口に出すコトバの大切さ[中学受験]

親としては相手の意を汲みながら会話が通ずるような子に成長してほしいと誰もが思うことだろう。ところが思春期の只中は、親と顔を合わせるのもという気持ちが強いものである。
それに加えて、毎日遅くまで塾通いが常態化している都市部の難関校の生徒は、女子生徒でさえ、家に帰ると「メシ・フロ・ネル」しか言わないと聞く。

しかしそこはよくしたもので、大学受験のための塾通いのメリットは、徹底して評論リテラシーを学ぶこと、そして英語の英文脈をやはり評論リテラシーを学んで読み込むことに習熟していることだ。
大学入試で英文と日本文による評論リテラシーがここまで重く課されていなければ、今の日本の中高生たちは、言論でシビアなやりとりをする能力を身に付けることは不可能なのではないか、と思う。
だから少なくとも相応の大学受験に取り組む子どもなら、たとえ親と口をきかなくとも頭の中では会話能力を磨いているし、磨いているどころか相当辛らつな批判言語を獲得しているやもしれぬ。

しかしそれはやはり言葉づかいそのものではない。演劇や歌唱をすれば口頭による言語の強さ、響き、かすかさ……そのいきいきとした生態に心を奪われるのではないか。かつてそれらは自然の中の地域の祭りなどで身近にあったものかもしれないが、今はゲームなどの人工的な室内の電子音にとってかわられている。

とってかわられているものといえば、会話そのものも携帯メールに取り込まれた観がある。携帯メールの便利さはこのうえないが、何といっても便利なのは、面と向かって言いにくいことでも言ってしまえる点である。
しかしそのため面と向かってどう表現しようかと悩むこともなくなった。
実際に今の女子高生はメールで簡単に交際を断わるものだそうだ。
そうした便利さに慣れるとタフな対人交渉など縁遠くなってしまう。

学校によっては、生徒に留学をさせるところがある。恐らくその意義の一つは、異文化に生活して、言葉で表現しなければ現実はニッチもサッチも行かないという事態に直面することだろう。他人に言葉をつくして理解をしてもらい、情をかけてもらうということに汗だくになることだ。
こうしてみると日本の中高生は本当に言葉づかいにうとい社会生活を送っていることに気付く。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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