算数「速さ(流水算・時計算)」[中学受験]
「流水算」は船が川を下ったり上ったりするときの速さ・道のり・時間について考える問題、「時計算」は時計の長針と短針によってつくられる角度を求める問題です。慣れないうちは混乱(こんらん)しやすいですが、基本となる考え方や公式が理解できれば必ずコツがつかめます。
ツカム先生がわかりやすく解説していきます。前回の「旅人算」「通過算」と合わせてくり返し取り組み、「速さ」を得意単元にしていきましょう。
■算数「速さ(流水算・時計算)」
こんにちは。合格総理大臣 ミスター・ツカムです。
今回は、流水算と時計算を取り上げます。
この機会にしっかりマスターして得意単元にしてくださいね。では、いっしょに学習していきましょう。
まずは流水算から見ていきましょう。
この単元でおさえるべきことは、以下の基本公式です。これをまずしっかり頭に入れてください。
上りの速さ = 船の静水時の速さ − 川の流れの速さ
下りの速さ = 船の静水時の速さ + 川の流れの速さ
船の静水時の速さ =(上りの速さ + 下りの速さ)÷ 2
問題1 |
ある船の静水での速さは毎時20kmです。この船で、川下のA地から54km離(はな)れた川上のB地まで上るのに3時間かかりました。静水での速さを1.4倍にすると、B地からA地へ下るのに何時間何分かかりますか。 (明治大学付属明治中 2007年) |
<問題1の考え方と答え> |
これは基本中の基本の問題ですね。これをしっかり解くことによって、公式の意味を理解してください。 川下のA地から川上のB地まで、54km上るのに3時間かかったので、船が上っているときの速さは? 54 ÷ 3 = 18 → 時速18km です。 船の静水時の速さは 時速20kmでしたから、川の流れの速さは? 基本公式 上りの速さ = 船の静水時の速さ − 川の流れの速さ より 20 − 18 = 2 → 時速2km ですね。 次に、船の静水時での速さを1.4倍にすると、 20 × 1.4 = 28 → 時速28km となり、 下りの速さは、川の流れの速さを加えた速さなので、 28 + 2 = 30 → 時速30km よって、B地からA地に下るのは、 54 ÷ 30 = 1.8(時間) |
問題2 |
川の下流にあるP地点と上流にあるQ地点の間を、静水時(水の流れがなく静止している)には同じ速さの2つの定期船A、Bが往復しています。AはP地点を、BはQ地点を同時に8時に出発します。下のグラフはこの定期船A、Bの運行の様子(ようす)を表しています。 (1)静水時の定期船の速さは、川の流れの速さの何倍ですか。 (2)AとBが最初に出会ってから次に出会うまで何時間何分かかりますか。 (東邦大学付属東邦中 2008年) |
<問題2の考え方と答え> | ||
次は、ダイヤグラム(運行表)を正確に読んで考えていく問題です。 | ||
<(1)の考え方と答え> | ||
まずグラフから、上りにかかる時間と下りにかかる時間を読み取りましょう。 上りは → 3時間 下りは → 2時間 ですね。 わかっているのはこれだけですよね? 手がかりがないので、それぞれの速さを比で表してみます。 「かかる時間」と「速さ」は逆比の関係ですから、
基本公式は 船の静水時の速さ =(上りの速さ +下りの速さ)÷ 2 でしたから、 すると、川の流れの速さは? 基本公式 上りの速さ = 船の静水時の速さ − 川の流れの速さ より よって、静水時の定期船の速さが、川の流れの速さの何倍かは、次のように求めることができます。 | ||
<(2)の考え方と答え> | ||
小問(1)で求めた速さを使って地道に計算してみます。 ・1回目の出会いの時刻(じこく)は? 1回目に出会う時刻は → 9時12分 ですね。 ・2回目の出会いの時刻は? 2回目に出会う時刻は → 12時48分 ですね。 求めるのは、AとBが最初に出会ってから次に出会うまでにかかった時間ですから、 12時48分 − 9時12分 = 3時間36分 | ||
<(2)の別解> | ||
ダイヤグラムの図形の相似に注目してもいいですよ! このとき、a の部分の時間は、 同じように、11時から14時までの3時間を見て、b の部分の時間は、a と同じ1.8時間なので、 1.8 × 2 = 3.6(時間) |