理科「てことてんびん」[中学受験]

理科の「てことてんびん」を取り上げます。てこの原理やてんびんのつりあい、ばねののびや輪じくのはたらきなどに注目したうえで計算式を立てていくことが求められるこの単元は、一見すると複雑に感じるかもしれません。しかし、解法のポイントをおさえ、図をかいて問題を視覚化するというステップをふむことで、答えを求めるプロセスを身につけることができます。
中学受験カウンセラーのミスター・ツカム氏といっしょに、今回も得意単元をふやしていきましょう。


■理科「てことてんびん」

こんにちは。ミスター・ツカムです。今回は理科の「てことてんびん」を取り上げます。この単元では「てこ」「てんびん」「ばね」「輪じく」「かっ車」などの問題が出題されていますね。少し苦手な人もいるかな?
でも安心してください。一度理解できたら問題を解くのが楽しくなるよ。


問題の考え方を簡単(かんたん)に説明すると、てこ とか てんびんの「支点」を見つけて、「左にかたむけるはたらき」と「右にかたむけるはたらき」がつりあっている、ということや、
「上に持ち上げるはたらき(上向きの力)」と「下に落ちようとするはたらき(下向きの力)」が
つりあっている…ということを確認(かくにん)する。

また、「かたむけるはたらきの大きさ」は、次のように求めますよ。

  かたむけるはたらきの大きさ = 力の大きさ × 支点からの距離(きょり)

これらのことを意識して計算していけば、本当に簡単です。


ではさっそく、入試問題で考えていきましょう。


問題1
軽い棒に等しい間隔で図のように番号がついています。棒の太さはどこも同じで、番号5のところでばねにつるしたら水平につりあいました。ばねは20gのおもりをつるすと1cmのびます。次の問いに答えなさい。

図

ア)20gのおもりAと重さのわからないおもりBを、図1のようにつるしたら水平につりあいました。Bの重さは何gですか。また、ばねは何cmのびますか。
 重さ(    )g   ばね(    )cm

イ)重さのわからない2つのおもりC、Dを図2のようにつるし、ばねにぶらさげたらばねが4.5cmのびて、棒は水平につりあいました。おもりC、Dはそれぞれ何gですか。
 おもりC(    )g   おもりD(    )g

ウ)おもりAとC、おもりBとDをつなぎ、図3のようにして水平につりあわすためには、目盛り何番のところをばねにつるせばよいですか。

エ)おもりAとCを、図4のようにつるして番号5のところでばねにつるし水平にするには、Bのおもりを何番のところにつるせばよいですか。
(同志社香里中 2003年)
<問題1の考え方と答え>
「ばねののび」と「てんびん」が合わさった基本的な問題ですね。ここでは、棒(ぼう)の重さは考えなくてOKです。

<ア)の考え方と答え>
Bの重さを□とすると、水平につりあっていることから次の式が成り立ちますね。

 □ × 2 = 20 × 4 

 □ = 40(g)

ばねにはAとBの重さがかかっています。

 40 + 20 = 60(g)

ばねは20gで1cm のびるので、60gでは


(答え) 重さ40g ばね3cm
<イ)の考え方と答え>
ばねののびが4.5cmだから、おもりの重さの合計は?

 20 × 4.5 = 90(g)

支点からの距離(きょり)は、(目盛り2つ分):(目盛り4つ分)= 1 : 2 です。つりあうためには、重さの比は逆比になるので、2 : 1



 90(g) − 60(g) = 30(g)  … おもりC
(答え) おもりC 30g  おもりD 60g
<ウ)の考え方と答え>
 B + D = 40 + 60 = 100(g)

 A + C = 20 + 30 = 50(g)

重さの比 (B + D): (A + C) = 100 : 50 = 2 : 1

つりあうためには、支点からの距離の比は逆比になるので、1 : 2

目盛り2から目盛り8までは、目盛り6つ分あるので、それを 1 : 2 に分けると、

  → 2目盛り と 4目盛り になります。
(答え) 4番
<エ)の考え方と答え>
右にかたむこうとするはたらきの合計は?

