焦りの季節[中学受験合格言コラム]

冬が近づいてくると「さみしさ」を感じる人は多いと思うが、受験生はこれにさらに「焦り」が加わる。勉強に明け暮れた夏休みが遠い昔のように思え、そろそろ現実感が増してきた入試に対して多くの受験生が「焦り」を感じていることだろう。「焦り」だけならまだ良いのだが、それが高じて「パニック」や「スランプ」にならないように注意する必要がある。

しかし「焦りは禁物」とは言うものの、なかなか難しい注文ではある。焦るなということは、単にのんびりとしていれば良いのではなく、「必要なことを着々とおこなう」ことを意味する。「何をすべきなのか?」「そのためにはどうしたら良いのか?」を考えなければならないのだが、すべきことは山のようにある。塾の授業や宿題、模擬試験や過去問演習、そして日曜特訓や苦手科目の克服などなど。付属小学校に通っているお子さまは、さらに大量の宿題をこなさなければならない場合もあるようだ。これではまるで課題の海の中をおぼれるようにして漬かっているだけで、学力が増しているとは思えないかもしれない。逆に「充実した日々を送っている」とか「少しずつでも実力が右上がりに付いてきている」という実感をもてるお子さまは、自信をもって今の学習で突き進んでいってほしい。もちろん模擬試験などで実際の数字として成果が出ているとか、本番までに必要な得点に到達するという目算が立っている必要はある。しかし「うまく行っているときは変えない」というのは受験の原則であり、大切なことなのである。

それではうまく行っていない場合や、このままではどうしても目標に到達できないであろうと思われるときはどうするか? その場合は思い切って、新しいことをやり始めることである。そしてそのためには、今やっている何かを「ステル」必要がでてくる。しかしこれが意外に難しい。やっていることすべては必要だと思っているわけだし、第一、何が重要で何が重要でないのかわからない。いざ捨てる段になると、あまり重要でなくても「捨ててしまって良いのか?」という不安が暗雲のようにモクモクと沸いて来る。そしてその不安を抱えたまま一定期間が過ぎると、「もういい!」ということでせきを切ったように捨て始めるのである。場合によっては慣れ親しんだ塾を辞めて、この時期から新しい塾に通い始めたり、家庭教師をつけたりする。しかしこれは危ない。何の戦略もない、衝動的な「捨て方」と言える。「ステル」場合は、良く考えて戦略的におこなう必要がある。そのデータとなるのが過去問の結果であり、方法論が「科目間バランス」である。この「科目間バランス」については後でもう少し考えてみたい。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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