「速さとダイヤグラム」の解き方[中学受験]算数の頻出問題

受験算数の中でも上級レベルとされる「速さとダイヤグラム」を取り上げます。速度や距離、比の関係などが散りばめられたこのタイプの問題は、一見すると複雑ですが、問題文を読み取ってグラフや図をかくというプロセスに慣れてしまえば、問題や情報が視覚化され、「答えを導き出すための考え方」がクリアになるはずです。繰り返し問題に取り組み、得意単元にしていきましょう。
中学受験カウンセラーのミスター・ツカム氏がわかりやすく解説する『ツカムクリニック』、楽しみながら取り組んでみてください。


■「速さとダイヤグラム」

「ダイヤグラム」という言葉の意味ですが、交通機関の運行計画を表した図のことです。列車の時刻(じこく)表が変わるのを「ダイヤ改正」と言ったり、気象状況(じょうきょう)で列車が予定どおりに走っていないと、「ダイヤがみだれています」…って、テレビなどで言ったりするでしょ?

「ダイヤグラム」と言うとむずかしく思うかもしれませんが、正体は「旅人算」です。「旅人算」をグラフを作ったり読んだりして解いていく…というだけのものですよ。


ここでのポイントは、文章を正確に図に表すことです。
表がゆがんでいたり、線が曲がっていたりしたら、
考えの整理がつかなくなりますので、十分注意してくださいね。




ではさっそく問題にいきましょう。



問題1
ミスター・ツカムの家と甲子園(こうしえん)球場の間は120kmはなれています。下のグラフは、ミスター・ツカムの家と、甲子園球場の間を2台の車が両方から走った時のようすを表しています。
2台の車がすれちがうのは何時何分で、甲子園球場から何kmの地点ですか?

図
<問題1の考え方と答え>
まずは、相似(そうじ)を利用する基本的な問題でウォーミングアップです。

グラフにおいて、上と下の2つの三角形の相似比は、 3:2 になっていますよね。
ミスター・ツカムの家と甲子園球場の距離(きょり)は120kmだから、2台の車がすれちがう地点は甲子園球場から、

120×2/5=48(km)の地点。

甲子園球場からミスター・ツカムの家に向かう車の速さは?

120 ÷ 2 = 60 km / 時

すれちがう地点に行くまで 48÷60=4/5(時間)つまり48分かかります。
(答え)3時48分、48kmの地点

問題2
ある駅にはA地点からB地点へ向けて動く歩道があります。太郎君はA地点からB地点に向かってこの動く歩道上を毎分55mの速さで、次郎君はB地点からA地点に向かって普通(ふつう)の歩道を毎分64mの速さで同時に歩き始めました。2人は30秒後にすれ違(ちが)い、その16秒後に太郎君はB地点に着きました。動く歩道の速さは毎分 (1) mで、A地点からB地点までの距離(きょり)は (2) mです。
(芝中 2007年 2回)
<問題2の考え方と答え>
まずは、正確にダイヤグラムをかいてみましょうね。
これは流水算でもありますが、ダイヤグラムは基本的なものですね。

図

ダイヤグラムのコツは、相似を見つけることです。

どうです? すぐに見つかりましたか? 少し時間がかかった人も心配ありません。
何度も問題を解いていくうちに、すぐに発見できるようになります。

右上と左下の直角三角形で、「16」と「30」が相似の比になっています。

だから、

ア:イ=16:30=8:15

で、次郎君と太郎君がそれぞれ進んだ距離(きょり)の比です。

つまり速さの比でもあるわけで、

エ(毎分64m):ウ=8:15です。 ウを求めると、

64 × 15 ÷ 8 = 120  毎分120m (太郎君の歩く速さ + 動く歩道の速さ)

よって、動く歩道の速さは、流水算の考え方で、

120 − 55 = 65  毎分65m
(1)の答え 65

2人は30秒ですれ違(ちが)っているので、A地点からB地点までの距離は、

(120+64)×30/60=92(m)
(2)の答え 92

プロフィール



大人気メールマガジン「コロンブス的・超発想で中学受験を成功させる方法」の発行人で、中学受験カウンセラー。メルマガは殿堂入りを果たす。理科・替え歌暗記法のCD『愛のメモリーTM』も作成。

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