国語の抜き出し問題が苦手[中学受験]
平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。
質問者
小3女子のお母さま質問
『ジュニア予習シリーズ』の国語の抜き出し問題が苦手です。どうすれば、正答率が上がるでしょうか? 算数は図形と文章題が前は苦手でした。『絵で解く算数』と『立体王』をやり、大分良くなったようですが、何か更におすすめの教材などがありましたら、お教えください。小泉先生のアドバイス
前後にある言葉に注目して理論的に考える
小学3年生ぐらいの「抜き出し問題」には、いくつかの種類があります。
よく出題されるのが、文中の傍線部分の意味や気持ちなどを文中から書きぬきなさいという問題です。これらは本当は記述問題ですが、文中から書きぬかせることで、やさしくしていると考えてよいでしょう。
また、文中に空欄を設け、その中に入る言葉を文中から書きぬきなさいという形式もよく出題されます。この形式が本来の抜き出し問題と言えるものです。
さらに、指示語が指す言葉を、文中から書きぬきなさいというものもあります。しかし、これらは「指示語の問題」に分類されるべきものだと思います。
ということで今回は、文中に空欄を設けた≪本来の抜き出し問題≫について考えていきたいと思います。
抜き出し問題を上達するには、≪理論的に考える力を育てる≫ことです。「○○だから、空欄には△△が入るしかない」と、説明できるようになることです。「なんとなく△△が入ると思う」ですと、今は良いのですが、高学年になって困ることになります。
そしてその場合、≪手がかり≫になるのは空欄の前後にある言葉です。たとえば、空欄の前にある言葉が接続語の「つまり」であったとします。「つまり」は「要約」ですから、「つまり」以降の文はその前の文や段落の≪まとめ≫であるはずです。同じような内容がくり返されているのですから、空欄に入る言葉も「つまり」の前の文や段落にある言葉(またはその言い換え)である可能性が高いと考えられます(図1参照)。
あるいは、前にある言葉が接続語の「たとえば」であったとします。「たとえば」は≪例示≫ですから、「たとえば」以降の文はその前の文や段落の具体例になっているはずです。前に述べられた一般的な話と、それをわかりやすくするための具体的な話を比べることで、おのずと空欄に入るものも絞られてくるでしょう(図2参照)。
【図1】
【図2】
さらに、空欄の直後に来る言葉も非常に大切です。たとえば「空欄を使うようになる」と書かれていたとします。この「使うようになる」という言葉が、文中のどこかにないかどうかチェックします。そのものズバリではなく、「△△を使用する」などという表現に言いかえられているかもしれません。そういった同じような表現を見つけたら、この「△△」を空欄に当てはめてみます(図3)。うまく意味がとおれば、それが正解ということになります。
このように、空欄の前後にある言葉に注目して理論的に考えることで、抜き出し問題の正答率は飛躍的に上がると思います。もちろんいろいろなケースがあると思いますので、何回も練習すると良いでしょう。
【図3】
それからもう一つ。わからない問題を、時間をかけて考えるのも良いですが、逆に、答えを見てからそれが正解である理由を説明するのも上達の方法です。あたかも他の人に教えるように、「これはこうだから空欄には△△が入るのだ」と理由を考えてみるのです。文や段落の関係がわからないと、なかなか上手に説明できないものです。しっかり説明できるようになると、≪手がかり≫から正解を見つけることもできるようになってきます。
「答えを先に見てあとでその理由を考える」という学習方法は、選択肢問題でも記述問題でも有効です。それにより、「理論的な思考を育てる」ことになるからです。お子さまが「誤った理論」で説明しようとすることもあるでしょうが、そんな場合も「理論的に」否定することで、さらに理論的な思考力を育てることができます。
小学3年生ぐらいの「抜き出し問題」には、いくつかの種類があります。
よく出題されるのが、文中の傍線部分の意味や気持ちなどを文中から書きぬきなさいという問題です。これらは本当は記述問題ですが、文中から書きぬかせることで、やさしくしていると考えてよいでしょう。
また、文中に空欄を設け、その中に入る言葉を文中から書きぬきなさいという形式もよく出題されます。この形式が本来の抜き出し問題と言えるものです。
さらに、指示語が指す言葉を、文中から書きぬきなさいというものもあります。しかし、これらは「指示語の問題」に分類されるべきものだと思います。
ということで今回は、文中に空欄を設けた≪本来の抜き出し問題≫について考えていきたいと思います。
抜き出し問題を上達するには、≪理論的に考える力を育てる≫ことです。「○○だから、空欄には△△が入るしかない」と、説明できるようになることです。「なんとなく△△が入ると思う」ですと、今は良いのですが、高学年になって困ることになります。
そしてその場合、≪手がかり≫になるのは空欄の前後にある言葉です。たとえば、空欄の前にある言葉が接続語の「つまり」であったとします。「つまり」は「要約」ですから、「つまり」以降の文はその前の文や段落の≪まとめ≫であるはずです。同じような内容がくり返されているのですから、空欄に入る言葉も「つまり」の前の文や段落にある言葉(またはその言い換え)である可能性が高いと考えられます(図1参照)。
あるいは、前にある言葉が接続語の「たとえば」であったとします。「たとえば」は≪例示≫ですから、「たとえば」以降の文はその前の文や段落の具体例になっているはずです。前に述べられた一般的な話と、それをわかりやすくするための具体的な話を比べることで、おのずと空欄に入るものも絞られてくるでしょう(図2参照)。
【図1】
【図2】
さらに、空欄の直後に来る言葉も非常に大切です。たとえば「空欄を使うようになる」と書かれていたとします。この「使うようになる」という言葉が、文中のどこかにないかどうかチェックします。そのものズバリではなく、「△△を使用する」などという表現に言いかえられているかもしれません。そういった同じような表現を見つけたら、この「△△」を空欄に当てはめてみます(図3)。うまく意味がとおれば、それが正解ということになります。
このように、空欄の前後にある言葉に注目して理論的に考えることで、抜き出し問題の正答率は飛躍的に上がると思います。もちろんいろいろなケースがあると思いますので、何回も練習すると良いでしょう。
【図3】
それからもう一つ。わからない問題を、時間をかけて考えるのも良いですが、逆に、答えを見てからそれが正解である理由を説明するのも上達の方法です。あたかも他の人に教えるように、「これはこうだから空欄には△△が入るのだ」と理由を考えてみるのです。文や段落の関係がわからないと、なかなか上手に説明できないものです。しっかり説明できるようになると、≪手がかり≫から正解を見つけることもできるようになってきます。
「答えを先に見てあとでその理由を考える」という学習方法は、選択肢問題でも記述問題でも有効です。それにより、「理論的な思考を育てる」ことになるからです。お子さまが「誤った理論」で説明しようとすることもあるでしょうが、そんな場合も「理論的に」否定することで、さらに理論的な思考力を育てることができます。