論説や解説文は比較的よく解けるが、詩や随筆、小説が苦手です[中学受験]
平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。
質問者
小5男子のお母様質問
塾のテストで国語の成績が安定しません。読解問題では、詩や随筆、小説が苦手ですが、論説や解説文は比較的よく解け、平均点を大幅に上回ることもあります。また、漢字や慣用句、ことわざなどはほぼ満点を取りますが、作文や読書感想文は「書き方がわからない」と言います。読解力、記述力の不足を感じます。国語の成績を上げるにはやはり読書と思うのですが、読書はまったくといってよいほどせず、漫画のみです。「本を読むのは面倒」だそうです。塾の先生がすすめる問題集『新小学問題集』をやらせようかと思いますが、果たして継続的にやるかどうか、また効果が出るかどうか心配です。読書嫌いな子の国語の成績を上げるにはどうしたらよいでしょうか。市進学院で4教科の平均偏差値は50~53です。志望校の有望圏は60です。小泉先生のアドバイス
心情表現に隠された「感情」を言葉で表す練習をする
「論説や解説文は比較的よく解け」るが、「詩や随筆、小説が苦手」ということは、「理論」よりも「感情」をとらえたり表現したりすることに慣れていないのでしょう。読書好きな子どもは、多くの物語を読むことで、登場人物の「動作」や「言葉」などに隠されている気持ちを理解できるようになります。しかしご相談のお子さまのように読書習慣がないために、「気持ちがわからない」と悩む生徒も少なくありません。しかも、5年生という学年を考えると、今から読書習慣をつけるのは時間的に難しいでしょう。この時期からの学習量はかなり増えてきますから、読書に時間を割けなくなってくるからです。
それでは、読書以外で物語文を得意にするにはどうしたら良いでしょう。一つの方法としては、塾の先生の言われるように問題演習だと思います。ただし、演習を始める前に、あるいは同時並行で、やっておきたいことがあります。
まず、物語文には「心情表現」という「約束ごと」があるということをお子さまに教えます。しかも、「心情表現」とはどのようなものかを具体的に文章の中で示すと良いでしょう。それは、「心情表現」という言葉は塾で習ったが、具体的にはどんなものかわからない場合があるからです。
次に、心情表現に隠された「感情」を言葉で表す練習をすることが大切です。しかし、頭ではわかっても、なかなか言葉で適切に言い表せないと思います。ですから、もしお子さまが言いよどんでしまう場合は、「感情」を方向性で表現させることから始めましょう。すなわち、「良い気持ち」か「悪い気持ち」か、あるいは、「○(の気持ち)」か「×(の気持ち)」か、で表現させるのです。これならよほどの勘違いがない限り、間違えることはないでしょう。また、正解でも不正解でも「良い気持ち」や「悪い気持ち」である「根拠」を必ず本文の中から探しておくことは大切です。
これができるようになったら「感情」を細分化していきます。まずは「幸福・驚き・恐怖・嫌悪・怒り・悲しみ」などの基本的な感情から始めて、問題演習を通じて、さらに細かい感情表現に関する知識を増やしていってください。このような努力を積み重ねることで、徐々に心情表現の裏にある感情を適切に表現できるようになってくると思います。
ところで、感情表現を増やすのに一番役立つのは記述問題演習かもしれません。記述問題の答案を作るということは、自分なりに表現を考えるわけです。しかし、なかなか的確な表現ができずに苦しむでしょう。そして、そんな苦労のあとで模範解答をじっくり読むと、その表現の巧みさに「なるほど!」と思うことでしょう。このように、表現の素晴らしさに感心できるようであれば、その生徒はきっと成績が伸びるのではないでしょうか。
もちろん、ここまでじっくり復習するには時間がかなりかかります。しかし、復習時間を十分にとることが、問題集を演習して効果を出すための方法なのです。
