理科「水よう液」[中学受験]

問題3
物質のなかには、塩酸にとけると気体が発生するものがあります。たとえば、アルミニウムが塩酸にとけると、気体Aが発生します。また、亜鉛(あえん)とい う金属も塩酸にとけて、そのとき気体Aが発生します。一方、石灰石(せっかいせき)が塩酸にとけると気体Bが発生します。この気体Bは、紙や木が燃えるときにも発生します。

1. 気体Aと気体Bの性質についてあてはまるものを、それぞれ下のア~オから選び、記号で答えなさい。
 ア.ものを燃やすはたらきがある。
 イ.石灰水に通すと白くにごる。
 ウ.火を近づけるとよく燃える。
 エ.特有のにおいがある。
 オ.水でぬらした赤色リトマス紙を青くする。

一種類の金属を一定のこさの塩酸にとかすとき、以下のことが知られています。
・塩酸がじゅうぶんにある場合は、発生する気体の体積は、とかした金属の重さに比例する。
・金属がじゅうぶんにある場合は、発生する気体の体積は、用いた塩酸の体積に比例する。

このことをふまえて、次の実験に関する問いに答えなさい。ただし、これらの実験は、すべて同じ温度のもとで、同じこさの塩酸を用いて行いました。なお、気体Aは水にとけないものとします。

実験1 さまざまな体積の塩酸を、それぞれアルミニウム0.2gに加えたときに発生した気体Aの体積をはかったところ、次のようになりました。

表


実験2 さまざまな重さの亜鉛に対して、塩酸50cm3を加えたときに発生した気体Aの体積をはかったところ、次のようになりました。

表

2. アルミニウム0.2gをすべてとかすのに、この塩酸は少なくとも何cm3必要ですか。
3.この塩酸50 cm3に、亜鉛は最大で何gまでとかすことができますか。
4.次のような実験を行ったとき、気体Aはそれぞれ何cm3発生すると考えられますか。
(1)アルミニウム0.4gに、塩酸30 cm3を加える。
(2)アルミニウム0.4gに、塩酸50 cm3を加える。
(3)アルミニウム0.1gに、塩酸10 cm3を加える。
(4)アルミニウム0.1gに、塩酸30 cm3を加える。
(5)亜鉛0.8gに、塩酸100 cm3を加える。
(6)亜鉛1.2gに、塩酸100 cm3を加える。
(7)亜鉛0.4gに、塩酸25 cm3を加える。
(8)亜鉛0.8gに、塩酸25 cm3を加える。
5.アルミニウム1gにじゅうぶんな量の塩酸を加えたときに発生する気体Aの体積は、亜鉛1gにじゅうぶんな量の塩酸を加えたときに発生する気体Aの体積の何倍になりますか。
(麻布中 2007年)
<問題3の考え方と答え>
さあ、次は麻布中の過去問だよ。これも、タイプ3の問題だよ。
では、さっそくいってみましょう!
<問題3 1の考え方と答え>
気体A は? → 水素だよね。簡単! じゃあ、その特ちょうは?
(答え)気体Aの性質:ウ

気体B は? → 二酸化炭素だよね。じゃあ、答えは?
(答え)気体Aの性質:イ
<問題3 2の考え方と答え>
これも問題2ができていれば簡単だね!
どこまでが比例しているのか? …を見やぶればいいのだ。

表

塩酸40 cm3 まで比例していて、50 cm3 では比例していませんね。

つまり、アルミニウム 0.2g が全部とけるときに発生する水素は 288 cm3 です。
そのときに反応する塩酸は?

10×288/72=40 (答え)40立方センチメートル
<問題3 3の考え方と答え>
2と同じ考え方をすればいいね。

0.2×360/80=0.9 (答え)0.9g
<問題3 4の考え方と答え>
(1)~(8)まで、いろいろあるけど、ポイントはただ1つ。
「どっちがとけ残っているのか?」…ということです。

〈整理しておきましょう〉

アルミニウム 0.2 g → 塩酸 40 cm3 がちょうどいい。

塩酸 50 cm3 → 亜鉛(あえん) 0.9 g がちょうどいい。



(1)アルミニウム 0.4 gとちょうど反応する塩酸は?
40×0.4/0.2=80立方センチメートル

だから、塩酸30 cm3 を入れても、アルミニウムはとけ残る。

問題文にも書いてありますね。
「金属がじゅうぶんにある場合は、発生する気体の体積は、用いた塩酸の体積に比例する」ので、表より、塩酸30 cm3 のときに発生する水素は?
(1)の答え 216立方センチメートル

(2)(1)と同じように、アルミニウムはとけ残ります。
ただし、アルミニウムの量が0.4g なので、塩酸を80 cm3 加えるまで、水素は比例して発生します。
72×50/10=360
(2)の答え 360立方センチメートル

(3)アルミニウム 0.1gとちょうど反応する塩酸は?
40×0.1/0.2=20立方センチメートル

だから、同じようにアルミニウムがとけ残り、表より発生する塩素は?
(3)の答え 72立方センチメートル

(4)今度はアルミニウムがすべてとけます。
加えた塩酸30 cm3 のうち、20 cm3 が反応するので、表より発生する水素は?
(4)の答え 144立方センチメートル

(5)塩酸100 cm3 にちょうど反応する亜鉛は?
0.9×100/50=1.8g です。
だから、ここで亜鉛がすべてとけますね。

「塩酸がじゅうぶんにある場合は、発生する気体の体積は、とかした金属の重さに比例する」
つまり、表より発生する水素の体積は?
(5)の答え 320立方センチメートル

(6)(5)と同じように亜鉛はすべてとけますが、塩酸が2倍の100 cm3 になっているので、加える亜鉛の量が 1.8gになるまで、発生する水素の量は比例します。
80×1.2/0.2=480
(6)の答え 480立方センチメートル

(7)25 cm3 にちょうど反応する亜鉛は?
0.9×25/50=0.45g だから、亜鉛0.4gはすべて反応する。
発生する水素は? 表より、
(7)の答え 160立方センチメートル

(8)加えた亜鉛0.8gのうち、0.45gがとける。
80×0.45/0.2=180
(8)の答え 180立方センチメートル
<問題3 5の考え方と答え>
2.より、アルミニウム0.2gを完全にとかしたら、水素は288 cm3 発生する。だから、じゅうぶんな量の塩酸にアルミニウム1.0gをとかしたら、
288×1.0/0.2=1440立方センチメートルの水素が発生する。

3.より、亜鉛0.9gがとけると360 cm3 の水素が発生するから、
じゅうぶんな量の塩酸に亜鉛1.0gをとかすと、
360×1.0/0.9=400立方センチメートルの水素が発生する。

これより、

1440 ÷ 400 = 3.6
(答え) 3.6倍

プロフィール



大人気メールマガジン「コロンブス的・超発想で中学受験を成功させる方法」の発行人で、中学受験カウンセラー。メルマガは殿堂入りを果たす。理科・替え歌暗記法のCD『愛のメモリーTM』も作成。

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