通学時間を考える その5[中学受験]

中高6年間を考えると、通学時間が長いことは膨大な時間の無駄となる。昨今は犯罪も多く、部活で帰りが遅くなれば、ご家庭での心配も増そう。特に、女の子を持つご家庭では、通学時間は志望校選定の大きな要素の一つとなり得るのではないか。
男子と女子の平均通学時間・限度通学時間は、女子のほうが短いと思われるが、実際にはどうであろうか? これまで参照してきた保護者アンケートのデータで、男子・女子別に志望校の平均通学時間と、通学の限度となる限度通学時間を検証してみたい。

【図1】は、保護者アンケートで第1志望から第3志望までの志望校の通学時間の平均を男子・女子別かつ学校難易度別に集計したものである。また、【図2】は、同様に保護者が通学できる限度と考える限度通学時間を集計したものである。

【図1 志望校の平均通学時間(保護者アンケート:男子と女子)】
志望校の平均通学時間(保護者アンケート:男子と女子)
※性別不明13名を除く439名
※百分比(%)は小数第1位を四捨五入して表示した。四捨五入の結果、各々の項目の数値の和が100%とならない場合がある。

全体的には、やはり女子のほうが平均通学時間は短いという結果であったが、【図1】のとおり差が有るのは通学時間が45分を超える場合で、それもわずか5ポイント前後の差であった。
難易度別に平均通学時間を男子と女子で比較すると、興味深いことがわかる。男子の場合は学校難易度が高いほど平均通学時間は長くなる傾向が見られる。男子は、通学時間よりも学校の中身となる教育の質などを志望校選択要素として重視している保護者が多いことが考えられる。
女子の場合は、学校難易度の高低での傾向は無いようである。つまり、偏差値60以上は「4. 40~45分未満」と「5. 45~50分未満」「6. 50分以上」の3ゾーンに分散しており、偏差値50~60未満は女子の中でも比較的平均通学時間が短く、「5. 45~50分未満」のゾーンがトップとなっており、偏差値50未満では「6. 50分以上」のゾーンに48%もの保護者が占めている。

【図2 志望校の限度通学時間(保護者アンケート:男子と女子)】
志望校の限度通学時間(保護者アンケート:男子と女子)
※性別不明13名を除く439名
※百分比(%)は小数第1位を四捨五入して表示した。四捨五入の結果、各々の項目の数値の和が100%とならない場合がある。

【図2】の限度通学時間は、子どもの学力(偏差値)と同様、志望校の絞り込みを行ううえでの、制限要素となる。限度通学時間以内であれば、志望校を決定するうえでの要素となり、受験生・保護者の価値観により、通学時間を重要視するか、他の要素を重要視するかは異なることがわかる。確かに、男子と女子で通学時間に差があるのは【図2】からも明らかであるが、全体ではそれほどでもない。しかし、男子と女子の通学時間を学校難易度ごとに比較してみると、平均通学時間では偏差値60以上、偏差値50~60未満、偏差値50未満の各カテゴリで、限度通学時間では偏差値60以上、偏差値50未満で、大きな差があることがわかる(最大で10ポイントの差)。

一般論として、中学受験の志望校通学時間は、平均通学時間と限度通学時間の両方で、女子のほうが男子よりも短いが、その差は少ない。同じ学校難易度の男子と女子の時間差は、大きな差になっていることがある。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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