 20 × 2 + 30 × 4 = 40 + 120 = 160

Bの重さは40g だったので、
支点からの距離(きょり)を□とすると、以下の式が成り立ちます。

 40 × □ = 160

 □ = 4    支点から左に4目盛りのところ
(答え) 1番

いかがでしたか? 基本問題だから簡単すぎたかな?
でも、応用問題もこれが基本になっています。支点がどこで、どのようにつりあっているのかをしっかり確認(かくにん)していけばだいじょうぶです。
では、次にいってみよう!

問題2
(1) 金属の重さをはかるために、50cmのものさし、皿、200gのおもりを使って、図1のようなさおばかりをつくることにしました。ものさしの重さと皿の重さはどちらも100gです。まず図2のように、つりひもでつり下げる位置を左はしから15cm、皿をつるす位置を左はしから5cmにしたところ、おもりをつるさなくても水平になりました。このとき200gのおもりを使うと、このさおばかりは最大で何gのものをはかれますか。

図

(2) あきら君が(1)のさおばかりを使って金属をはかったところ、金属が重すぎてこのさおばかりでははかれませんでした。そこで、皿の位置のみを変えて、はかれる最大の重さを1.5kgにすることにしました。このとき、皿の位置を左はしから何cmのところにすればよいですか。

(3) あきら君が(2)のさおばかりであらためて金属をはかったところ、つりひもの位置から17.4cmのところにおもりをつるしたときちょうど水平になりました。この金属の重さは何gですか。
(青山学院中 2006年 6 部分抜粋)
<問題2の考え方と答え>
さて、次の問題は棒(ぼう)の重さも考えるという問題です。この単元での「重さ」とは、重心一点にその重さがかかっていると考えます。
太さが均一な棒だったら、当然真ん中が「重心」となりますね。
<問題2 (1)の考え方と答え>
ものさし 100g  皿の重さ 100g   おもり 200g です。

まず確認(かくにん)しておきましょうね。

図2はどうして水平になっている(つりあっている)のかというと、

ものさしの重さ100g が、重心(両はしから25cmのところ)にすべてかかっているので、
重さ×支点からの距離(きょり)で考えることができます。

左にかたむけようとするはたらきの大きさ = 皿100g × 10cm
右にかたむけようとするはたらきの大きさ = ものさし100g × 10cm となり、

     皿100g × 10 cm = ものさし 100g × 10cm で、
左にかたむけようとする
はたらきの大きさ
右にかたむけようとする
はたらきの大きさ
となり、つりあっていることがわかりますね。

皿にのせるものの重さを最大まではかれるのは、おもりをいちばん右はしにつけたときですよね?
皿にのせるものの重さを□gとすると、

 □ × 10 = 200 ×(ものさし50cm − 左はしから支点までの距離15cm)

 □ = 700
(答え) 700g
<問題2 (2)の考え方と答え>
状況(じょうきょう)を図にかいてみましょう。

図

おもりとものさしの重さが右にかたむけようとしますから、右にかたむけるはたらきの大きさの合計は、



左にかたむけようとするはたらきは、皿の重さと、はかりたい1.5kg(1500g)の重さを足して、

 100 + 1500 = 1600(g) となります。

 あとは、皿をどれだけ支点に近づけるかですね。

 左にかたむける力 × 支点からの距離 = 右にかたむけるはたらきの大きさ

で、皿と支点までの距離を□cmとすると、

 1600 × □ = 8000

 □ = 5  → 支点から左に5cm のところ。

だから、左はしからは 15 − 5 = 10(cm)
(答え) 10cm
<問題2 (3)の考え方と答え>
また図をかいて整理しましょう。

図

金属の重さを■とすると、以下の式が成り立ちます。

 (■ + 100)× 5 = 100 × 10 + 200 × 17.4

 ■= 796(g)
(答え) 796g

以上です。これも基本的な良い問題ですね。ばっちりでしょ?


プロフィール



大人気メールマガジン「コロンブス的・超発想で中学受験を成功させる方法」の発行人で、中学受験カウンセラー。メルマガは殿堂入りを果たす。理科・替え歌暗記法のCD『愛のメモリーTM』も作成。

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