最後に、お子さまが問題集を継続して勉強するかどうかですが、単に与えただけでは残念ながら長続きしないと思います。特に苦手な小説は、「感情の表現」に関する知識が少し豊かになっても、実際に点数が取れるようにならないと途中で嫌になる可能性は大きいでしょう。
継続させるためには、そのための動機付けや励ましが必要です。たとえばお母さんが採点してあげたり、わからない問題に答えてあげたりすることです。しかし5年生と言えば、かなり問題も難しくなってきますから、そんな場合は塾の先生などにすぐに質問できる環境を整えておくことが重要だと思います。
「論説や解説文は比較的よく解け」るが、「詩や随筆、小説が苦手」ということは、「理論」よりも「感情」をとらえたり表現したりすることに慣れていないのでしょう。読書好きな子どもは、多くの物語を読むことで、登場人物の「動作」や「言葉」などに隠されている気持ちを理解できるようになります。しかしご相談のお子さまのように読書習慣がないために、「気持ちがわからない」と悩む生徒も少なくありません。しかも、5年生という学年を考えると、今から読書習慣をつけるのは時間的に難しいでしょう。この時期からの学習量はかなり増えてきますから、読書に時間を割けなくなってくるからです。
それでは、読書以外で物語文を得意にするにはどうしたら良いでしょう。一つの方法としては、塾の先生の言われるように問題演習だと思います。ただし、演習を始める前に、あるいは同時並行で、やっておきたいことがあります。
まず、物語文には「心情表現」という「約束ごと」があるということをお子さまに教えます。しかも、「心情表現」とはどのようなものかを具体的に文章の中で示すと良いでしょう。それは、「心情表現」という言葉は塾で習ったが、具体的にはどんなものかわからない場合があるからです。
次に、心情表現に隠された「感情」を言葉で表す練習をすることが大切です。しかし、頭ではわかっても、なかなか言葉で適切に言い表せないと思います。ですから、もしお子さまが言いよどんでしまう場合は、「感情」を方向性で表現させることから始めましょう。すなわち、「良い気持ち」か「悪い気持ち」か、あるいは、「○(の気持ち)」か「×(の気持ち)」か、で表現させるのです。これならよほどの勘違いがない限り、間違えることはないでしょう。また、正解でも不正解でも「良い気持ち」や「悪い気持ち」である「根拠」を必ず本文の中から探しておくことは大切です。
これができるようになったら「感情」を細分化していきます。まずは「幸福・驚き・恐怖・嫌悪・怒り・悲しみ」などの基本的な感情から始めて、問題演習を通じて、さらに細かい感情表現に関する知識を増やしていってください。このような努力を積み重ねることで、徐々に心情表現の裏にある感情を適切に表現できるようになってくると思います。
ところで、感情表現を増やすのに一番役立つのは記述問題演習かもしれません。記述問題の答案を作るということは、自分なりに表現を考えるわけです。しかし、なかなか的確な表現ができずに苦しむでしょう。そして、そんな苦労のあとで模範解答をじっくり読むと、その表現の巧みさに「なるほど!」と思うことでしょう。このように、表現の素晴らしさに感心できるようであれば、その生徒はきっと成績が伸びるのではないでしょうか。
もちろん、ここまでじっくり復習するには時間がかなりかかります。しかし、復習時間を十分にとることが、問題集を演習して効果を出すための方法なのです。
最後に、お子さまが問題集を継続して勉強するかどうかですが、単に与えただけでは残念ながら長続きしないと思います。特に苦手な小説は、「感情の表現」に関する知識が少し豊かになっても、実際に点数が取れるようにならないと途中で嫌になる可能性は大きいでしょう。
継続させるためには、そのための動機付けや励ましが必要です。たとえばお母さんが採点してあげたり、わからない問題に答えてあげたりすることです。しかし5年生と言えば、かなり問題も難しくなってきますから、そんな場合は塾の先生などにすぐに質問できる環境を整えておくことが重要だと思います。