【回答:早川尚子】受験対策<その3>
「中学受験は親子の受験」とも言われ、保護者のかたの役割はとても大きいもの。受験準備が進むにつれて、心配事や気がかりもいろいろ出てくるでしょう。よくある相談事例について、専門家の先生がたや、合格家庭の先輩保護者のアドバイスを集めました。
解説してもなかなか理解できない場合、どうすればいい?
読むのも書くのもいやがるわが子。国語の力を伸ばせる?
段落ごとのポイントがなかなかつかめない。よい復習方法は?
解説してもなかなか理解できない場合、どうすればいい?
Q | 文の素材になじみがなく、解説しても理解・共感が得られない場合はどうしたらいいでしょうか? |
A | 読解の文章、特に説明的文章は、多くの場合、大人向きに書かれたものから選ばれています。子どもたちは、まず自分からは読もうとはしないであろう難しい文章です。しかし、読解文として与えられれば、どんなものでも読み解かなければなりません。素材になじみがなくても読まなくてはならないのですから、「好き、嫌い」を言ってはいられません。 5〜6年生であれば、読めなくても読めないなりに音読をさせます。難しい言葉は口頭で教えます。次の日も同じ文章を音読させます。今度は「印つけ」をしながらです。3日目は「音読をしながら、印つけとメモ書き」をさせます。この頃には、難しい内容も少し頭に入るようになっています。 4年生では無理ですが、5〜6年生で難解な文章をくり返し読み、「わかった」という経験をすることは、「どんな文章でも読み取れる」という自分自身の可能性を高めることにつながります。それは同時に子どもの精神をも成長させるものだと思います。 「こんな文章うちの子には無理だわ」と大人が線びきしてしまうのではなく、「一緒に読んでみよう!」という肯定的な気持ちで接してください。 子どもたちの潜在能力は、大人の予想をはるかに超え、限りなく高く力強いものです。 |
読むのも書くのもいやがるわが子。国語の力を伸ばせる?
Q | 問題文を読むのをとても面倒がり、文字を書くのもいやがります。本もあまり好きではないようです。 このような子を伸ばすには? |
A | たとえば理数系が得意である場合、自分の好きではない面倒なことや、暗記ものをおろそかにするケースがあります。 文字を書くことは、漢字の練習をきちんとさせることで乗り越えさせましょう。作文、日記などは少し難しいでしょうが、学校や塾の「必ずしなければならない漢字の練習」は、毎日きちんとやらせます。入試問題において、漢字は「トメ、ハネ、ハライを丁寧に書くこと」と、条件がつけられていることを実際に示し、正確な漢字練習をするように導いてください。 問題文を読むことに関しては、「読まなければ解けない」のですから、短い文章で「印つけとメモ書き」の練習を始めます。その子の好きなジャンルの問題文を選べば、案外乗ってくるものです。少しずつコツコツと積み上げてください。 また、受験をするのなら、「本当に受験をする気があるのか」、お子さんを含めて本音での話し合いをなさることが必要ではないでしょうか。あいまいなスタートでは、「いやだという気持ちを乗り越えよう」という克己心は子どもの中には育まれない、と経験上申し上げます。 |
段落ごとのポイントがなかなかつかめない。よい復習方法は?
Q | 段落ごとのポイントをつかむのが苦手のようで、記述問題でもキーワードが抜けていたり、余計なことを書いて大事な要素をおさえきれていないようです。 こういう場合、どのように復習などをしていくといいでしょうか? |
A | まだ読み方がよくわかっていないのでしょう。文字を追っているだけなのかもしれません。スピードを求めるのではなく、まずは丁寧な読み方を教えます。拙著(『中学受験 お母さんが教える国語 印つけとメモ書きワークブック 』『中学受験 お母さんが教える国語 』を参考になさってください。 一読目の「印つけとメモ書き」のときに、わかりにくいと感じている段落のポイントを教えます。くり返されている言葉には四角(□)の「印つけ」をして簡単にメモ書きをし、文章の大切なところが目に見えるようにしておきます。 正確に解答するためには、練習時に「印つけとメモ書き」をして読んだあとに、必ず内容確認をすることが必要です。説明的文章は、文章の話題と作者の意見、結論をおさえます。物語的文章は、気持ちの変化を中心に内容確認をします。内容確認は、「読むこと」と「解くこと」を結びつける働きをします。 また、解き直しは、解答に必要な問題文の箇所をもう一度読み、不足していた「印つけとメモ書き」や、設問への印つけを確認することから始めます。ミスの原因に自分で気がつくようになると、つまらないミスは減ります。6年生の場合、それをノートに書き留めておくことで子どもの自覚を促します。 |