模試の受験回数について 6年生の模試シリーズ その4 [中学受験]

受験生は勉強に追われるものだが、6年生の2学期ともなるとそのレベルは半端なものではなくなる。とにかくすべきことが多いのに、時間がないという状態が慢性化する。たとえるとすれば、机の前に座っている子どもの前に、次から次へとボリュームのある料理が運ばれ、既に食傷気味であるため少し手を付けては、次の皿に移っているという状態であろうか。これでは栄養(学力)は付かないばかりか、相対的に成績は低下してくる。
この時期の心構えとしては、「何を勉強するか?」より「何をステルか?」のほうが大切であるといつも述べているが(4月28日のコラム)、模擬試験についても勇気を持って「ステル」ものを考えるべきであろう。

前に述べたように(その1その2)、一般的な公開模試は「四谷大塚」「日能研」「首都圏模試センター」の三つだが、6年生になってから受けられる各模試の回数はかなり多い。それぞれ6~10回程度あり、重複して受験することを考えると大変な数になってしまう。そして現実に、「そんなに受けるんですか?」というくらい子どもに模試を受験させている保護者もいる。模試を受けることは大切だが、度が過ぎると意味がないばかりか、逆に学習に悪影響を及ぼすので注意したい。
模試を受ける回数は、「なぜ模試を受けるのか?」を考えれば自然に決まってくる。たとえば試験に慣れるために受験する生徒もいるであろう。確かに大勢の知らない生徒と試験を受けると緊張して、実力が出せない子どもはいる。あるいはスコアメーキングの能力(できない問題を避けて得点を最大化する能力)を付けるために回数を重ねる場合もあるであろう。もちろん偏差値や志望校に対する合格可能性をより正確に確認するために、いくつもの試験を受ける子どももいるであろう。
しかし、2学期は塾の授業もさることながら、志望校の過去問を演習する時間も十分にとっておかなければならない。第1志望だけではなく、第2志望の過去問演習も考えればかなりの時間が必要である。しかも問題慣れやスコアメーキングの能力を付けるには、模試よりも過去問演習のほうがより効果的だと考える。
過去問対策は「ステル」わけにはいかないのだから、やはり模試のほうを減らすべきであろう。

それからもう一つ。試験はやっただけではまったく意味がない。つまり復習しなければ、できない問題とできた問題を「分類」しただけで実力が付かないのである。この「復習」というのは何度も言われて、「耳にタコ」になっている言葉であろう。しかし実際に十分復習できている生徒は、非常に少ない。「なかなか成績が伸びない」と言う生徒ほど、復習できていないのである。一つの模試を受けるために少なくとも半日はつぶれるであろうが、できなかった問題を復習して理解・定着するには同じか、あるいは倍の時間をかける必要が出てくる。もしその時間が取れないのであれば、模試を受ける回数を減らしてでも、復習をする時間を確保すべきであろうと考える。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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