【回答:森上教育研究所】志望校選び<その7>
「中学受験は親子の受験」とも言われ、保護者のかたの役割はとても大きいもの。受験準備が進むにつれて、心配事や気がかりもいろいろ出てくるでしょう。よくある相談事例について、専門家の先生がたや、合格家庭の先輩保護者のアドバイスを集めました。
どのくらいの通学時間なら通いきれるのでしょうか? 通勤ラッシュも心配です
学校がたくさんあって、志望校をどうやって絞り込んでいけばいいのかがわかりません
どのくらいの通学時間なら通いきれるのでしょうか? 通勤ラッシュも心配です
Q | 小学5年生の女の子です。小柄で体力がある方ではないので、通学時間はどのくらいまでなら許容範囲なのでしょう? 今後成長していくとはいえ、入学したての頃を考えると心配です。また、通勤ラッシュの時間帯の通学になるかと思うのですが、交通機関の利用について、工夫したほうがいいことなどありましたら、教えてください。 |
A | 学校からの情報から、通学時間の許容限度は、90分程度と思われてきましたが、最近の受験生の保護者を対象としたアンケートでは許容限度となる通学時間は70分程度となっているようです。もちろん生徒によって許容限度に個人差はあり、許容限度となる通学時間を50分未満とする保護者も11%いらっしゃいます。進学校であれば、必ずといっていいくらいクラスに1人〜2人は2時間程度かけて通学してくる生徒がいます。また、アンケートでは、性別による許容限度となる通学時間は女子の方が多少短いものの、ほとんど差は見られませんでした。学校を対象としたアンケートでは許容限度となる通学時間は110分程度で、クラスに1人〜2人いる遠距離通学者と一致します。またアンケート調査の結果では、志望校の平均通学時間は50分程度でした。 お子さんの場合、夏休みを利用して、通勤ラッシュの中どこまでならば耐えられるか、実際に志望校に通学のシミュレーションをしてみてはいかがでしょうか? 大人でも通勤ラッシュは苦痛ですが、短時間であれば我慢もできると思いますし、実際に通学のシミュレーションをしてみれば、少し早めに出れば座って行ける交通機関も見つかるかもしれません。都心に学校が集中しているので、結果的にそちらを志望するケースが多くなりがちですが、通勤ラッシュに巻き込まれるので、反対方向にある学校を志望校にすることも考えられます。また、入学後は、部活動に参加すると帰宅時間も遅くなるので、そのあたりも考えに入れてシミュレーションをしてみたほうがいいでしょう。 |
学校がたくさんあって、志望校をどうやって絞り込んでいけばいいのかがわかりません
Q | 小学4年生の娘がいます。中学受験予定なのですが、私立中学が多くてどうやって絞り込んでいけばいいのかがよくわかりません。先輩のみなさんはどうされていたのでしょう? 見学すべき学校を選ぶポイントを教えてください。 |
A | 志望校を絞り込む目的ですが、小学4年生であれば、まだこれから学力が伸びる可能性が十分ある時期ですので、実際に受験する学校を決めるためではないと思います。この時期に志望校を決めるのは、目標となる学校を明確にして、子どもの中学受験に対するモチベーションを高めることが必要だからです。目標が現在の学力に比べあまりにも高いと諦めてしまいますし、簡単に手が届く目標では緊張感が保てません。自分の学力では頑張らなければ、手が届かないところに目標を置くことが肝心です。 人間は、あまりにも多くの選択肢をもつと、的確な選択ができなくなります。志望校の選定も同様で、志望校を決める前にいくつかの候補に絞り込むことが必要です。何を基準に絞り込むのかが問題ですが、あくまでも現時点での目標とする志望校なので、偏差値と通学時間をベースに考えて、今の学力よりも偏差値で7〜10高い学校を当面の志望校としてはいかがでしょうか? 学力が伸びてくれば、その時点で目標を上位の学校に変更することもできます。通学時間は、現実的に通いきれない志望校を目標にしても意味がありませんので、通いきれそうもない学校は外します。学校を見学する5〜6校に絞り込むことが目的なので、それでも候補となる学校が多ければ、その他に、受験生本人がどうしても行きたくないか、親が行かせたくない系統の学校があれば外します。 |