国立中学校とは 【親子で考える 12歳の学校選択】

受験をして入る学校とは?(私立中学・国立中学について)

設置者が学校法人である場合が私立、それが国立大学法人である場合が国立です。各々の中学校、高校では入学選抜試験をして入学者を確定しますが、国立の場合は従来は7倍の倍率になるように事前に抽選がありました。ここ数年は、当初から7倍前後の応募者であるとの理由で、抽選が実施されないケースが多くなっています。

私立の教育内容の主たる特色は、中高一貫、男女別学、宗教教育(及び価値教育)で、特に戦後の学校改革の柱であった公立中学と違う明確な特色がありました。近年は少子化への対応から共学化するところや、郊外の立地で元々の共学校が増えています。そして中高一貫の強みを生かして、大学受験や付属校であれば大学単位を先取りし、進学保証機能にも優れています。

一方、国公立大付属中学・高校は、筑波大学付属駒場以外では奈良女子大附属中等教育学校(共学)や来春設置される東京学芸大学付属国際中等教育学校(仮称)のほかはすべて中高が別の学校であり、またいずれも共学校で、プロフィールは公立中学校に余り違わない面もあります。やはり費用の安さに加え、教師の指導力の高さを慕って、根強い人気があります。

私立中学受験は前思春期の安定した時期に、難度の高い受験勉強をするので、親の負担も大きいものの、子どもの進路に親が十分にかかわり得る充実感や、その結果の達成感も大きい点が魅力です。だたし、費用がかさみがちなので、節度をもって臨みたいものです。

ところで、私立中学は平成2年~4年と、平成12年~現在まで、二度大きなブームを経てすっかり大衆化してしまいました。そのため、かつてあった各校の独自の教育理念を支えるバックボーンである宗教など学校文化による学校選択が難しく、むしろ入試の難しい度合いで合格しやすい順に受験校を選ぶ傾向が支配的です。それでも入学し、その校風のよさを知るにつれ、スクールカラーに染まっていきます。とはいえ、少子化で一人か二人の兄弟姉妹であり、人間関係も希薄な時代では、入ってからのことは伝わりにくく、家庭の価値観で学校選択ができかねている面もあります。そのことが学校不適応やひいてはひきこもりにつながる誘因にもなります。

もっとも入試問題はその学校の問題作成能力のみならず、教育力、指導力も如実に示しますから、よい問題をつくる学校にはよい先生がいる、ということも事実です。その意味で入試問題を吟味することは大切です。

ただ、算数については近年は以前に比べ解きやすく、取り組みやすくなってきましたが、国語は古典的名作に材を拾うことが少なく、また難しいテーマを扱うだけでなく記述式答案を求める学校が増えました。理・社については、素直な良問ばかりとは言えないうえ、出題分野も意表をつくことがあります。従って一通り基礎ができたら志望校の出題傾向に絞った勉強をしないと、際限なく時間がかかり、負担がかかります。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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