模擬試験で効率的に弱点を補強する[中学受験]

公開模試を受けるのは一仕事である。模試はだいたい日曜日に行われ、一人でまたは友達と一緒に受けに行く子どももいるだろうが、保護者が会場に連れて行くケースもあるだろう。自宅から会場までの交通が不便な場合は、車で送り迎えをする場合も多いかもしれない。このように子どもばかりでなく、家族の大切な時間も模試を受けることに費やされるわけである。単に模試を受けて、その結果の偏差値や合格可能性を確認して終わり、ではいかにももったいない。

模擬試験を軸にした学習方法は?

まず模擬試験を受ける前には、出題範囲を確認して、その範囲を再度学習することが大切である。知識を再確認する機会はなかなかないが、模試という目標を得ることで「やろう!」という気持ちがわいてくる。算数なども公式などつい忘れがちであり、それが思い出せなかったばかりにその問題をまるまる落としたなんていうことになる。自信も失うし、なんといっても本当の実力ではないと言えるであろう。模試を目指してその範囲を勉強することは、前に述べた「忘れてしまって問題が解けない」という失敗を少なくする効果があるのである。

さて試験を受けたあとは「できなかった問題」をできるようにしておくことが重要である。これは本当に「当たり前」のことなのだが、現実問題としてこれが確実にできている生徒は非常に少ない。私の経験から推測すると、せいぜい30%くらいの生徒しかしっかり復習できていないのではないか?と感じる。いやもっと少ないかもしれない。そして「成績が伸びない」という生徒はほとんどこの「復習」ができていないのである。彼らが勉強していないのかと言うとそうではなくて、勉強はしているのだが、どんどん「新しい単元」「新しい知識」「新しい問題」を学習するため、「間違えた」「わからなかった」問題や単元がどんどん未消化のまま置き去りにされるのである。これは如何せんもったいない、非効率的な勉強と言える。一回勉強し、模試で考え、本当に理解しないままにしておくということは、また同じような問題が出てきても、また同じ間違いをして、また理解できずに置き去りにする可能性が高いということである。

中学入試に限らず、入試というものはすべて「いかに自分のできない問題をできるようにするか」がポイントである。「言われなくてもそんなこと当たり前だ」と言われてしまいそうだが、復習しない生徒は「できる問題を演習しているだけ」なのである。これは本当の勉強ではなく、「どの問題ができて、どの問題ができないか」の分類を行っている「作業」のように思える。もし時間が足りなければ、新しい内容を吸収するスピードをゆるめるとか、あるいはすべてとは言わないで半分だけでも復習することをおすすめする。復習をしっかりやって、着実に一つひとつの知識を固めている生徒はやはり強い。

模試で効率的な復習

最後に模擬試験を使用した効率的な復習のやり方を一つ説明するが、参考になるのは「教科別正答率一覧表(四谷大塚における名称)」という資料である。これは各設問の正答率が何%なのかを一覧にしてあるものだが、当然、パーセンテージが高い問題(正答率が高い問題)ほど生徒にとってはやさしい問題であり、パーセンテージが低いものほど難問と言える。さて、お子さまがどこで点数を落としているかを明確にするために、この教科別正答率一覧表の設問ごとに○×(正解・不正解)をつけてみよう。もし50%以上の正答率のところを間違えているようであれば(しかも意外に正答率が低いところを正解していたりする生徒は)、非常に効率の悪い点数のとり方をしているのである。つまり一般的にやさしい問題をケアレスミスで落としているか、または苦手な単元ということでやさしい問題であっても手が付かなかったかのいずれかであろう。そんなもったいない話はないから、まずはその単元に対する弱点補強をすべきである。他の生徒が比較的楽にとっている箇所であれば、お子さまも比較的楽に復習できるはずだし、結果も早めに出てくる。良い結果が出てきたら、もちろん評価してやることで、お子さまの受験に対するモチベーションを高めることが可能になるのである。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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