通学時間を考える その2[中学受験]

今回は、「限度通学時間」に関するアンケートの結果をご紹介する。「限度通学時間」とは、生徒の生活に支障がない限度として考えられる通学時間のことだが、個人差があることは言うまでもない。
進学校であれば、必ずと言っていいくらいクラスに1、2人は2時間程度かけて通学してくる生徒がいる。学校アンケートは、クラス単位で回答していただいたので、学校アンケート「限度通学時間」は、クラスで最も遠距離から通学してくる生徒の通学時間である。
また、保護者アンケートの限度通学時間データは、保護者個人が考える、我が子にとって許容限度となる通学時間である。また、保護者アンケートと学校アンケートの限度通学時間は個人とクラス単位の違いがあることから、異質なデータと考えなければならない。

【図 志望校の限度通学時間(保護者アンケート)と在籍生の限度通学時間(学校アンケート)】
志望校の限度通学時間(保護者アンケート)と在籍生の限度通学時間(学校アンケート)
※百分比(%)は小数第2位を四捨五入して表示した。四捨五入の結果、各々の項目の数値の和が100%とならない場合がある。

【図】を見ると、保護者アンケートでは半数以上の保護者が「2. 50~70分未満」(50.4%)に集中していることから、平均的な限度通学時間は60分程度であることがわかる。90分以上のゾーンになると割合が急に減少し、「3. 70~90分未満」(21.9%)が保護者の考える限度通学時間の限界で、80分程度と考えることができる。しかし、平均通学時間と同様、保護者アンケートには、6年生だけでなく4年生や5年生も含まれるので、実際には限度通学時間は多少長くなることが予想できる。

一方、学校アンケートでは、「6. 130分以上」(34.5%)が最大だが、「4. 90~110分未満」(22.7%)と「5. 110~130分未満」(26.9%)にも多くの学校がある。学校の学力や学校種別により限度通学時間が異なることが考えられる。保護者アンケートの「6. 130分以上」を見ると少ないながらも1.5%の保護者が限度通学時間としている。これらの生徒が学校のクラスでたまにいる遠距離通学者と一致するのだろう。

受験生は本人の学力で合格可能性のある学校に志望校を絞り込み、その中で志望校を選定する、という考え方がある。学力と同様、通学時間も自宅から通学できる限度があり、いくら入学したくとも通学できなければ、志望校を絞り込む時にはずすことになる。学校は、限度通学時間を生徒の学力同様、志望校を絞り込むための制限要素と考え、志望校選定では「学校イメージ」のほうを重視すると予想したのではないか。
多くの候補があり過ぎると「我が子に合った」志望校を比較することも困難で、学校訪問等の調査にも時間がかかる。限度通学時間と受験生本人の学力で志望校をいくつかに絞り込んだあとに、志望校を選定するのが合理的である。保護者アンケートの限度通学時間は、受験生の学力と同様、志望校選定の制限要素と考えるべきであろう。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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