるなど工夫は必要です。
休日も、受験生がいるとなかなか家族で出かけられなくなると思いますので、弟さんも体験型やスポーツといった習い事などに通わせるのもひとつの方法です。ちなみにわが家では、日曜日にYMCAの自然観察のプログラムに参加させていました。

また、お兄さんが家で勉強している間に、弟さんも勉強タイムをつくって、この機会に勉強の習慣をつけるのもいい方法です。テレビも録画してお兄さんがいない間に見せてもいいのですが、逆にお兄さんにも、弟さんの立場を理解させ、必要以上に受験生を特別扱いせず、それぞれのペースが守れるように配慮してあげるといいのではないでしょうか。

プロフィール



教育ジャーナリスト、「登録スタッフ制企画編集会社<ワイワイネット>」代表。塾取材や学校長インタビュー経験が豊富。近著に『子どもがバケる学校を探せ! 中学校選びの新基準』(ダイヤモンド社)。

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