整形外科医が語る靴選び【後編】正しい靴の選び方

具体的な子どもの靴の選び方について、整形外科医の内田俊彦先生に伺いました。

●「子どもの足は成長が早い」は間違っていると覚えよう
幼児期は1年に1センチ以上足が成長するので、3歳ごろまでは3か月ごと、6歳ごろまでは半年ごとに買い替えましょう。その後は、半年に5ミリくらいしか成長しません。「すぐ大きくなるから」とブカブカの靴を与えるのは、足トラブルのもと。痛がったり、指が赤くなったりしていたら、それは靴が合っていない証拠です。もちろん、上のきょうだいがはいていた「お下がり」も、足ぐせが既についているのでよくありません。

●前足部は広く、つま先には5ミリほどの余裕を持とう
靴の中では、5本の指が締めつけられず、自然な形を維持していることが大切です。靴をはいた時、つま先を触っても指がきつくない、5ミリほど余裕のある靴を選びましょう。そういった靴をはくことで、指先で地面を捉えて歩く感覚が養われます。

●かかと~中足部までしっかりフィットさせよう
靴選びで最も肝心なのが、かかとが合っていること。なぜなら、ブカブカのかかとだと、足が靴の中で不安定になり、足トラブルや体のねじれの原因につながるからです。保護者は子どもが靴をはいた時、しっかりと靴がかかとを包み込んでいるか、足を手で支え、靴を上下に動かしてみましょう。

また、足の甲が最も山型になった状態でフィットする靴であることも大切です。
足が地面に着いていない、つまり体重がかかっていない時、土踏まずは最も上がり、甲も山型になります。これは、足が最も細くなっている状態でもあるので、その状態で足の形が固定されるように、靴ひもやベルトを締めましょう。

かかと~足の甲までがしっかりと靴にフィットすることで、靴の中に「ゆるさ」が生じなくなり、多くの足トラブルが解消されます。

●インソールでサイズ調節ができる靴を選ぼう
靴の足囲は、A、B、C、D、E、2E、3E、4E、F、Gと10段階に分かれていますが、実際に製造・販売されているのは、2E~4Eがほとんどです。小学生を計測したところ、女子はD~2E、男子はE~2Eが多いにもかかわらず、です。
このように、長さと足囲がぴったりの既成品と出合うのは至難の業です。そこで、できることならインソール(中敷き)がはがせる靴を選びましょう。はがしたあとで、別売りのインソールで自分の足にフィットする靴にカスタマイズするのです。足の形は左右でも違いますし、朝か夕か、時間によっても変化します。

インソールにこだわれるということは、それだけ子どもの足の状態がよくわかっているということ。靴を買う時、インソールがはがせるか、ぜひチェックしましょう。

●かかとをトントンして、ひもを締めよう
すぐにはこうとすると、ついつま先を地面にトントンとあててしまいがちですが、今まで申し上げてきたように、靴は「かかとを合わせる」ことが大切です。というわけで、はく時も、かかとをトントンと地面にあてましょう。もちろん、かかとを踏むのは、もってのほかです! はく時にトントンしてかかとを合わせ、ベルトや靴ひもをしっかりと締め、つま先に余裕を出しましょう。

●時々、子どもの足をじっくり見よう
どこか赤くなっていないか、気になる形になっていないかなどを、半年に一度くらいでよいので、見てあげてください。サイズを計測して記録しておくこともよいでしょう。

また、子どもの靴を買う時、売り場で子ども向けの靴を試しにはいてみましょう。同じ長さ・足囲の表示があっても、足囲は大人向けよりワンサイズ細くなっています。そして、かかとを合わせ、足を持ち上げた状態でベルトか靴ひもを締めてみましょう。ちょっと締めつけられた感じがあるかもしれませんが、つま先に余裕があれば、それは自分に合った靴かもしれません。

私たち大人の多くは、おしゃれ靴をのぞけば、子どものころから「靴が足に当たらない、余裕のある」靴をはき、それが「ちょうどよい」と思い込んできた傾向があります。自分以外の靴をはくことはまずないので仕方ありませんが、実は私たちは、余裕のありすぎる靴をはき続け、その結果、外反母趾などの足トラブルを抱えがちなのです。
子どもの靴選びを通じて、そんなことも実感していただけたらと思います。


プロフィール


内田俊彦

医学博士(整形外科医)/日本靴医学会理事/日本足の外科学会評議員。1995(平成7)年に「外反母趾に対する足底板療法」で医学博士を取得。足と体のトラブルの研究、オーダーメードのインソール(DYMOCOインソール)を用いたトラブルの予防・改善を提唱。

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