算数はすべて得意なのに、国語は語句に対する知識不足で選択問題さえできない[中学受験]
平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。
質問者
小6男子(性格:わんぱく・強気なタイプ)のお母さま
質問
国語では、選択問題ができない。絶対に違うものを選び、あとになってどうしてそれを選んだのか、本人でも説明できないことがある。熟語、漢字の意味を知らない。長文の記述も一発で書こうとする。慣用句、ことわざを知らない。自分と異なる境遇の他者の考えを理解できない。一方、算数はすべて得意、驚くほど。解答用紙がそのままイメージとして暗記できるらしく、テストが終わって模範解答を見た瞬間、自分の点数がわかる。暗算も独自の方法でする。
小泉先生のアドバイス
「語句の学習」「論理的な読み、解き」「解法の手順の習得」などで国語の点数は上がる。
お子さまのように、算数は抜群にできるが国語は苦手という子どもは案外多いようです。算数との偏差値の差がそれこそ20以上、場合によっては30を超えることもあり、国語に対する苦手意識から勉強することを避け、ますます国語嫌いになるという悪循環をくり返します。このような子どもの国語力を強化するには、「論理的な読み、解き」「解法の手順の習得」「語句に関する十分な知識」「徹底した復習」が必要です。しかし、お子さまの様子を伺っていると、まったく逆のことをされているように思われます。
たとえば、「熟語、漢字の意味を知らない」「慣用句、ことわざを知らない」とありますが、どんなに素質のある子どもでも、語句が足りなければ、国語の点数は絶対によくなりません。語句を増やすためには、読書の習慣を付けたり、漢字の勉強を毎日したりするなど、積み重ねの学習が必要です。そのような地道な勉強を嫌がる子どももいますが、なんとか継続させるしか解決の方法はありません。やれば必ず効果が出てくるのが、語句の学習です。とにかく、3か月続けてみましょう。少しずつ結果がテストの点数に表れてきますから、やる気も出てくると思います。
さて、次は「論理的な読み、解き」ですが、これも足りないように思われます。お子さまは、“選択問題で絶対に違うものも選び、あとになって説明できないことがある”ようですが、これは論理的に選択肢を解いていない証拠です。その時の感覚で選択肢を選んでいるので、あとになってなぜ選んだのかを忘れてしまうのでしょう。おそらく、「国語は論理ではなく感覚で解くもの」と刷り込まれているのだと思われます。そのような場合は、「国語は論理で解く」ということを実感させるとよいでしょう。人によっては、本当に短時間で論理的に問題を解くようになり、それに合わせて得点もぐんぐん上がります。
最後に「解法の手順の習得」ですが、この点もしっかりできていないようです。たとえば「長文の記述も一発で書こうとする」とありますが、長文の記述にも書くための手順やコツがあります。例えば、何を、どこまで書くかなど、事前に文の構造を決めてから書くことが大切です。何も考えずに書き始めると、書いては消し、書いては消しの繰り返しになります。これでは、時間と消しゴムを浪費するばかりで合格点の答案を仕上げることはなかなかできません。
さらにお子さまの場合に気になる点は、「暗算も独自の方法でする」というところです。ひょっとしたら、自分の方法にこだわる頑固な一面があるのかもしれません。もしそうであれば、授業で解き方を勉強しても、実際に使ってみようと思わないでしょう。そしてそのような子どもは、成績が伸びないことがままあるのです。まずは、教えてもらったことをそのままやってみましょう。しばらくやってみて、自分に合えば取り入れるし、合わなければ捨ててしまえばよいのです。そのような素直さが成績を伸ばします。
お子さまの場合、算数にすばらしい資質があるため自分なりの方法論でよい結果を出しているのですが、国語に関してはそのアプローチに誤解があるため自分なりの方法論ではよい結果が出ないばかりか、頑固さから他の方法論を学んでもそれを取り入れようとしていないのではないかと思われます。
以上のことをまとめますと、お子さまに必要なことは (1)語句の勉強を毎日コツコツ行う (2)問題文を論理的に読み、問いに論理的に答える (3)選択肢の解法や記述の書き方など、問題を解く手順を学び自分のやり方に取り入れてみる、の3つです。これらを実践してみてください。もちろん (4)復習を徹底すること も大切です。
算数は復習しても国語はしない皆さんが非常に多いのですが、国語はとにかく復習が大切です。以上のことを実行できれば、お子さまの国語の点数は必ず上がると思います。