【回答:森上教育研究所】家庭学習・家庭内コミュニケーション<その3>
「中学受験は親子の受験」とも言われ、保護者のかたの役割はとても大きいもの。受験準備が進むにつれて、心配事や気がかりもいろいろ出てくるでしょう。よくある相談事例について、専門家の先生がたや、合格家庭の先輩保護者のアドバイスを集めました。
第一志望校をあきらめて、勉強する意欲が出てこない
通信教育で受験対策をしたいのですが…
3年生からの受験準備は早いですか?
第一志望校をあきらめて、勉強する意欲が出てこない
Q | 5年の秋に本人に行きたい学校ができ、受験勉強を始めました。しかし、入学したい学校は四谷63と偏差値が高く、かなり難しいということがわかり、勉強して3か月してあきらめました。しかし、塾の子が学校中に受験することを広めてしまったようで、本人は今さら公立には行きたくないと言い出しました。 本人が私立に行きたいならそれでもいいのですが、第一志望をあきらめたせいか、全く勉強に身が入らなくやる気がないようです。本人に受験を強制していることはありません。始めた時も、現在も自分から受験すると言っています。 しかし、今のままの状態では、新たに決めた四谷52の学校も厳しいと思います。近所にある四谷38の女子校ものんびりとしていて娘に合っていて良いと思いますが、本人は納得しないようです。 本人にやる気を出させるか、または、自分の身の丈に合った学校に納得させたいと思い、アノ手コノ手といろいろ試すのですが、なかなかうまくいきません。 |
A | 成績が伸びず、やる気が出ないわが子をただ見ているのは、親としてどんなにかつらいことかと文面からも察することができます。しかし、子どもの精神面を支援してあげるのが親の役割です。やる気をなくしている子どもを前に、親がこれからどうしたらよいか迷っていては、状況はますます悪くなるばかりです。 原点に戻って中学受験の目的から考えてみましょう。目的は偏差値の高い学校に合格することではなく、よい友達と先生がいる「自分に合った学校」に合格することだと思います。文面では子どものやる気がなくなったのは、志望校の偏差値が高すぎてあきらめざるを得なかったことが原因とありました。 しかし原因は、他にもあると思います。偏差値の低い学校ではプライドが許さない、しかし、今の自分の学力ではプライドが許せる中学には受からない、というジレンマがあるのだと思います。このように目標を見失い、現状から逃げているだけでは、やる気は起こりません。 まずは、偏差値にこだわらず、「自分に合った学校」という観点で志望校を見つけるところからスタートしてはいかがでしょうか? 自分の学力で手が届きそうな志望校が見つかれば状況は変わると思います。 |
通信教育で受験対策をしたいのですが…
Q | 5年生の息子ですが、経済的に厳しいので、塾ではなく、通信教育中心で受験準備を考えています。でも、通信教育だとどうしても刺激が少なく、子どもの自主性に任せるので、教材がたまりがちです。自宅学習で受験に向けて子どものヤル気をどのようにしたら持続できるのか、コンスタントに取り組める工夫、親の励まし方などを教えてほしいです。 |
A | どのような教育の形態でも、問題が解けるように考えられた教材と優れた指導者がいて、あとは子どもが学習を継続するヤル気をもち続けることができれば受験に成功することは可能です。確かに、通信教育は先生がその場にいないので、先生が子どものヤル気を高めてくれることを期待することはできません。 どこまで親が指導できるかは教材の完成度や親の指導技術によっても違いがありますが、中学受験を通信教育で行うためには、親が教材とカリキュラムに沿って、子どものヤル気を引き出しながら指導することが必要でしょう。単に子どもの自主性に任せ、親がまったく指導しないのでは、中学受験を目指すことは難しいと思います。 通信教育はコンスタントに取り組まなければ、どんどん教材がたまっていってしまいます。しかし、通信教育を「決めたことはやり遂げる」ということを習得する良い機会と考えれば、中学受験を通して人間性を高めることができます。それができれば、本人にとって、中学受験での志望校合格と同時に、大きな成功体験になると思います。成績の良しあしだけでなく、「決めたことはやり遂げる」ことができたらほめてあげてください。子どもにとっては大きな励ましとなると思います。 |
3年生からの受験準備は早いですか?
Q | 小3の娘の中学受験を考えています。受験する皆さんは4年生から塾を始めている場合が多いようですが、3年生からでは早すぎるのでしょうか? 受験への取り組みは早いほうが、たくさん勉強できるような気がするのですが、受験準備が早いと、どのようなデメリットがあるのか知りたいです。 |
A | 中学受験準備を行うのに早すぎるということはありませんが、小学3年生からのスタートには、いくつか問題点があると思います。個人差はありますが、小学生が受験に集中できるのは、せいぜい2年間程度だと思います。大学受験でも成績が伸びるのは1浪までで、2浪以降はどんどん成績が落ちてきます。高校生でも3年間の受験勉強が限度ということです。3年生から中学受験準備を開始するならば受験勉強を4年間することになりますが、4年間ヤル気を保ち続けるのは難しいと思います。 5年生・6年生でヤル気がピークになるように学習計画を練らなければ、良い結果は期待できません。5年生・6年生で子どものヤル気が低下すると、自分よりも下の成績だったお子さんに追い越されてしまいます。5年生の中だるみで成績が途中で失速することはよくありますので注意してください。 では、5年生・6年生でヤル気のピークが来るようにして、本格的な受験勉強にすんなり入れるようにするには、3年生・4年生をどのように過ごせばよいかを考えてみましょう。学習内容としては、3年生・4年生で基礎学力の充実を目指します。精神的に子どもが受験勉強に疲れてしまわないよう、あまり無理をさせないようにすることが最も肝心です。もちろん、子どもにも学習計画の主旨を話しておくべきです。 |