「特異な才能」は「ギフテッド」なの?

文部科学省の有識者会議が2022年9月、「特定分野に特異な才能のある児童生徒」への指導や支援の在り方に関する審議まとめを行いました。新聞の見出しなどでは、先天的に飛びぬけた才能を指す「ギフテッド」が使われることがあります。しかし記事をよく読むと、「有識者会議ではギフテッドという言葉を用いないことにした」といった説明も見受けられます。「特異な才能」を、どう考えればよいのでしょうか。

この記事のポイント

早くから「使わない」と合意

「近年報道等においても頻繁に用いられるようになった『ギフテッド』という用語については、英語のgiftedの本来の意味で才能や才能のある児童生徒を広く表すのではなく、突出した才能に限定して用いられる場合や、特異な才能と学習上、生活上の困難を併せ有する児童生徒に限定して用いられる場合などがあり、対象となる児童生徒のイメージが論者により異なるため、本有識者会議においては使用しない」……。実際の審議まとめでは、こう注釈を付けています。
有識者会議では、早くから「ギフテッド」という言葉を使わないことで合意していました。しかし、短く分かりやすい表現が求められる見出しなどでは、つい「ギフテッド」を使ってしまうケースが後を絶ちません。

むしろ「困難」に着目

有識者会議をめぐっては、SNSなどで「国が子どもを選んで特別な教育を行うのか」といった批判が上がることもあります。しかし、最終会合ではむしろ、世間に広く誤解があることに、委員から相次いで懸念が示されました。
審議まとめでは、飛び級のような「早修」を認める立場には立っていません。発揮される才能が「特定分野」に限られるだけでなく、特異な才能と学習困難を併せ持つ「2E(twice-exceptional)」の子もいるからです。むしろ困難を解消することで、才能も伸ばしてもらおうという立場です。
ヒアリングでは、校長会や教育委員会団体などから、「特異な才能」の判断基準を国が示すよう要望が相次ぎました。しかし、これも早くから有識者会議が否定してきました。あくまで個々の子どもの状況に応じて、対応するよう求めているのです。

「協働的な学び」も重視

文部科学省では、どの子に対しても、一人ひとりに対応した「個別最適な学び」と、集団でこそ学べる「協働的な学び」の一体的な充実を進めています。「特異な才能」についても、「個別最適な学び」の一環として、情報通信技術(ICT)も活用しながら、学校内外での学びを充実させることで対応しようという方針です。
一方、どんな子でも将来は社会の一員となるわけですから、そのための共通的な基盤を培うものとしての「協働的な学び」は、これまで通り重視するというわけです。

まとめ & 実践 TIPS

いま国際的にも国内的にも、多様性(ダイバーシティー)や包摂性(インクルージョン)の必要性が叫ばれています。飛び抜けた才能のある子もない子も、障害のある子もない子も、能力を最大限に伸ばしつつ、共に将来の社会の担い手となってもらう。そんな教育の中で「特異な才能」にも対応しようというのが、有識者会議のスタンスなのです。

(筆者:渡辺 敦司)

特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議(第14回)配付資料
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/169/siryo/mext_00019.html

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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