【回答:日高のり子・森上教育研究所】志望校選び<その8>
「中学受験は親子の受験」とも言われ、保護者のかたの役割はとても大きいもの。受験準備が進むにつれて、心配事や気がかりもいろいろ出てくるでしょう。よくある相談事例について、専門家の先生がたや、合格家庭の先輩保護者のアドバイスを集めました。
校長先生の話で注目するべきところは?
偏差値以外にチェックするべきことは?
偏差値以外で、勉強面に力を入れている学校を知る方法は?
校長先生の話で注目するべきところは?
Q | 校長先生のお話を、どのような点に気をつけて聞いたらよいか教えてください。 |
A | 【森上教育研究所】 校長先生の話からも、学校の中身がわかります。校長先生は先生がたのリーダーで、先生がたは生徒たちのリーダーです。生徒たちをやる気にさせるには、先生がたのやる気が高く、生徒と一緒に本気で取り組む気持ちが必要です。つまり、生徒をやる気にさせるには先生がたのやる気が、先生がたをやる気にさせるには校長先生のやる気が必要になります。 生徒も先生のかけ声だけでは動かないように、先生も話し上手な校長先生のかけ声だけでは動きません。学校説明会では、声が大きく、話が上手で勢いがある校長先生に注目が集まりがちです。実際に、そのような学校に生徒が集まる場合もあります。 校長先生の話は、話の内容よりも (1)校長先生に学校を良くしようというやる気・熱意があるか? (2)先生がたのリーダーとなりうる資質(責任感・決断力・説得力)はあるか? (3)校長先生の人間性は優れているか? など、校長先生自身がどのような人物かを理解しようとする姿勢で聞くと、どのような校長先生か、学校かがわかります。 具体的に(1)(2)(3)を理解するためには、校長先生の話全体に矛盾点はないかという一貫性を確認しながら、事前に学校案内を読んでおき、学校案内にある教育方針や校風と、校長先生の話との整合性を確認しながら話を聞くとよいでしょう。 【日高のり子さん】 私は、やはり人柄も気になってしまいます。 学校の教育方針、どんな学校にしていきたいと考えていらっしゃるのか、現在の現場の状況をどれだけ把握していらっしゃるのか、学校経営に対する自信、やる気、そして…私はこう考えますとか、思いますというお話から垣間見える人間性が、共感、または尊敬できるかたかどうかなどが、私のチェックポイントです。 |
偏差値以外にチェックするべきことは?
Q | 雑誌やネットなどで、偏差値だけで学校を決めてはうけないということを目にします。各学校の良い点・悪い点や教育方針の他に、チェックするべきことを教えてください。また、学力だけでない学校の特色は、どのように調べればいいでしょうか。 |
A | 【森上教育研究所】 私立中高一貫の難関校に在籍している在籍生・保護者アンケートで中学受験時点の第一志望校・併願校選定で重視する三大事項を挙げてもらったところ、第一志望校では、教育方針・校風とわが子の相性(77%)、通学時間(45%)、大学合格実績(40%)、在校生・先生・学校の雰囲気とわが子の相性(35%)、学校の偏差値(30%)、男子校・女子校・共学校とわが子の相性(28%)、合格可能性(16%)、学校の知名度(7%)、出題・配点傾向とわが子の相性(5%)、在校生・志願者の家庭環境とわが子の相性(5%)が保護者の重視事項でした(カッコ内の%は重視事項とした保護者の割合)。これらの重視事項の中で、あなたが重視したい志望校選定事項を選定し、チェックすべき事項として決定します。 調査方法としては、「通学時間」「大学合格実績」は学校案内の確認で、「学校の偏差値」「合格可能性」は模試の受験で、「出題・配点傾向とわが子の相性」は過去問演習でわかります。「学校の知名度」は周囲の人に確認してみてください。問題は「教育方針・校風とわが子の相性」「在校生・先生・学校の雰囲気とわが子の相性」「男子校・女子校・共学校とわが子の相性」「在校生・志願者の家庭環境とわが子の相性」ですが、志望校の学校案内を読み、志望校のホームページを見て、学校説明会や文化祭などの学校見学に行って実感するしかありません。 「教育方針・校風とわが子の相性」は、保護者が最も重視する事項ですが、志望校の教育方針・校風は見極めるのが難しく、在籍生・保護者アンケートの結果では学校案内を熟読して学校見学をしても約半数の保護者が入学前の予想と違うという回答でした。 【日高のり子さん】 通学時間、通学路、在校生や先生の雰囲気、在校生と先生の関係はよいかなども、チェックされるといいと思います。 学校案内などにも出ていますが、ホームページを見ると、その学校の特色や、よくある質問とその答えなどが載っている場合があり参考になります。 もっと詳しくお知りになりたいかたは、やはり学校説明会に参加されることをおすすめします。 |
偏差値以外で、勉強面に力を入れている学校を知る方法は?
Q | 偏差値だけではない、進学校を知る方法を知りたいです。演劇部に力を入れている学校は勉強面にも力を入れている、と聞いたことがありますが、どのような関連性があるのか、またどのような学校がそれに相当するのかを知りたいです。 |
A | 【森上教育研究所】 演劇部に力を入れている学校が勉強面にも力を入れている例はあるかもしれませんが、すべての学校に当てはまるとは思えません。実際に演劇部に力を入れていても、大学合格実績が振るわない学校もあります。ただし、演劇部で英語劇を行うことで、英語に力を入れることになり、英語が得意になる部員は増えるということがあるかもしれません。 学校全体としては、学校の偏差値とその学校の大学合格実績は比例しているようですが、例外として、偏差値が低いわりに大学合格実績が高い「お得な学校」があります(逆に、偏差値が高いわりに大学合格実績が低い学校もあります)。「お得な学校」は、受験生・保護者に人気がない明確な理由があるため偏差値が高くならない場合もあります。例えば、学校の立地が悪いと人気が低くなり偏差値が低くなります。具体的には、学校の周囲の環境が悪い場合や、最寄りの駅から学校が遠く通学時間がかかる場合などです。しかし、それほど明確な理由がないにもかかわらず、偏差値が低いわりに大学合格実績が高い学校もあります。これは本当の意味で「お得な学校」です。 「お得な学校」には、具体的にどのような学校があるか、学校名を挙げることで学校に迷惑をかけることもありえます。「お得な学校」は、私の著書の『中学受験 入りやすくてお得な学校』(ダイヤモンド社)で詳しく解説していますので、ご覧いただければ幸いです。 【日高のり子さん】 入りやすいと思われる偏差値なのに、受験案内などの大学合格実績が高い学校を調べて、足を運んでみてはいかがでしょうか? 週末に確認テストがあったり、その合格点に達しない生徒には補習があったり、習熟度別の授業が多数組まれて成績下位者をほうっておかないとか、夏休みの合宿補習に“招待状”が届いて徹底的に指導しているなど、それぞれの学校でいろいろと工夫と努力をされているようです。 変な話ですが「塾みたい!」と思わせるカリキュラムの学校もありました。 演劇部と勉強の関連性は、初耳で申しわけありませんがよくわかりません。 |