計算問題は得意だけれど、文章題はニガテな小学生……どうしたらいい?

計算問題は得意だけれど、文章題になると途端につまずいてしまう子は少なくありません。特に小学校高学年になると、割合や速さなど複雑な問題が多くなり、立式の段階で混乱してしまう子も多いようです。そうしたお子さまを保護者はどのようにサポートしたらよいでしょうか。ベネッセコーポレーションの教育総合研究所顧問を務める八木義弘先生にお話を伺いました。

思い込みで解かないように、大事なところに線をひく習慣を!

子供は文章題を解くとき、求められていることが何か、そのために必要な条件は何かを正確に読み取らず、思い込みで解いてしまうことがあります。例えば、低学年では、「たし算の問題が続いているから、次もたし算だろう」と思い込み、文章をろくに読まずに式を立てて答えを出してしまう子が多いのです。こうしたミスをしないために、文章題を読み取るためには、2つの事柄で考えると把握しやすくなります。

【1】問題文の大事な部分(求めること、そのために必要な条件)に線をひく
【2】何を求めればいいのかを整理するために、絵・図や表をかく

上記を順番に説明していきましょう。

【1】問題文の大事な部分に線をひく
例えば、下記のような問題があったとします。

問題を解くのに必要な「わかっていること」には「——(直線)」、「求めるもの」には「~(波線)」をひくと、何を問われているのか整理することができます。また、低学年のお子さまの場合は、上記に加え「問題文を声に出して読む」「問題文を指で追いながら読む」といった方法も加えるとよいでしょう。高学年でしたら、求めるものを?やXで表し、解くための条件を書き出すこともよい方法です。こうしたことを行うと、注意深く問題文を読むようになり、思い込みで問題を解かないようになります。

また、上記の例題は問題文が3段に分けて書いてあるので、「求めるもの」がわかりやすいですが、文章がつながっている場合はわかりづらいこともあります。そうした場合は、文章を3つに分けて読み取るのも一つの方法です。

【2】何を求めればいいのかを整理するために、絵・図や表をかく
たし算、ひき算……どのような式を立てればよいかわからないという場合は、
わかっていることを図や表に書き出し、整理させるのがよいでしょう。例えば、下記のような問題があったとします。

例題2)
1個120円のおまんじゅうがあります。
5個買ったら、全部でいくらになりますか。

これらを下記の表にすると求めることやそのための条件がわかりやすくなります。

低学年の文章題でイラストが入っていることが多いのは、その場面を頭の中でイメージできるようにさせるためです。立式がスムーズにできるようになるには、普段の生活の中で数を視覚的にイメージさせるのもオススメです。例えば、「コロッケを2個ずつ家族3人に配ると何個必要かな?」という場面です。わからなかったら、2+2+2とたし算の式から考えたり、(●●)(●●)(●●)と図にかいたりします。また、実際にコロッケを2個ずつ3枚のお皿に置いてみます。その後、図と対応させ、図を描く力をつけていきます。そうすることで「2×3」のイメージがわくようになります。頭の中だけではなく、目で見たイメージを使いながら考えさせることを日常生活のいろいろな場面に取り入れていきましょう。

高学年になると、具体的な場面を想像して式を立てることが難しい問題も出てきます。線分図などの図を使って見通しを立てて考えることに慣れておくことが、苦手を防ぐことにつながります。

【1】、【2】の段階で、必要な情報を書き出し、解決の見通しを立てられることができたら、ゴールに近づいた証拠です。算数ではこのプロセスがとても大事です。あとは、式にして、答えを出し、問題文に戻って答えの確かめをしましょう。

まちがいに自分で気づくまで口出ししない

子供がじっくり考えているときや、どうすればできるだろうと試行錯誤しているときに、先回りして解決方法や答えを教えたり、なぜわからないのかと注意したりするのではなく、じっと待ってあげてほしいですね。たとえ、お子さまがまちがえていたとしても最後まで解かせましょう。そして、答えを出したあとに、「どうしてこの式を立てたのかな?」と問いかけ、説明させてみるのです。小学3年生以上であれば、説明している途中に自分がまちがえた式を立てたことに気づく子もいるでしょう。このように、まちがいに気づき是正する態度も大切な資質なのです。自分でミスに気づけて修正できれば、次に同じようなミスをすることはきっと少なくなるはずです。

プロフィール



公立小学校校長、東京都算数教育研究会会長などを経て、現在は株式会社ベネッセコーポレーションの「ベネッセ教育総合研究所」顧問を務める。

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