【回答:早川尚子】受験対策<その1>

「中学受験は親子の受験」とも言われ、保護者のかたの役割はとても大きいもの。受験準備が進むにつれて、心配事や気がかりもいろいろ出てくるでしょう。よくある相談事例について、専門家の先生がたや、合格家庭の先輩保護者のアドバイスを集めました。

「印つけとメモ書き」は、どれくらいの時間で定着する?

国語の選択肢問題。選択のポイントはありますか?

内容の読み取りがずれている。この場合の対処法は?

「印つけとメモ書き」は、どれくらいの時間で定着する?

「印つけとメモ書き」を定着させるためには、週何回、どれくらいの時間を費やしていくといいでしょうか?
短い文章(1000字程度)から始め、週3回、1回30分〜40分ほど練習すると、3か月を過ぎた頃から「印つけとメモ書き」の習慣がつき始めたと感じるようになります。国語の点数も少し上向きになります。
国語をなんとかしなければならないと自覚して、必死に「印つけとメモ書き」の練習をした子どもたちからは、わずか1〜2か月で見事に効果を上げたというご報告を多くいただきます。

点数が上がり始めたときが大事です。手作業をすると時間がかかると思い込んでいる子どもたちは、親の目がなくなればすぐにさぼり始めます。気を抜かずに、もう一歩辛抱してつきあってください。
「点数も上がったし、もう大丈夫ね」と安心して手と目を離してしまうと、だらだらとした線ひきになったり、「メモ書き」を省いたり、問題文の後半は何も「印つけ」がなかったりという状態になることがあります。当然、点数も下がります。
特に子どもがまだ本気にならない5年生の間は、親の「継続させる辛抱」が最も必要です。

国語の選択肢問題。選択のポイントはありますか?

選択肢で迷ったときに、解答の決め手とするポイントを教えてください。
選択肢の文章と本文を検証して、明らかにまちがっている場合は×、合っている場合は○、迷ったときやわからないとき、あるいは、判断できないときには、△をつけます。
△をつけて先の選択肢に進むことがポイントです。
長い選択肢の文章ならば、必ず読点で上下に分けることも重要なポイントになります。

このようにすると、長い選択肢の場合、上の部分が△、下が×ならば、この選択肢は×です。どこかに×がついたらその選択肢は×です。上下共に○はもちろん正解です。どこかに△がある場合は、もう一度本文に戻り調べます。

このときに、本文の言葉そのものではないが、言い換えて同じ意味のことが書かれているならば、△を○に変更します。似たようなことが書かれていても言いすぎている場合は△を×に変更します。○と△が混在する場合は、さらに細かく分けて本文と検証します。○の数が多いほうが正解です。

選択肢問題には部分点がありません。勘に頼ったり、強引に解答したりというやり方ではなく、上記のような検証のしかたで解答の根拠を本文に求め、確実に点数に結びつけてください。

このやり方をマスターすることは4年生でも十分可能です。早い段階で習得することのマイナス点はないのではないかと思います。詳しくは拙著『中学受験 お母さんが教える国語』、『中学受験 お母さんが教える国語 印つけとメモ書きワークブック』(共にダイヤモンド社)後半の「過去の入試問題を解く」の解答と解説をご覧ください。

内容の読み取りがずれている。この場合の対処法は?

子どもが読み取った内容と、親が読み取った内容が一致していない場合、どのようなアドバイスをすればいいでしょうか?
このような場合、頭ごなしに「そんなこと書いてないでしょ」と言わないでくださいね。子どもは子どもなりに一生懸命読んでいるつもりなのです。

まずは子どもが読み取った内容をそのままくり返して言います。次にそれを要約して、「こういうこと?」と確認します。「そう、そう」と言ったときに、「どこに書いてある? お母さん読み飛ばしているのかも…」というような声かけをして、文章に戻らせ、一緒に読みます。だいたいこの時点で子どもは自分のミスに気がつくでしょう。

大事な点は、内容の読み取りがずれたとき、文章に戻らせることです。戻って読み直し、自分で気がつけば上出来です。なかなか気がつかないときには、「ここはこういう意味よ」、「こういうことが書いてあるのよ」とさらっと言って、次に進みます。辛抱がいりますが、このくり返しで子どもたちは正しい読み方を知っていきます。

子どもに否定的な言葉をかけないということは、なかなか難しいことです。特にご自身の体調が良くないときはどうしても爆発してしまいます。その前に「今日の国語の勉強は中止」とする勇気も必要です。いつかきっと取り戻せるときがありますよ。

プロフィール



25年以上に及ぶ中学受験生への指導経験をもとに、サイト「国語の寺子屋」を立ち上げ、国語の原点である「丁寧に読む」ことを提示。著書は『中学受験 お母さんが教える国語』『中学受験 お母さんが教える国語 印つけとメモ書きワークブック』(共にダイヤモンド社)。

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