読解力を鍛える方法は読書だけじゃない?保護者ができるサポートも紹介

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読解力は、国語はもちろん、全ての教科の土台となる重要な力。とはいえ「どのように鍛えていけばいいのかわからない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。そこで、学習時や日常生活において読解力を鍛える方法や、保護者にできるサポートについてご紹介します。

この記事のポイント

そもそも読解力とは?

読解力とは、文章などの情報を正しく理解し、取り入れていく力のことです。文字が読めた、字面が追えたというだけでは、正しく読解できたとはいえません。

また、昨今では社会情勢の変化に伴い、求められる読解力にも変化が見られます。「PISA型読解力」と言われるもので「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、社会に参加するために、テキストを理解し、利用し、評価し、熟考し、これに取り組むこと」と定義されています。これは、ただ読み解くだけではなく、それを踏まえて考え、その情報を利用するところまで求められるようになっていると言えるでしょう。

読解力は勉強やテスト、入試だけでなく、社会に出てからの仕事などにも生きてくる大切な力と言うことができます。

子どもの読解力を鍛えるのに必要なこと

読解力を高めるために、必要なこととはどのようなものでしょうか。「読書をすればいいのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ただ読書をすればいいというものでもありません。次の3つを意識していきましょう。

語彙力

単語や熟語、慣用句といった語彙でつまずいて理解できないというケースも多くあるものです。そのため、読解力UPのために語彙力を磨くのは重要なポイント。語彙力を増えてくると、はじめて見る言葉が出てきたときも漢字や文脈、これまで知ってる知識をもとに意味を類推することもできるようになっていくでしょう。

正しい読書習慣

ただ本を読むだけ、字面を追うだけの読書では読解力を身につけることはできません。読解力を鍛える正しい読書習慣とするためには、次の2点に気をつけていきましょう。

1点目は、作者は何を言いたいのか、理由は何か、自分はどう思うかなどを立ち止まって考えるような読み方をするということ。文字を追うだけで内容が入ってこなくなるのを防ぐとともに、より深く考えながら精読する力につながります。この力がついていると、なじみがなく難しい内容のものでも、粘り強く読み解き理解していくことができるようになるはずです。

2点目は、さまざまなジャンルや型の文章をたくさん読むということ。偏りのない読書を行うことで、多くの語彙や、テーマ、論展開の型に触れられます。小説や文学作品だけでなく、説明文や評論にもチャレンジしてみましょう。環境問題や心理学などテーマも数多くあるので、まずは自分の興味の持てるものから読んでいくと良いでしょう。また、日本人作家だけではなく、海外の著者の作品を読んでみるのもおすすめです。

接続詞や文構造の理解

読解力を鍛えるためには、文構造を押さえることも欠かせません。その際、手がかりになるのが接続詞や指示語などです。たとえば「つまり」や「すなわち」といった言い換えの接続詞に着目すれば、筆者が強調して伝えたいたい主張が見えてきます。接続詞や指示語を手がかりに、文構造を理解していくトレーニングもできると良いでしょう。

読解力を鍛える方法7選

読解力を鍛える具体的な方法について紹介します。学習時と日常生活のシーン別に7つご紹介しますので、お子さまが取り入れやすいものから取り組んでいってみてください。

学習時に読解力を鍛える4つの方法

1:音読

難しい内容も、声に出すことで情報を整理してとらえられるようになります。これは、大人も難しい契約書やグラフなどを声に出して理解しようとすることからも効果を実感できるのではないでしょうか。音読を行うことで適切な区切りや意味のまとまりをつかみ、丁寧な読み解きを行っていきましょう。

2:接続詞や指示語を手がかりに精読トレーニング

読解力を身につけるためには、字面を追ってなんとなく分かった気になるのではなく、しっかり精読することも大切です。精読を繰り返すことで、文章ごとの大事な点の強弱などもつかめるようになります。

精読の際に手がかりになるのが接続詞や指示語。「つまり」で言い換えてるから、AとBの部分は同じことを言っている、「一方」とあるから、ここで前の内容と後ろの内容を比べている・・・といった具合に文構造を理解していきましょう。

