理科「水よう液」[中学受験]

問題4
5つのビーカーにA~Eの5種類の水よう液が入っている。これらは次のア~カの水よう液のうちの、どれかである。

ア.石灰(せっかい)水イ.水酸化ナトリウム水よう液ウ.アンモニア水
エ.食塩水オ.炭酸水カ.塩酸

これについて、次の実験1~3をおこなった。後の各問いに答えなさい。

実験1. 水よう液A~Eを赤色リトマス紙につけると、BとDとEは色の変化が見られた。
実験2. 水よう液A~Eをピペットで数てきずつ蒸発皿にとり、アルコールランプで熱し、においをかぎながら蒸発させると、AとEは鼻をつくようなにおいがした。蒸発させると、BとDは白色の固体が残った。
実験3. 水よう液A~Eをそれぞれ試験管にとり、二酸化炭素の気体を通したらDは白くにごった。


(1)実験の結果から、水よう液A~Eは何であることがわかるか。それぞれ上のア~カから選び、記号で答えなさい。
(2)水よう液Dを6本の試験管にとり、上のア~カの水よう液を1種類ずつ加えた。そのとき、実験3と同じように白くにごるのはどの水よう液を加えた場合か、ア~カから1つ選び、記号で答えなさい。
(3)アルミニウムはくとスチールウール(鉄)をいっしょに加えたとき、さかんに気体を発生させながら両方の金属をとかすものを、上のア~カから1つ選び、記号で答えなさい。
(4)濃(こ)さの異(こと)なる3種類の水酸化ナトリウム水よう液(X~Z)を50cm3 ずつビーカーに入れ、それぞれに、ある濃さの塩酸を下の表の量だけ加えると中性になった。

表

(4-1) できた中性の水よう液は何か、上のア~カから1つ選び、記号で答えなさい。
(4-2) 60 cm3 のXを中性にするには、この塩酸が何cm3必要ですか。
(4-3) 10 cm3 のYにZを加え、よく混ぜた。できた液を中性にするには、この塩酸18 cm3 が必要であった。加えたZは何cm3 ですか。
(金蘭千里中 2007年 第2次)
<問題4の考え方と答え>
この問題は最初に確認したタイプ1~3までの基本的なことを聞かれていますよ。
それぞれの実験から、水よう液の正体をあばいていきましょう。探偵(たんてい)のようにね!
問題4(1)の答え
「実験1」から、BとDとEは、アルカリ性であることがわかるよね。 「実験2」からわかることは? AとE → 鼻をつくにおいがするのは、塩酸とアンモニア。 Eがアルカリ性だとわかっているので、「 Eはアンモニア水 」とわかりました。ということで、 「Aは塩酸」ね。 BとD → 蒸発させて白色の固体が残るのは、石灰水、水酸化ナトリウム水よう液、食塩水のいずれか。 蒸発させて何も残らない 「Cは炭酸水」ですね。「実験3」から、二酸化炭素を通して白くにごるのは石灰水。だから 「Dは石灰水 」残りはB。「実験1」からアルカリ性だとわかっているので 「Bは水酸化ナトリウム水よう液 」

(答え)A-カ B-イ C-オ D-ア E-ウ
問題4(2)の答え
二酸化炭素がとけている水よう液を選べばいいよね。 → 炭酸水

(答え)オ
問題4(3)の答え
鉄(スチールウール)にも反応するのは塩酸でした。

(答え)カ
問題4(4)の答え
(4-1) 水酸化ナトリウムと塩酸が反応すると食塩(塩化ナトリウム)ができます。
だから答えは食塩水。
(答え)エ

(4-2) 水酸化ナトリウム水よう液 50 cm3 は、塩酸 10 cm3 で中和しています。
水酸化ナトリウム水よう液 60 cm3 では? 比例の関係を使って計算すればいいですね。
10×60/50=12立方センチメートル
(答え)12立方センチメートル

(4-3) 下の図のように、【Y】と【Z】の水酸化ナトリウム水よう液を別々に中和したと考えてみましょう。

図

【Y】の水酸化ナトリウム水よう液 10 cm3 を中和させるには、この塩酸がどれだけ必要かな?
表より、

【Y】50 cm3 には 塩酸 30 cm3 が中和するから、
【Y】10 cm3 には?

30×10/50=6立方センチメートルの塩酸が必要ですね。

混ぜてできた水酸化ナトリウム水よう液を中和するのに塩酸が18 cm3 必要だから、
18 − 6 = 12 cm3 の塩酸と中和する水酸化ナトリウム水よう液【Z】が必要。

表より、
【Z】50 cm3 と塩酸 40 cm3 が中和するから、12 cm3 の塩酸と中和する水酸化ナトリウム水よう液【Z】は?

