指図もダメ?[中学受験]

受験に関する本や塾の先生方からさまざまな情報を得ることは、非常に重要なことである。中学受験に関する本や雑誌はたくさんあるし、受験のテクニックやノウハウを教えてくれる研究会なども多い。
ちなみに私もそういった研究会をやらせていただいているが、すばらしい内容のものも多々あると思う。
問題は情報を取捨選択することで、お子さまが使えるものとそうでないものに分類し、有効なものだけを選んで参考にしていくことが大切であるということ。

それからもう一つ。教務的な情報に限って言えば、お子さまに対してはあくまでもアドバイスであって、指図ではあってはいけないということだ。
たとえばお子さまが塾で習った「相似の解き方」と、お母さんが受験雑誌で読んだ「相似の解き方」が違ったとする。
そんな時に母親のほうから「この方法でやりなさい」と言われると、受験生としてはムッとするであろう。
なぜなら、「受験した経験もないのに、その方法が良いとなんでわかるのか?」という気持ちになるからである。

もちろんご両親が中学受験を経験している場合もあろうが、そんな場合でも「お父さんが受験したのは随分前だから、もう古いんじゃないの?」という思いはお子さまにあるだろう。
それほど塾とお子さまの信頼関係は強いのであり、そのくらい強くなければ困るのである。
この強い絆を断ち切るほどの教務的な信頼感をお子さまがご両親にもつためには、よほどしっかりした経験や知識がご両親になければならない。

しかしそこまでの経験や知識がないのに、親の権威で無理に押し付けようとする場合がある。非常に顕著な例は、「お父さんは理系で数学が得意だった」ということで、小学校の学習段階では習っていない「方程式」で受験の算数を教え出す場合だ。
かくてお子さまの算数は支離滅裂になり、お父さんの権威も地に落ちることになる。無理なことを強いると、親子関係が気まずくなってしまう例であろう。

いろいろな知識がたまってくると、つい使ってみたくなるものだ。
ましてお子さまが試験の結果に苦しんでいると、つい「算数では、最後の問題でも小問1はやさしいことが多いのよ。とにかく手を付けなさい」と言ってしまいがちだ。
確かに正しいことなのだが、お子さまにとってはやはり耳障りな指示に聞こえる。
こんな場合は指示ではなくて、アドバイスにしておくべきであろう。つまり「手をつけたほうが良いみたいよ」と言うこと。
非常に控えめだが、かえって控えめなほうが「やってみようかな?」という気になるものだ。
そして万一その方法をお子さまが採用しなくても、無理強いしてはいけないのである。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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