性格を考えることも大切 6年生の模試シリーズ その3 [中学受験]

受験は最初に決めた志望校を変えずに、最後まで努力し、そして栄冠をつかむのが理想である。しかし現実はなかなかそう直線的にはいかない。成績が伸びずどんどん下降してしまう場合は、どうしても弱気になり志望校の変更を考えてしまう。偏差値が落ちる原因は生徒自身の問題だけとは限らないことは前回も述べたが、そのためよけいに混乱してしまう可能性もある。
そんな時に注意すべきことは、指導者であるべき保護者が必要以上に慌ててはいけないということであろう。たとえば母親が不安になれば、当然子どもも不安になる。精神的な動揺は人に伝播(でんぱ)するから、受験が近づくと親子でパニックになってしまうケースも出てくる。そうなると子どもも勉強に手が付かなくなり、さらに成績が下がってくる。いわゆる「負の循環」に陥ることになるのである。これは避けなければならないが、どうしたら良いのだろうか?

一つ言えることは、保護者は「慌てているような態度をとらない」ということであろう。子どもの成績が下がれば、慌てるのが当然であろうし、のんびりして何もしないのは逆に困った指導者である。成績低迷の原因を追究し、必要であればその対策を講じることはもちろん必要なのである。ただしその時の態度がポイントになる。つまり「大丈夫。慌てることはない」という態度で、実は大急ぎで対策を講じるということだ。たとえば子どもには「第1志望校は変えずにがんばろう」と言いつつ、実は「この時期までに成績が上がらなければ、志望を落とさざるを得ないであろう」と内心では決めておくのである。
なお、本当に志望を変更しなければならない場合もあるから、第1志望校をあまり絶対視するのも問題かもしれない。たとえば第1志望校だけしか親子で眼中になければ、その変更は中学受験そのものの失敗という意識を子どもに植え付けることになる。上手に目標を切り替えないと、精神的にさらに落ち込んでしまうことになるので注意したい。

また保護者の態度は、子どもの性格や精神状態によっても微妙に変えていく必要があるかもしれない。たとえば、このまま成績が伸びなければ志望校変更も考えなくてはいけないのだが、子どもの気持ちを考えて「大丈夫」と、とりあえずそのまま突き進んだとする。ところが子どもが、本当に「大丈夫なんだ」と信じてそのままの学習態度を続けたとしたら、成績が上がるわけはない。子どもが必要以上に気楽に考える性格の時には、逆に「これは大変だ」というくらいの態度をとったほうが良い場合がある。つまり相手の性格や考え方によって、指導内容を変えるということである。しかも子どもは表面的には慌てていても、内心はそうでもないこともある。このさじ加減がなかなか難しいと思うが、子どもの様子を良く見ることが大切であろう。今までの子どもの性格と考え合わせれば、どのような態度をとるべきかが見えてくるはずである。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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