志望校の校風と教育方針 その2[中学受験合格言コラム]

学校案内では、「我が子に合う学校」かどうかがわかりにくいということは学校も認識があるようだが、そもそも校風と教育方針が受験生・保護者に理解できる内容になっているか、についてはどうだろうか? 今年の5月に行った、私立中高一貫校約100校のアンケートで、「貴校の学校案内を見て、『校風・教育方針が受験生本人にも理解できる内容になっている』と回答した保護者は何%だと思いますか?」という設問を集計した結果を見てみよう。

アンケートの集計結果を見ると、学校は、「学校案内を読んで校風・教育方針が理解できる受験生本人は46.3%」と予想したのである。学校案内で校風・教育方針が理解できるようにすることは、学校案内で「我が子に合う学校」かどうかがわかるようにすることよりもたやすいはずだが、「受験生本人にも」という条件が付いたせいか、思ったよりも低い%となった。学校案内を読めば、「我が子に合う学校」かどうかがわかる保護者の平均45.4%とほぼ変わらない数値となっている。「受験生本人にも」という条件を付けたのは、入学し、学校生活を送る受験生本人が志望校を選択する時に、学校の中身を理解すべきだと考えたからである。

学校の予想では、学校案内は平均で50%以上もの受験生本人に校風と教育方針が理解できない内容になっていることになるが、実際にはどうか。
学校にアンケートを行ったあと、小規模ではあったが中学受験予定の保護者にアンケートを行う機会があった。そこで、「学校案内は、校風・教育方針が受験生本人にも理解できる内容になっていると思いますか?」という質問をしてみた。アンケートの集計結果は「はい」が37%、「いいえ」が63%であった。
実際には、保護者の回答は学校が考えているよりも約9%低い結果となった。

「学校案内は、校風・教育方針が受験生本人にも理解できる内容になっていると回答した保護者は何%だったか」については保護者の感覚と学校の感覚ではギャップは少ない。しかし、学校案内を読んでも37%の受験生しか志望校である学校の校風・教育方針を理解できないのが現実である。
この結果から、受験生本人にとっては学校案内だけで校風や教育方針を理解することは難しいことがわかる。おそらく保護者でも、校風や教育方針を学校案内で理解できる人はそれほど多くないのではないか? そこで、実際に受験生・保護者が行っているように、学校案内を熟読し、学校訪問を丹念に行うことで、初めて校風や教育方針を理解しているのであろう。

学校訪問は、校風や教育方針を「確認するため」ではなく、「理解するため」に行う場合が多いことが予想できる。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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