成蹊中学校2年生 小島悠理さんとお母さま

■あまり深刻になり過ぎなかったのが、成功の秘訣。中学生活をエンジョイできているので、親子ともに、「受験をしてよかった」というのが、今の気持ち

受験勉強が途中でいやになったことはありませんか?


悠理さん

親とけんかした時以外はいやになったことはありませんでした(笑)。塾の先生の話がとてもおもしろくて、気が合っていたんです。
それに、とにかくこなさなくてはならないことが多すぎて、他のことを考える暇はありませんでした。


お母さま

性格なんでしょうが、あまり深刻にならずにやっていましたね。中学受験は、とにかく与えられた課題をこなすという感じなので、1年限定だったから集中してやれたという面もあると思います。



お父さまは、受験にはどのようにかかわっていましたか?


お母さま

お金担当です(笑)。横から下手に手を出してもしかたがないので、あまり何も言わなかったし、母子のバトルがヒートアップした時のなだめ役ですね。やはり「あれもよし、これもよし」という考え方でしたので、受験に関して意見が割れるということもなかったので助かりました。



第一志望以外の受験校はどのように決めましたか?


お母さま

始めたのが遅かったので、周囲で実際に私立中学に通っている知り合いからの口コミ情報が中心ですね。
学校説明会にもそんなにたくさんは行きませんでした。上り調子ではありましたが、とにかくどこまでたどり着けるかは最後までわからなかったので。

偏差値的には、もっと上を狙って準備していくという考え方もあったかもしれませんが、2月1日 成蹊、2日 恵泉女学園、3日 日大二中、と受けました。1月に、塾にすすめられて、練習で佐久長聖を試しで受けましたが、不合格でした。私としては、それは練習で受けただけなので、結果はどうでもよかったのですが、子どもはショックだったようで、逆に「これはまずい」と燃えたようでした。
他には、吉祥女子なども候補に入れていました。共学とは思っていましたが、そこにこだわると組み立てが難しいので。しかし、3日までで、第一志望校含めてすべて合格したので、結局受けませんでした。



1年間集中してやり抜いた受験を振り返ってみてどうですか?


お母さま

"だめもと"という気持ちもあったし、できるはずだという気持ちもありました。
でも、1年間やるだけやって、ダメだったら公立に行けばいいと思っていましたので、気持ちには余裕があったと思います。

夏くらいになると、不安になるかたも多いと思うのですが、わが家はとにかく余計なことを考える余裕もなかったので、そういう意味では変に真剣になりすぎなくて、よかったと思います。本人が負けず嫌いなのでがんばれたのですが、一方でできないときには、「まあいいか」とあまり深刻に受け止めないおおらかさもあるので、それがよかったですね。とにかく、「いや」とか、「つらい」とかいう言葉を言ったことがなかったので、それは偉かったですね。


悠理さん

もう少し時間があればよかったなとは思いましたが、自分からやりたいと言い出して始めたことなので、がんばれたと思います。受験をしてよかったと思っています。



中学生活はどうですか?


悠理さん

男女が仲良くて、楽しいです。1学年の半分は、附属の小学校から上がってきますが、皆フレンドリーで、すぐに仲良くなりました。クラブも盛んで、男子のテニスは全国大会に出場しています。
私はバレーボール部に所属していて、週4日練習があります。基礎トレーニングを入れて2時間から3時間くらいやっています。土日も練習や試合があります。
行事も盛んで、春と秋の遠足、夏の学校、体育祭、文化祭、多摩湖・狭山湖の周囲を歩く健歩会、マラソン大会と、1年を通して、いろいろなことをやっています。夏の学校は、1年生が車山高原、2年生が志賀高原、3年生で京都奈良に修学旅行に行きます。
学校生活はとても充実していて、楽しいです。がんばって受験してよかったと思っています。


お母さま

附属校ですから、のびのびしていますね。授業も進度より、深度を追求している感じ。各先生が専門分野についてどんどん深いことまで教えていたり。そういうところは私学ならではですね。結果的に、子どもが満足して通っているので、よかったと思っています。



▼思い出の品
最後まで続けた習い事。勉強との両立は大変というより、いい気分転換になっていました。


  • サッカーのユニホーム

  • トランペットのマウスピース


<取材後記>
「あくまでも、小学生としての生活を大事にさせたい。小さいうちに競争の中に入れることはしたくない」という親としてのポリシーがはっきりしていたことが、すばらしかったと思います。そのうえで、「やるからには、結果を出す」と、本人が強い意志をもって集中して受験勉強に取り組んだことが成功の秘訣でしょう。長く塾に通わないと合格できないという一般論を見事裏切る結果を出せたポイントは、本人の意思で始めたことなので、モチベーションを維持できたことと、「たかが中学受験だ」と親があくまでも冷静でいられたことだったように思います。不安に陥っている受験生や保護者のかたには、ぜひメンタル面を参考にしてほしいと思います。(教育ジャーナリスト 中曽根陽子)


プロフィール



教育ジャーナリスト、「登録スタッフ制企画編集会社<ワイワイネット>」代表。塾取材や学校長インタビュー経験が豊富。近著に『子どもがバケる学校を探せ! 中学校選びの新基準』(ダイヤモンド社)。

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