【回答:早川尚子】受験対策<その4>

「中学受験は親子の受験」とも言われ、保護者のかたの役割はとても大きいもの。受験準備が進むにつれて、心配事や気がかりもいろいろ出てくるでしょう。よくある相談事例について、専門家の先生がたや、合格家庭の先輩保護者のアドバイスを集めました。

記述力を伸ばしたい! コツはある?

物語文の選択肢問題で迷います。選びかたのポイントは?

記述力を伸ばしたい! コツはある?

記述力を伸ばすための方法にはどんなものがありますか?
入試問題の記述と考えた場合、書くことよりも問題文を丁寧に読むことを優先します。内容理解ができていないと、自分らしく堂々と書くことはできません。
まず、設問の条件に「印つけ」をしながら読み、正確にとらえます。文末の不一致を避けるために、「なぜ」と聞かれたら「〜だから」というように条件にそった文末をテスト用紙の余白に書き込みます。
次に、問題文に戻り、解答に必要なキーワードをとらえます。キーワードは多くの場合くり返されていますから、読む段階で、四角(□)で囲んでおくとたいへん有効です。

注意する点は、一文を長くしすぎないことです。主語と述語の関係がわかりにくくなります。無理に一文にする必要もありません。また、会話文をそのまま書かないことと、書き言葉で記述することにも気をつけます。

記述の練習をするときは、一時期、時間をかけて試行錯誤させることが必要です。自分が書こうとしていることを一つずつメモ用紙に書き留め、いろいろに組み合わせ、さらに自分の言葉を補って仕上げる練習は、その子らしい書き方を身につける良い練習となります。大人が練り上げた模範解答をまねするのではなく、キーワードをおさえたうえで、12歳にふさわしい言葉でバリバリ書かせてください。

物語文の選択肢問題で迷います。選びかたのポイントは?

物語文の選択肢問題で迷うようです。親が見ても迷います。
どうやって選んでいけばいいでしょうか?
選択肢問題は、設問の条件を明確にしておくことが第一条件です。なぜなら、選択肢の文章を読んでいるうちに、設問自体の記憶があいまいになるからです。
次に、選択肢の文章は、長い場合は読点(、)で区切り、上下に分け、○、×、△をつけて、それぞれを検証します。はっきりと○、あるいは×といえるものはよいのですが、「どうかな?」と首をかしげるもの、あるいは、自分にはわからないものには△をつけます。こうして2択か3択に絞り、本文に戻って検証します。

気をつけなければならないのは、常識が書かれている選択肢文章です。その内容が設問の条件と違うのなら、常識であっても×です。また、「べきである」、「(〜で)しか…」のように言いすぎているものは、×の可能性があります。
さらに、本文に書かれている文章が、同じ意味で言い換えられている場合も気をつけます。「そんな言葉は書かれていない」と思いきりよく×をつけると、言い換えの言葉であることがあります。常に文章に戻る丁寧さが必要となります。

△をつけることで強引な解答を避けるというこのやり方は、説明的文章、物語的文章のどちらにも通用します。部分点のない選択肢問題ですが、丁寧に取り組めばすぐに点数に反映します。

プロフィール



25年以上に及ぶ中学受験生への指導経験をもとに、サイト「国語の寺子屋」を立ち上げ、国語の原点である「丁寧に読む」ことを提示。著書は『中学受験 お母さんが教える国語』『中学受験 お母さんが教える国語 印つけとメモ書きワークブック』(共にダイヤモンド社)。

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