返却された模試の見方[中学受験]

 模試が返却された時に一番気になるのが偏差値や、「今回の合格可能性は約60%です」などと記載されている「合否判定」であろう。もちろん勝負は始まったばかりであるから、決して落胆したり逆に油断してはいけない。前にも述べた様に、偏差値が年間で大幅に上昇することは可能であり、これからの努力しだいで合否は決まるからである。

 間違えた問題の見直しの重要性はすでに述べたが、返却時にもう一つ大切なことは「教科別正答率一覧表※」により、正答率が高いのにお子さまが間違えている箇所をチェックすることである。ここがいわゆるお子さまの「弱点」であることが多い。例えば算数では、「数の性質」「規則性」「場合の数」「立体図形」「図形の移動」「速さと比」などは上位校が好んで出題する単元であり、多くの受験生が弱いところである。これらの難しい問題を間違えることは現時点ではまだまだ仕方ないことなので、まずは他の受験生が出来ていてなぜかお子さまが出来ていないところを埋めることが先決である。これはかかる時間に比べて効果的な学習方法と言える。

 国語に関しては、漢字、文種(説明文または論説文・物語文など)、設問形式(記述式や選択式など)などに分けて弱点をチェックする。特に漢字(または言葉の関係)が弱点であれば、「漢字の練習」などの基礎的な演習を増やすこと。これには時間がかかるので、すぐに対処する必要がある。
記述問題は苦手な生徒も多いと思うが、去年に比べると今年の出題数は全体的にやや減少した(首都圏の中〜上位校、約90校を調査。記述問題が減少した学校が、増加した学校より12.8%多い)。ただしこの結果だけをみて、「中学入試の国語が易しくなっている!」と考えるのは早計であろう。減少の一つの原因としては、問題文の難度の上昇が考えられる。良い例としては御三家レベルの問題文で、特に桜蔭中学校の論説文などを読むと「コレって大学入試じゃないの?」と思われる文章が出て来る。つまり問題文が難しくなった分、記述問題を少なくして設問で易しくしているといったところであろう。特に、難度が高い論説文の出題が多くなっているようなので、苦手なお子さまは対処が必要である。

※教科別正答率一覧表:設問ごとに全体の正答率を示したもの。正答率の高いものほど難度が低いと考えられる。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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