問題文と設問(4)自分の志望校に合った方法を見つける[中学受験合格言コラム]

「設問」に目をとおしてから「問題文」を読むという第2の方法にも、「問題文」を読みながら「設問」を解くという第3の方法にもそれぞれ欠点はある。
特に、第3の方法はあまりおすすめできないので、もしお子さまがこの方法で問題を解いている場合はなるべく早い時期に直したほうが良いと思う。と言うのは、そういったやり方を直すにはある程度時間がかかるからである。
おそらくお子さまはその方法に慣れているだろうから、注意してもなかなか直せないかもしれない。また無理に矯正すると、一時的ではあるが点数が降下することさえ考えられる。
本番の試験があまりに近い場合は、そのままのスタイルで行かざるを得なくなることもあるので、そうならないためにも早めに直すことが重要であろう。

ところで「問題文」を最後まで読んでから「設問」を解くというオーソドックスな第1の方法では、どうしても時間内に答案用紙を埋められない場合はどうすべきか? もちろん速く読む練習をしても、それでも時間が足りない場合である。そんな時は、なんらかの工夫が必要になってくる。
それは問題文を先に読むという第1の方法をベースに、他の方法の良い点をアレンジして、自分なりのベストな方法を見つけるという工夫である。
たとえば設問形式に注目して、抜き出し問題があったら一つか二つは抜き出すべき言葉を覚えておくとか、接続詞の穴あき問題があったら入ると思われる接続詞をメモしながら問題文を読むとか、自分なりの「ルール」を作るのである。
もちろん、問題文を集中して読める範囲での「ルール」にしなければならない。前にも述べたように、覚えておくべきことが多すぎると肝心の問題文を読むことに集中できないからである。

なおこのようなアレンジは、お子さまの志望校の出題傾向に深く関わってくるであろう。
たとえば問題文がそんなに長くなく、記述形式で設問数も多くない試験問題の場合はあまり工夫をしなくても落ち着いて取り組めると思う。
しかし問題文が長い、設問数が多いなどの理由でどうしても時間が足りない場合は、工夫を重ねることで時間内に設問を仕上げる必要が出てくるのである。そして工夫を重ねながらの演習をしていくうちに、徐々に時間内におさまるようになってくるものである。
これがいわゆる志望校に対する「問題慣れ」ということだ。過去問は自分の弱点を探すためにも重要であるが、このような問題慣れのためにも必要な学習である。
小学6年生の皆さまはこれから大変忙しい時期に突入するだろうが、できるだけ過去問演習に時間を割くことで問題慣れしていってもらいたい。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

子育て・教育Q&A