接続詞や指示語を手がかりに、なじみのない内容でも理解できたという成功体験を持てれば、さらに難しいものにも挑戦してみようという意欲も生まれるはずです。

3:要約する

読み解いた内容を簡潔にまとめる「要約」は、理解できているかを確認する最適な方法です。後で要約することを念頭において文章を読めば、より文章の構造や主張を意識することにもつながるでしょう。

とはいえ、慣れないうちは要約の難しさに尻込みしてしまうこともあるもの。いきなり全文要約をしようとするのではなく、段落や章ごとに要約したうえで、全体を要約するというステップを踏めるとよいでしょう。また、1000字程度の短いものからはじめるのもおすすめです。授業で読んだ作品の要約をしてみるのも良いでしょう。

4:辞書をひく

読解力のベースとなる語彙力を増やすためには、辞書をひく習慣をつけるようにしましょう。知らない単語や熟語、言い回しなどが出てきたタイミングをうまく使うのがコツです。

辞書をひく際は、知らなかった語彙を調べるだけではなく、類義語や対義語などまで押さえておくのがポイント。1回で複数の語彙を押さえることで、効率的に語彙力を強化していけるでしょう。

日常生活で読解力を鍛える3つの方法

1:ニュースを見たり、新聞を読む

ニュース番組やニュースサイト、新聞などは、世界中のさまざまな話題についてコンパクトに情報がまとまっているため、読解力を磨くのにうってつけです。ただ眺めたり、読んだりするだけではなく「テーマは何か」「事実は何か」「問題点は何か」などを意識しながら把握すると読解力UPに効果的。ニュースの内容を要約する練習をしてみるのもおすすめです。

2:ディスカッション式の会話

会話で読解力を磨いていくこともできます。ニュースや見たテレビ番組を題材に、家族や友達とディスカッションにチャレンジしてみましょう。相手の言いたいことをその場でスピーディーに理解するトレーニングとなるはずです。

ディスカッションにより、相手の考えを理解する、それに対して質問する、自分の考えや理由も述べるといったことを繰り返すことで、相手の言いたいことをスピーディーに理解するスキルを磨けることはもちろん、自分とは違う考え方や意見の理解の仕方をインストールできるようになるでしょう。

3:さまざまな年齢や立場の人とコミュニケーション

読解は、自分にとってなじみのないテーマや、考えたこともないようなことについても行うことが求められるものです。その訓練のためには、さまざまな年齢や立場の人とコミュニケーションすることが役立ちます。なぜなら、自分とは異なるバックグラウンドを持つ人は、考え方や気持ち、意見も異なることが多いためです。

地域の活動に参加したり、博物館などに行って学芸員の方の説明を聞いたりする機会を持てるとよいでしょう。

読解力を鍛えるために保護者ができること

保護者との関わりによっても、子どもの読解力は鍛えられていくものです。次の2点を意識して、読解力UPをサポートしていきましょう。

「大人の言葉」で話しかける

お子さまの語彙力強化をサポートするには、時々、子ども同士では使わないような言葉を使って話しかけるとよいでしょう。「あれ?その言葉はどういう意味?」という疑問をきっかけに、お子さまの語彙を増やすことができます。

「抽象的」「大局的」など、説明文に頻出の言葉などもあるので、あえて使ってみることを意識してみましょう。お子さまの語彙力を増強し、言語感覚を研ぎ澄ませていくサポートとなるはずです。

質問や頷きでサポート

お子さまの読んだ本や、一緒に見たニュースなどについて「どんな話だったっけ?」「結論なんて言ってたっけ?」などカジュアルに聞いてみるのもおすすめです。それらの質問をフックに、自分の理解を再整理しアウトプットすること、つまり要約にもつながります。

ただし、あくまで会話の流れの一環で気楽な雰囲気を崩さないようにするよう注意が必要です。理解を試しているような雰囲気が出ると、お子さまもやる気を失いがちになってしまうもの。そのため、うまくいえなかったとしても深追いは禁物。また、うまく伝えてくれた際は、感謝やすごいねといった声かけを忘れないようにしましょう。

まとめ & 実践 TIPS

読解力は、正しい方法を意識することで効果的に鍛えていけるものです。とはいえ、お子さまによっては、苦手意識を持っていたり「本を読めばいいんでしょ?」と勘違いをしていたりすることもあるものです。今回ご紹介した方法をお子さまとご覧いただき、取り組みやすい方法から試していってみてください。

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