50×12/40=15立方センチメートル
(答え)15立方センチメートル

問題5
水よう液A、B、Cと、固体D、E、Fと気体G、Hがあります。水よう液A、B、Cについては、下のわくの中のア~オのうちの3つであることがわかっていますが、どれであるかはわかりません。同様に、固体D、E、Fはカ~コのうちの3つであり、気体G、Hはサ~ソのうちの2つであることがわかっていますが、どれであるかはわかりません。

ア 石灰水イ 塩酸ウ アンモニア水エ 炭酸水オ 水酸化ナトリウム水よう液
カ 砂糖キ 鉄水ク アルミニウムケ 銅コ 食塩
サ 酸素シ 二酸化炭素ス 水素セ ちっ素ソ アンモニア

そこで、いろいろな実験をして、それぞれがどの物質であるのか調べたところ、次の<1>~<6>のことがわかりました。

<1> 水よう液A、B、Cを蒸発皿に入れ加熱したとき、A、Bは蒸発皿の上に何も残らなかったがCは白いものが残った。
<2> 水よう液A、B、Cを赤色リトマス紙につけたとき、Cのみ青色になった。
<3> 固体D、E、Fを、水よう液A、B、Cに入れたとき、どの水よう液にもとけたのはFのみで、DはBとCにとけ、EはBにしかとけなかった。
<4> 固体Dが水よう液Bにとけるとき、気体Hと同じ気体が発生した。
<5> 水よう液BとCを混合して蒸発皿に入れ加熱したとき、固体Fが残った。
<6> 水よう液Aを試験管に入れて加熱したとき、気体Gと同じ気体が発生した。


(1) 水よう液A、B、Cそれぞれについて正しく述べている文を次の中から選びなさい。
ア ある物質を水にとかした上ずみで、空気中においておくと表面が白くなる。
イ し激しゅうのある、空気より重い気体がとけている。
ウ 非常に水にとけやすくて空気より軽い気体がとけている。
エ 味をつけたものはサイダーなどの飲料として知られている。
オ 二酸化炭素をよく吸収し、手につけるとぬるぬるする。
カ 殺きん作用のある黄緑色の気体がとけている。
(2) 水よう液Bにとけている物質は何ですか。
(3) 固体D、E、Fは何ですか。記号で答えなさい。
(4) 気体G、Hについて正しく述べている文を選びなさい。
ア 気体Gより気体Hのほうが重い気体である。
イ 気体Gも気体Hも燃えにくい性質がある。
ウ 気体Gより気体Hのほうが空気中に多くふくまれている。
エ 気体Hはほかのものを燃やす性質がある。
オ 気体Gより気体Hのほうが水にとけにくい。
(5) <4>にあるように固体Dが水よう液Bにとけたとき、気体Hが発生しましたが、<1>~<6>の実験中に他にも気体Hが発生したときがありました。それは何と何が反応したときですか。「BとD」というように組み合わせて、2組答えなさい。
(青山学院中 2007年)
<問題5の考え方と答え>
タイプ1の問題です。これも基本的な水よう液の性質を理解していればだいじょうぶですよ。
まずは実験<1>~<6>でわかったことから、A~Hの正体をつきとめていきましょう。

<1> 蒸発させると何も残らないのは、気体がとけているからでしたね。
  A、B → 塩酸 か アンモニア水 か 炭酸水
  C   → 石灰水 か 水酸化ナトリウム水よう液

<2> C → アルカリ性。
  AとB → アルカリ性ではないことがわかったので、塩酸 か 炭酸水

<3> ごちゃごちゃしていて、わかりづらいからパス!(とりあえず置いておく勇気も必要だよ)

さあ、ここでキミは探偵(たんてい)のように、次のヒントを選ばなくちゃいけないね。
<4>~<6> を読んでみて、何かピンとひらめくものは書かれていないかな?

<5> がなんとなく、いいヒントかな?
「固体Fが残った」とあるので、ア~オの水よう液を混ぜた液から得られる固体を、カ~コの中から見つければいいね。

つまり、「Fは食塩」とすると、「Bは塩酸」「Cは水酸化ナトリウム水よう液」だね。じゃあ、 「Aは炭酸水」<6> から 「Gは二酸化炭素」 とわかります。

ここで整理しておくね。

おお、もうひと息で、この事件もズバッと解決だ!

表

<3> より、「DはBとCにとけ」「EはBにしかとけない」これより、「Dはアルミニウム」「Eは鉄」 となります。<4> より、アルミニウムが塩酸にとけて発生する気体なので、「Hは水素」

表

以上で解決だ!
次に問題に正確に答えていこう。
問題5(1)の答え
A → 炭酸飲料ってよく聞くでしょ?

(答え)水よう液A: エ

B → 塩化水素(空気よりも重い)がとけていて、し激しゅうがあるね。
(答え)水よう液B: イ

C → アルカリ性の水よう液の特ちょうです。覚えてね。
(答え)水よう液C: オ

※実際の入試問題と正答を掲載(けいさい)しています。オのように「手につけるとぬるぬるする」などの実験はたいへん危険(きけん)です。学校の授業など指導者の指示がある場合以外は、やってはいけません。

<問題5(2)の答え>
水よう液Bは塩酸なので…

(答え)塩化水素
<問題5(3)の答え>
(答え)D-ク E-キ F-コ
<問題5(4)の答え>
二酸化炭素と水素の特ちょうですね。
二酸化炭素は空気よりも重く、比較的水にとけやすい。
水素は燃えやすく、空気より軽いがほかのものを燃やすはたらきは持っていない。

(答え)オ
<問題5(5)の答え>
水素が発生する「金属と水よう液の反応」は? 次の3つでした。

アルミニウム + 塩酸
 + 塩酸
アルミニウム + 水酸化ナトリウム水よう液
(答え)BとE CとD

この5問を理解できたら、おもしろいように得点できるようになるよ。必ずマスターしてね。

ミスター・ツカムでした。

プロフィール



大人気メールマガジン「コロンブス的・超発想で中学受験を成功させる方法」の発行人で、中学受験カウンセラー。メルマガは殿堂入りを果たす。理科・替え歌暗記法のCD『愛のメモリーTM』も作成。

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